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2008年8月18日 (月)

内外株式市場に変化の兆候

内外株式市場の環境に変化の兆候が見られ始めている。世界の株式市場は米国株式市場に連動する傾向を強く有している。米国株式市場の変動を見極める必要があるが、原油市場と米ドルに重要な変化が観察されている。

『金利・為替・株価特報』では、2008年6月7日号に株価下落見通しを提示した。原油価格急騰に伴うインフレ懸念と金融引締め観測が株価下落を誘発させると見通した。

7月16日にバーナンキFRB議長が議会証言でインフレ抑制を最優先課題に位置付ける考えを表明した。私は本ブログ7月17日付記事に、「NY株価は15日の10,962ドルを底に、目先反発する可能性が高い。(中略)これまでの際限のないドル安、原油高、株安の連鎖から解き放たれて、株価反発局面を期待することができるが、目先の反発で安心感が広がったのちの再調整圧力を警戒する必要がある」と記述し、株価反発予想を示した。

NYダウは5月2日の13,058ドルをピークに7月15日の10,962ドルまで2096ドル、16.0%下落した。11,000ドルを割り込んだのは2006年7月21日以来2年ぶりである。

日経平均株価は6月6日の14,489円をピークに7月15日の12,754円まで1735円、12.0%下落した。13,000円を下回ったのは本年4月15日以来3ヵ月ぶりである。

7月16日のバーナンキ発言を転換点に内外株価は反発した。NYダウは7月23日に11,632ドルまで値を戻した。その後、7月28日に11,131ドルまで反落、8月11日に11,782ドルまで反発、8月13日には11,532ドルに反落するなど、一進一退の推移を続けている。

日経平均株価はNYダウに連動した推移を続けている。7月15日に12,754円の安値を記録したのち、7月24日に13,603円に反発、8月5日に12,914円まで反落、8月11日に13,430円に反発、8月14日に12,956円に下落するなど、13,000円を挟んで一進一退の推移を続けている。

7月16日のバーナンキ発言を受けて、内外株価が反発し、一時的に安心感が広がったのち、株価は不安定な推移を示した。インフレ懸念が残存し、金融不安と金融引締め観測を払拭できていないためだ。

しかしながら、最近の金融市場の変動を観察すると、中長期的に重要な変化が生じ始めている可能性があり、十分な考察が求められる。米ドルの変動に大きな変化が生じている。

現段階でトレンド転換と断定することはできないが、2001年以来継続した趨勢に明確な変化が見られている。仮にトレンドの転換ではなく一時的な反動であるとしても、短期的には重要な変化であり、短期の金融変動においては重要な影響を与える可能性がある。

米国経済は①景気悪化、②金融不安、③インフレ懸念、の3つの問題に直面している。7月中旬には原油価格が1バレル=147ドルまで上昇し、3つの問題の悪化が懸念された。7月15日に米ドルはユーロに対して1ユーロ=1.60米ドルのユーロ発足以来の最安値を記録した。米ドルはユーロに対して2000年10月の1ユーロ=0.82米ドルから半値に暴落した。

7月16日のバーナンキ発言を契機に、金融市場が大きな変化を示している。WTI原油先物価格は1バレル=147ドルから1バレル=113ドルに急落した。米ドルの対ユーロレートは1ユーロ=1.46米ドルに反発した。

米国の金融政策は超緩和状態を維持しているが、原油価格高騰と米ドル下落の長期トレンドが大きな変化を示している。8月14日に発表された7月の米国消費者物価指数は季節調整後前月比0.8%、前年同月比5.6%上昇した。前年比上昇率は1991年1月の5.7%以来、17年半ぶりの大幅上昇になった。

金融政策運営において重視されるコア指数は前月比0.3%、前年同月比2.5%上昇した。コアインフレ率はFRBの許容上限である2%をやや上回っているが、安定基調は維持されている。

エネルギーを含む総合指数の上昇率は極めて高いが、原油価格が急落して安定すれば、総合指数の上昇率はやがて大幅に低下する。原油価格がピークアウトするなら、米国のインフレ懸念は次第に後退することが予想される。

また、米ドルはユーロだけでなく、英ポンド、加ドル、豪ドルなどの主要通貨に対しても大幅に反発した。2000年以降の米ドルの趨勢的な下落トレンドが修正局面を迎えた可能性も考えられる。

FRBの政策金利であるFFレートが本年4月に2.0%の水準にまで引き下げられた。昨年9月の5.25%の水準から3.25%ポイントも引き下げられ、金融超緩和状況が生み出されているため、原油価格下落や米ドル反発が定着するかどうか、まだ予断を許さない。

しかし、長期トレンドに大きな変化が生じていることは確かであり、少なくとも短期的には原油価格下落、米ドル反発の影響が金融市場に広がる可能性が高い。

中期トレンドの上昇転換につながるのかについては慎重な見極めが必要だが、日米株価が当面上昇傾向を強める可能性が高まっている点に留意すべきだ。

今週は22日(金)にバーナンキFRB議長が毎夏恒例のジャクソンホールでのシンポジウムで講演する。米国のインフレ見通しとFRBの政策対応について、バーナンキ議長がどのように言及するか注目される。

日本では福田政権がこれまでの「基礎的財政収支黒字化」路線から、一転して「バラマキ財政」路線に転換する様相を強めている。総選挙に向け、利権を維持するには手段を選ばぬ無節操さが示され始めている。政策スタンスの変節を政治的視点から論評しなければならないが、これとは別に経済政策が日本経済に与える影響を分析しなければならない。

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