« 「日本売国=疑惑の外為介入」政策の深層 | トップページ | 「不祥事」を「宣伝」に転化するマスゴミ報道 »

2008年9月 2日 (火)

CHANGE偽「装裁選」と10月19日総選挙

8月31日付記事に「11月に自民党総裁選が実施される可能性」と記述したが2ヵ月早まった。福田首相が政権を投げ出した。1年前の安倍首相の政権投げ出しの再現映像を見るかのような辞任会見だった。異なるのは「胃腸障害」と「視覚障害」の差程度だった。

「説得力のある理由」、「責任の明確化」、「謝罪」が欠落し、「愚痴」、「責任転嫁」、「逆ギレ」に彩られた会見だった。3日前の29日に総合経済対策を決めて、国民経済安定化に向けての国会論戦待ったなしの状況での政権投げ出しは、所信表明演説を終えて代表質問直前に政権を投げ出した安倍前首相とほぼ同じ類型だ。

国民は怒り、メディアは政権の無責任を糾弾しなければならない。このような状況下で自民党総裁選をお祭り騒ぎで持ち上げるのは筋違いだ。内閣総辞職して新政権を樹立するなら、サミット終了から8月末までの2ヵ月近くの間に実施すべきだった。

政権を担う自覚と責任を欠く政党の党首選びに公共電波を無駄に割り当てるべきでない。2-3日、「せいぜい」1週間のうちに後継者を決定して空白を最小限に食い止めるべきだ。

内閣改造に国民のエネルギーはどれだけ費やされたのか。昨年に引き続く失態である。国会召集日を9月12日に決めて、国民のためにようやく働くことが決定されているタイミングでの首相辞任であり、メディアは政権政党だからと甘やかすべきでない。

福田首相は会見で、「野党が反対ばかりする」と愚痴をこぼし、「野党が反対するから決定に時間がかかりすぎる」との責任転嫁を繰り返したが、衆参両院のねじれは主権者である国民による選挙の結果生まれたものだ。

参議院が衆議院の決定に従わなければならない規定は存在しない。衆議院でしか多数を確保していない与党代表の首相であるなら、参議院の意思を尊重して意思決定を図るのが正道なのだ。参議院の決定を衆議院の多数の力で無視することは邪道である。

福田首相の会見は小沢一郎民主党代表との党首討論での発言の繰り返しでしかなかった。日本の政治状況を客観的に把握し、その状況下での首相のリーダーシップの発揮方法を賢明に思慮する能力を福田首相がまったく持ち合わせていないことを白日の下に晒す会見だった。

直近の民意は参議院の議席構成に表れている。福田首相が自ら主張する政策を実現しようとするなら、衆議院の解散総選挙を実施して、直近の民意によって衆議院の多数を確保するしか道はなかった。その解散総選挙を選択せずに愚痴と責任転嫁を繰り返しても、同情する者はいない。

自民党総裁選はひっそりと迅速に実施すべきで、メディアは自民党総裁選をお祭り騒ぎにするべきでない。無責任極まる政権投げ出しを繰り返す政権政党は最低限の責任として、政治空白を作らぬよう、迅速にひっそりと後継者を選出するべきなのだ。

しかし、「政官業外電=悪徳のペンタゴン」は「御用マスゴミ」を総動員して自民党総裁選を次期総選挙の選挙活動に悪用する。小沢一郎代表の無投票三選を決定した民主党を徹底的に攻撃することになる。

8月31日付記事「「目くらまし経済対策」と今後の政局」に記述したが、麻生太郎氏に加えて小池百合子氏、野田聖子氏などが総裁選に立候補して、福田政権の政権投げ出しの「負のイメージ」を払拭し、新政権への期待感をふくらませる演出を「御用マスゴミ」が施すに違いない。

「小泉一家」が「上げ潮派」、「TPL」、「小泉チルドレン」、「脱藩官僚の会」、「自民党別働隊知事グループ」を糾合して「偽装CHANGE集団」を創設する可能性がある。「偽装CHANGE集団」は「官僚利権打破」を標榜するが、しょせんは自民党別働隊にすぎない。総選挙の際の反自民票の受け皿になることを狙うだけだ。

