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2008年7月

2008年7月31日 (木)

民主党枝野幸男氏の行動を注視しよう

民主党の岡田克也氏が民主党代表選に出馬しない方針を示した。出馬見送りは妥当な決断だ。枝野幸男氏が代表選出馬を検討しているとのことだが、反小沢一郎代表陣営の示威行動として出馬するのなら、政権交代を希求する民主党支持者への背信行為である。出馬を辞退するべきだ。

私は7月27日付記事「政・官・業・外・電 悪徳のペンタゴンとの闘い」に次のように記述した。

「民主党の岡田克也氏が民主党代表選挙への出馬に関して、「政権交代を実現するために何が一番望ましいかという観点で熟考中」と述べた。

政権交代を実現するためには、総選挙に向けて挙党一致の体制を固めることが何よりも大切だ。

国民生活を真剣に考えることなく、官僚利権を温存し、国民福祉を切り捨てる福田政権に対する国民の怒りを民主党は代弁すべきだ。

小沢代表体制を継続して総選挙に臨むべきであることに異論が存在しないなかで、党内抗争の意味しか持たない代表選に無駄なエネルギーを注ぐことは、民主党支持者への背任行為だ。

野党で結束して、ガソリン暫定税率と後期高齢者医療制度廃止に向けての国民運動を民主党がリードすべきだ。

9月21日の党大会を、民主党を軸にした国民運動決起大会に転用すべきである。

民主党議員が、闘う対象を民主党内部に求めるのは間違いだ。」

 

岡田代表は2005年9月の総選挙で民主党が大敗した時の党首である。私は民主党が

①弱肉強食奨励VSセーフティーネット重視

②官僚利権温存VS官僚利権根絶

③対米隷属外交VS独立自尊外交

の対立軸を明確にして総選挙を闘うべきであるとの考えを当時の岡田党首にも提示した。

 弱肉強食奨励に反対する姿勢を「障害者自立支援法反対」によって明示すべきことも述べた。

 「郵政民営化と天下りの根絶。あなたはどちらが本当の改革だと思いますか・・・民主党」という選挙対策コピーも考えた。

しかし、総選挙には生かされなかった。

 2005年9月の総選挙では「郵政民営化=改革=正義」のプロパガンダが国民に刷り込まれ、自民党が地滑り勝利を収めてしまった。

 岡田氏はこの選挙での民主党総責任者だった。したがって、今回の民主党代表選に出馬しないとの判断は適正である。いずれまたチャンスが訪れると考える。

共同通信を除くマスメディア報道の大半は7月30日の日本記者クラブでの岡田氏講演の最重要発言を伝えていない。次の発言だ。

「衆院解散・総選挙が近い時期の代表選は本来なら望ましくない」。

岡田氏は代表選に際して民主党が熟慮しなければならない点をしっかり認識しているのだ。総選挙を目前に控えて、民主党は挙党一致体制を固め、総選挙での勝利に向けて全精力を注がねばならない局民にある。

総選挙にプラス効果をもたらす代表選を実現できるなら代表選を実施すべきだが、党内抗争、党内対立を煽る意味しか持たない代表選であるなら、小沢氏の無投票再選を決定するのが望ましい。

枝野幸男氏は前原誠司氏、仙谷由人氏とともに、反小沢一郎代表陣営の中核である。民主主義政党であるのだから、党内に各種意見があるのは当然であるし、党内での意見対立存在も自然だ。

しかし、政党所属の代議士が国民の政党に対する負託を受けている存在であることを忘れてもらっては困る。日本の政治はいま、最も重要な局面にさしかかっている。

昨年7月の参議院選挙、本年4月の衆議院山口2区補欠選挙、本年6月の沖縄県議会選挙で、国民は自公政権に明確に「NO」の意思を示した。次期総選挙で野党が勝利すれば、政権交代が実現する。国民の多数が現在の自公政権を終焉させることを熱望している。

もちろん、政権交代は「ゴール」ではなく「スタート」だ。「大資本」、「特権官僚」、「外国資本」、「マスメディア」と「政治」が癒着して結託し、一般国民を不幸にしている「政官業外電 悪徳のペンタゴン」を打ち破り、「国民を幸福実現を目指す政権」を樹立し、「真正の改革」を始動させなければならない。

民主党の一部勢力が「小沢一郎氏憎し」の感情から、民主党代表選を党内抗争の場に変質させ、政権交代に向けて高まりつつある「空気」を壊すなら、その行為は「自公政権NO」=「政権交代熱望」の意思を持つ有権者に対する背信行為になる。

