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2008年8月17日 (日)

民主党副代表岡田克也氏に問う

11月23日総選挙実施の可能性を記述したが、総選挙実施が早まる可能性が高まっている。「神州の泉」の高橋博彦氏が「国民の生存権を脅かす自公政権に終焉をもたらそう」のエントリーを掲載された。早期の総選挙実施に備えて、自公政権を終焉させるために志有る者が力を合わせて、より有益な情報発信に努めなければならないことを改めて強く感じさせていただいた。

臨時国会の召集時期は福田首相の求心力を図るバロメーターだ。弱体化した福田政権は公明党の意向に引きずられる傾向を強め、臨時国会召集が9月12日にずれ込む可能性が高まっている。

臨時国会でインド洋での自衛隊による給油活動を延長する法案を衆議院での再可決によって成立させるためには、公明党の賛成と長期の会期が必要である。臨時国会での成立を図るには、遅くとも9月上旬に国会を召集しなければならない。仮に9月上旬に臨時国会が召集されても、十分な会期が確保されなければ法律は成立しない。

福田首相は早期の国会召集方針を繰り返し表明してきた。通常国会が事実上閉幕した6月20日には、8月の国会召集方針を明言したが、7月17日の自公幹事長・国対委員長会談で公明党の北側一雄幹事長が異論を表明し、8月召集の可能性が低下した。

公明党の支持母体である創価学会は来年7月の東京都議会選挙での都議会与党勝利を至上課題としている。この事情から総選挙と都議選の時期の接近を強く嫌っている。総選挙結果によっては自民党との連立を見直すことも視界に入り始めているのではないかとの憶測も生まれている。

元公明党委員長の矢野絢也氏が創価学会に対して訴訟を提起し、国会から参考人として招致されれば喜んで出席するとの意向を表明している。矢野氏はその際には創価学会の池田大作名誉会長の参考人招致を求める考えを示しており、参議院で過半数を確保する野党は参議院での池田氏参考人招致を検討する構えを示している。

公明党はこのような事情を踏まえて、臨時国会召集を9月下旬に遅らせ、会期も短く設定しようとの意向を示しているようである。またインド洋での給油活動を延長させるためのインド洋給油法の期限延長に対しても慎重な姿勢を示している。

福田政権は景気対策を策定する方針を示し、臨時国会に補正予算を提出する方針である。臨時国会を景気対策国会に変質させ、給油法案を先送りする構えを示していることから、11月から1月にかけての総選挙実施の可能性が濃厚になり始めている。

1996年10月20日に橋本政権の下で総選挙が実施された。非自民の得票が新進党と民主党に分散された結果、自民党が勝利して消費税大増税が実施された。比例区での得票率は自民党32%に対して新進党28%、民主党14%で、新進、民主合計の得票率は42%で自民党を大幅に上回ったが、小選挙区選挙の特性により、自民党が多数議席を確保した。

民主党を中心とする野党は、総選挙を通じての政権交代に全精力を注ぐべきである。早ければ総選挙は11月23日にも実施される。民主党は9月21日の代表選挙を有効に活用しなければならない。党内対立を煽るだけの代表選になるなら実施は有害無益だ。党内対立に時間を割く猶予は存在しない。

民主党の岡田克也元代表が『文藝春秋2008年9月号』に「小沢さんと私は違う」と題する文章を発表した。表題小見出しには「「一度裏切った人間は二度裏切る」ことを私は学んだ」と記されている。

民主党内で活発な論争が展開されることは望ましいことだが、総選挙を目前に控えたこの時期に、党代表批判とも受け取れる文章を一般誌に発表する岡田氏の見識が疑われる。

岡田氏は文章の最終部分で、

「自民党を離党後、現在に至るまで、政治家が極限状態において、ある時は裏切り、またある時は裏切られる様を目のあたりにしてきました。そこで学んだことは、一度裏切った人間は二度裏切るということです。