安倍政権が無責任極まりなく政権を投げ出したにもかかわらず、「御用マスゴミ」が「御用総裁選報道」を繰り返した結果、福田政権発足直後の内閣支持率は高かった。したがって、今後の「御用マスゴミ」による「御用総裁選報道」により、新政権発足当初の支持率が跳ね上がる可能性を否定することはできない。

国民には賢明さが求められるが、テレビメディアの情報独占・操作の影響は深刻なほどに大きい。こうして考えると新政権の支持率が高く記録される可能性があり、その場合には政権発足直後の衆議院解散総選挙が決定される可能性が高い。

新政権は完全に「選挙管理内閣」になるだろう。「選挙管理内閣」の第一の役割は「選挙の顔」だ。サプライズを与える意味で小池百合子氏を新総裁に起用することも考えられる。古賀、谷垣、伊吹、山崎、二階の各派閥領袖は麻生氏の総裁就任を積極支援しない可能性がある。

清和政策研究会の森元首相は「麻生氏」後継に言及しているが、観測気球を上げているとの見方が有力だ。公明党は麻生政権による「バラマキ」政策を求めると考えられるが、総選挙での敗北の可能性を睨んで、自民党との距離を拡大させる気配を示している。

いずれにせよ、合従連衡の可能性をはらみつつ、自民党総裁選が実施され、解散総選挙が早期に実施される可能性が高まった。召集される国会冒頭での解散になると、総選挙は10月19日の日曜日になる可能性が高い。

1996年には消費税増税が争点になり、10月20日に総選挙が実施された。比例区の得票率は自民党32%に対して、新進党28%、民主党14%で、新進・民主が合計で42%を獲得したが、小選挙区制度の特性により、自民党が勝利した。

「小泉一家」が「官僚利権打破」を標榜する「偽装CHANGE集団」を政治新勢力として立ち上げる場合、1996年総選挙での新進・民主の二の舞を演じる可能性がある。選挙区調整が実施されるかどうかが結果を大きく左右する。

自民党は総裁選で「無駄の排除」=「CHANGE」を偽装することになるだろう。「御用マスゴミ」は「御用報道」を全面的に展開し、激しく民主党を攻撃することになると思われる。

民主党を中心とする野党は、与党の「偽装CHANGE」政策の実態を暴かなければならない。与党は「政官業外電=悪徳ペンタゴン」=「利権互助会」の利権を死守することを至上目的として行動する。選挙が終われば「自公」と「偽装CHANGE集団」は連携して合流するのだ。

総選挙に向けての「CHANGE偽装」総裁選が実施される。「CHANGE」の「偽装」と「バラマキ」の「目くらまし」が総裁選で氾濫する。総選挙が終わると「CHANGE」が消滅して「消費税大増税」のモンスターが現れる。

有権者がその後におよんで「騙された」と思っても遅い。1年前に国民的行事に祭り上げられた自民党総裁選の末路がこの9月1日夜の哀れな福田首相辞任会見である。9月に実施されるCHANGE偽「装裁選」に再び騙されてはならない。そして、10月19日に実施される可能性がある総選挙で確実に政権交代を実現しなければならない。

人気ブログランキングへ

ランキング

« 「日本売国=疑惑の外為介入」政策の深層 | トップページ | 「不祥事」を「宣伝」に転化するマスゴミ報道 »

自民党総裁選」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: CHANGE偽「装裁選」と10月19日総選挙:

» 敵前逃亡する総理大臣はもういらない [交渉術で道は拓ける~ブログ版]
福田首相が突然の辞任表明・・・・・またか... [続きを読む]

» 植草さんは相変わらずいいことをおっしゃいます。 [ヒカス。]
植草さんの今日の記事、素晴らしいと思う。 是非読んでみていただきたいです、はい。 私が昨日書いた疑問についても 参議院が衆議院の決定に従わなければならない規定は存在しない。衆議院でしか多数を確保していない与党代表の首相であるなら、参議院の意思を尊重して意思..... [続きを読む]