自己の利益、感情のために公共の利益を損なう、利己的行動でしかない。

岡田克也氏は講演で、「衆院解散・総選挙が近い時期の代表選は本来なら望ましくない」と述べたあと、(代表選は)「党をアピールするステップと位置付けることもできる。意欲をお持ちの方はどんどん出ればいい」とも発言した。

これでは、発言の力点がどこにあるのか分からなくなる。

①代表選は党をアピールする重要な機会である、

②総選挙に近い代表選は好ましくない、

はいずれも「真」だが、問題は9月21日の代表選についてどう考えるかだ。

「代表選は本来、党をアピールできる優良な機会だが、総選挙を目前に控えているので、小沢氏の無投票再選が望ましい」と考えているのか、はっきりしない。

岡田氏は「他の民主党議員にも総選挙への影響を熟慮して代表選への対応を考えていただきたい」と発言するべきだったと思う。

日銀総裁人事で民主党は財務省出身者の総裁、副総裁就任人事案に不同意した。武藤敏郎元事務次官、田波耕治元事務次官の総裁就任への不同意を決めたあと、渡辺博史元財務官の副総裁就任人事案については紆余曲折があった。

小沢一郎氏がテレビ番組で渡辺氏人事に不同意の方針を表明した後、民主党内部で渡辺氏の副総裁就任に同意する動きがあった。小沢一郎氏の民主党内での影響力を低下させる狙いがあったと考えられる。ぎりぎりのところで、謀略成就は回避された。

民主党議員が次元の低い思考で行動するなら、大願成就は覚束ない。賛否両論があるのは当然だが、大きな目標の前では、小異を残して大同につかなければ、前に進むことができない。

マスメディアが「総選挙を控えての代表選が本来望ましくない」との岡田氏の正論を伝えないのは、政府与党が民主党に代表選を実施させて、小沢氏の求心力を低下させようと考えているからだ。

また、「国際評論家小野寺光一の「政治経済の真実」」主宰者の小野寺光一氏は、サポーター制度に基づく民主党代表選投票制度には、自民党などの政権与党勢力が関与できるリスクがあり、代表選が歪められる可能性が高いと指摘されている。

自公政権に「NO」の考え方を持つ人々の間に、民主党を軸とする勢力による政権樹立について、さまざまな意見が存在するのは事実だ。

「村野瀬玲奈の秘書課広報室」の村野瀬さんが指摘されるように、政権樹立を目標と考えずに出発点と考えることが大切だと思うが、大資本と外国資本の利益増大だけを追求し、官僚利権を死守し、国民に背を向ける利権まみれの自公政権を打倒することに総力を結集するべきだと思う。

政権交代を希求する有権者に対する背信行為を監視する視点から、枝野幸男議員の行動を注視しなければならない。

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善良で勤勉な大半の一般公務員

排除しなければならないのは「特権官僚」だ。善良な「一般公務員」は擁護しなければならない。「偽装CHANGE」勢力の口車に乗って、巨悪を見逃し、小悪を攻撃すべきでない。一般国民の利益と敵対する「特権官僚」の利権に攻撃の照準を絞らなければならない。

  

講談社名誉毀損事件損害賠償請求訴訟勝訴について、高橋清隆氏ライブドアPJニュースを執筆くださいました。厚くお礼申し上げます。

また、多くの皆様から心のこもった祝辞や温かなメッセージをいただきました。飄(つむじ風)」様「クマのプーさん ブログ」様「生き抜く力」様Easy Resistance」様「カナダde日本語」様「植草一秀氏を応援するブログ」様「情報処理技術者試験・英語学習/ジャンジャン日記」様osuzuのひとりごと」様「パタヤの風に吹かれて」様「パタリ」様Snowy*Heart ~心と体の声を聴こう~」様「似非オカリストのため息」様「オホーツクの野生のうた」様「オホーツクの詩季」様「雑談日記(徒然なるままに、。)」様「晴天とら日和」様Japonesian Trans-ApocalypseTrans-Modern New Platonic Trans-Creation, or philosopractical chaosmos」様「憲法と教育基本法を守り続けよう」様「へびのように賢く、はとのように素直であれ」様「カイザルのものは、カイザルへ」様をはじめとする多くの皆様の温かなメッセージに感謝申し上げます。

「神州の泉」様「いつものつぶやき」様「こづかい帳」様「ラーゲリのブログ」様「kobaちゃんの徒然なるままに」様YAMACHA@飛騨民主ブル新聞」様「_~山のあなたの空遠く幸い住むと人のいう~」様「杉並からの情報発信です」様「私好みのimagination」様「わんわんらっぱー」様には記事の紹介ならびに貴重なご高見のご提示を賜りましてありがとうございます。微力ながら今後も努力してまいる所存です。なにとぞご厚誼賜りますようお願い申し上げます。