 政治家に求められる最も大切な資質は「信頼」だと思います。私は国民の皆さんに対して、どこまでも真摯に向き合っていきたい。」

と記している。

 岡田氏が「裏切り」と表現するものが具体的に何を指すのかが問題になるが、文章前段に「裏切り」についてのエピーソードが伏線のように記されている。

「政治改革関連法案についての与野党合意が成立し、小選挙区制導入が決まった夜、美味しそうにビールを飲み干した(小沢氏の)姿、突如、新進党の解党を決めたため、「これは有権者への裏切りです」と食ってかかる私に見せた(小沢氏の)憮然とした表情など、今も脳裏に深く刻み込まれています。」(括弧内は筆者補注)

 岡田氏の文章で政治家の「裏切り」が表現される箇所はこの部分以外には1箇所しかない。小沢代表が昨年提示した自民党との大連立について、岡田氏が「有権者への裏切りに他ならない」と記述した部分である。

 一般的な読解能力をもって岡田氏の文章を読むと、

「小沢氏は有権者に対して二度「裏切った」過去を有しており、三たび「裏切る」可能性が高い」

と主張していると受け取れる。総選挙を直前に控えたこの大切な時期に、党代表に対するこれほどの激しい批判を一般国民向けに発信する岡田氏の真意はどこにあるのか。

 小沢氏は小泉「偽装改革」路線に一貫して反対を貫き、一般国民が小泉「偽装改革」の正体にようやく気付き始めたなかで、2006年から2008年にかけて、民主党代表に就任したうえで自公政権を打倒するための野党としての活動を着実に進展させた実績を有している。前原氏や岡田氏は小泉「偽装改革」の欺瞞性を十分に見抜けなかったと批判されても反論できない。

 仮に総選挙を通じて政権交代が実現するとして、その後の民主党の行動を監視する主役は国民である。小沢代表が有権者の意思を無視する行動を取るなら、有権者が黙っていない。岡田氏がそのような懸念を抱くなら、民主党内部で、しっかりと意思を強固に固めるのが先決である。岡田氏が民主党を離党するならともかく、離党もせずに一般国民に愚痴を示しても得るものはない。

 岡田氏は文章のなかで「三つの改革」の提案を示している。具体的には①「社会保障制度改革」、②「地方分権改革」、③「財政構造改革」だ。このなかで岡田氏は、将来的に増税は避けられず、そのための議論を今からスタートさせるべきだと主張する。

 次期総選挙に向けて民主党幹部である岡田氏が提示した提案に対して、私は岡田氏に二つの質問を提示したい。

ひとつは「官僚の天下り根絶」の言及がないことについてだ。社会保障制度を再構築するために、私も将来的には国民負担増大を検討しなければならないと考える。しかし、その大前提として、「特権官僚の特権」の根絶が不可欠だ。

「官僚主権構造」が日本の構造改革の本丸である。「特権官僚の天下り利権」を根絶して初めて「無駄の排除」の言葉が意味を持つ。官僚出身の岡田氏は「天下り根絶」を公約として示すことができないのか。これが、第一の質問だ。

いまひとつは、道路特定財源問題についてのスタンスだ。岡田氏は「暫定税率廃止」よりも「特定財源の一般財源化」に意味があると主張しているが、これは財務省の主張と同一だ。財務省は財務省にとっての利権を意味する「一般財源」の増大を追求している。道路財源の「特定財源」から「一般財源」への変更は、税財源利権の国交省から財務省への移転の意味しか持たない。

道路整備のために「暫定的に」高率税率が適用されてきた。道路整備が進展し、目的を終えたのなら、税率を本則基準に戻し、税財源を国民に返還するのが筋である。「特権官僚の天下り利権」排除を進めず、一般国民への負担の押し付けを放置するのは、政策の手順として間違っている。

民主党が自公政権を打倒しての政権奪取を目指すのであれば、「政・官・業」の癒着構造の上に立つ自公政権の利権構造打破を示すべきである。新政権が官僚利権と大資本利権を擁護し、一般国民に対するしわ寄せを放置する政権であるなら、政権が交代しても国民生活は改善されない。

民主党はいま、総選挙を目前に控えて、責任ある政権公約を国民の前に早急に提示すべき局面に立っている。党の結束を示し、「官僚主権構造の日本」を「国民主権構造の日本」に刷新する責任ある公約提示が求められている。有権者の意思から遊離した民主党議員の猛省を求めたい。

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