» 再び行われた僅か1年での政権ブン投げ [みやっちBlog]
なんとも呆れた福田首相の辞任劇だった。 会見で安倍前首相の時とは違うと弁解していたが、その違いが体調不良での辞任ではないということだけ。それ以外はそっくりの政権投げ出し辞任であることを国民は見抜いている。 新聞各社の論調は、それぞれの社説や政治部長らの記事を読んでもらういたいが、辞任理由が色々憶測されているものの、ハッキリ言って理由は安倍前首相の時と同じく、インド洋での燃料補給活動を継続させる新テロ特措法延長が期限切れまでに不可能な情勢であることだろう。 アメリカ政府から給油活動延長を頼ま... [続きを読む]

» 自民党、不渡り2回で倒産する!! [パタリ]
自民党は倒産した。 商売では二回も不渡りを出すと 倒産である。 もう信用はない。 安倍と福田で、自民党は2回政権を放りだし、解散もせずに国民を無視した。 これは不渡りを出したことになる。 不渡りを出せば、会社は倒産である。 清算せねばならない。 自民党は壊滅した。 自民党は山一證券のように 廃業である。 潰れた会社の社長選びなど必要ない。 破産管財人を選ぶべきだ。 自民党会社の破産で我々国民は 不渡りをつかまされた。 責任の所在をハッキリさせ ちゃんと、債権回収しよう。 しかし、「麻生が・・」 「小... [続きを読む]

» 終わるべきことは終わらなくてはならない [仙台インターネットマガジン]
冷戦時代の名残りの自民党政治やはりこれはなくならなくてはいけない。 [mp3:h... [続きを読む]

» 今こそNHKの「偏向報道=大本営発表」に国民の怒りを向けよう! [BLOG版「ヘンリー・オーツの独り言」]
今回の福田辞任に関してブログを中心に情報を集めた結果、もっとも真相を的確に表しているように感じたのが植草一秀さんのブログであった。 ... [続きを読む]

» いよいよMANIFESTO選挙の戦いです! [YAMACHANの@飛騨民主ブル新聞]
選挙モード突入 新しいマニフェストが代表選挙までにはわかると思う。 大差ないだろう(^o^) http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2007/index.html 民主党3つの約束 1. 「年金通帳」で消えない年金。国が責任を持って全額支給します。 2. 安心して子育てできる社会。 1人月額2万6000円の「子ども手当」を支給します。 3. 農業の元気で、地域を再生。 農業の「戸別所得補償制度」を創設します。 民主党7つの提言 1. 雇用を守り、格差を正す。... [続きを読む]

» [政治] 総裁選報道で人気回復?――国民を愚弄するな [日録(不定期)]
 昨夜の突然の福田首相辞任会見から一夜が明けて、今朝のテレビ番組などでは自民党の政治家が口を揃えて「国民の前で政策を戦わせる総裁選をやらなければならない」と言う。言うまでもなくその心は、それによってメディアを総裁選が独占できれば、自民党の人気が回復するだ... [続きを読む]

« 「日本売国=疑惑の外為介入」政策の深層 | トップページ | 「不祥事」を「宣伝」に転化するマスゴミ報道 »

有料メルマガご登録をお願い申し上げます

  • 2011年10月より、有料メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」の配信を開始いたします。なにとぞご購読手続きを賜りますようお願い申し上げます。 foomii 携帯電話での登録は、こちらからQRコードを読み込んでアクセスしてください。

    人気ブログランキング
    1記事ごとに1クリックお願いいたします。

    ★阿修羅♪掲示板

主権者は私たち国民レジスタンス戦線

  • 主権者は私たち国民レジスタンスバナー

    主権者は私たち国民レジスタンスバナー

著書紹介

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
2023年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    

関連LINKS(順不同)

LINKS1(順不同)

LINKS2(順不同)

カテゴリー

ブックマーク

  • ブックマークの登録をお願いいたします
無料ブログはココログ