   

「偽装CHANGE」勢力は官僚機構を標的にすることを装うが、特権官僚の利権には切り込まない。一般公務員を標的にし、民主、共産、社民の支持基盤のひとつである一般公務員の「悪のイメージ」を人々に植え付けようとしている。

自公政権の至上命題は、「政官業外電 悪徳のペンタゴン」による利権を維持すること。政権交代阻止、権力死守だ。一般国民の幸福を考えず、大資本、外国資本の利益増大を図る。特権官僚は見返りに天下り利権を確保し、電波=マスメディアは「悪徳の政治」を「正義の政治」に偽装することで、大資本、外国資本、特権官僚、政治屋から利得を得る。

一般公務員に問題がないわけではないが、日本の政治構造腐敗病巣の中核ではない。腐敗病巣の中核は「政官業外電 悪徳のペンタゴン」に存在する。

「政府に無駄がある」のは事実だし、「政府の無駄を排除しないままでの国民負担増加」を国民が受け入れないことは確かだ。

福田政権は「政府の無駄を排除する」ことを偽装したうえで、国民負担増加を実現しようとの青写真を描いている。

そのための「偽装」が演じられる。国民が問題にしなければならないのは、特権官僚の正当性のない「特権」だ。「特権」は少数採用の「第1種国家公務員」、いわゆる「キャリア官僚」制度と表裏一体をなしている。

渡辺喜美行革相が「見せ涙」を流した「国家公務員制度改革基本法」成立によっても、「キャリア官僚」制度は名称を変えて温存されることになった。

「キャリア官僚制度」=「特権官僚」制度が日本政治構造の「病巣の中核」である。この根本改革なくして、制度刷新は実現しない。

「特権官僚」の属性と「一般公務員」の属性はまったく異なる。

「上昇志向=名誉・利権志向」と「利己的か社会貢献的か」の二つの軸で分類すると、

「特権官僚」は「著しく上昇志向=名誉・利権志向が強く」、「極めて利己的な価値基準を強く有する」のが特徴である。

これに対して、「一般公務員」は「上昇志向=名誉・利権志向が弱く」、「社会貢献的な価値基準を強く有する」特性を持つ。

あくまで、私の主観的な判断であり、平均像であるから、当然個人差はある。

主観的判断だから、異なる判断を持つ人も存在するだろう。大蔵省で2年間勤務した経験、私が接触した多数の特権官僚、一般公務員を基準にした経験則で記述していることをあらかじめ断わっておく。

現実の政治では、政府施策の立案が官僚機構に丸投げされている。政治屋は決定された政策が生み出す利権争奪戦に全精力を注ぐ。

「大資本」、「外国資本」に利益をもたらす施策の立案を特権官僚に丸投げし、出来上がった施策を利権獲得の手段として政治屋が活用する。「特権官僚」は政治屋の指示に従い、対価として「特権官僚」としての「特権」を確保する。

「政管業外電 悪徳のペンタゴン」の心臓部分を「特権官僚」が担うのだが、「一般公務員」は「悪事」を実行する主体ではない。

「一般公務員」の大多数は、勤勉で善良な労働者である。

非効率でサービス精神に欠ける一般公務員が多いのは事実だが、行政機構の構造、政治過程上の「悪」ではない。

日本の代議制民主主義は国民が選挙で代議士を選出し、選出された代議士によって構成される議会での多数派が政権を樹立して行政を司る制度だ。

公務員は議会多数派によって作られる政権の意思にしたがって行政を執行する役割を担うのであって、公務員が主体的に政策立案を担う正当性は存在しない。

政党が政策立案能力を高め、政権が多数の国会議員を行政機関の枢要ポストに配置し、行政を執行することが求められている。

この意味で、「上昇志向=名誉・利権志向が弱く社会貢献的な志向を有する」一般公務員型の人材が強く求められる。

拙著『知られざる真実-勾留地にて-』第一章「偽装」21「天下り全廃なくして改革なし」、22「第1種国家公務員の廃止」に私の意見を記述したので、ぜひご高覧賜りたく思う。

キャリア官僚制度の下での「特権」が維持されるから、「特権」を求めてペーパーテストの得点が高い人材が「特権官僚」を志望する。それぞれの行政官庁は「営利企業」と化しており、人事考課に際して、各省庁の利益増大への貢献度が人事評価基準になる。

省庁の利益を低下させて国民の利益に貢献する行動を取ろうものなら、遠隔地に片道切符で左遷されてしまうのは当然だ。

こうして、「特権官僚」の行動は「省の利益拡大志向」を強め、国民の利益に反するものになる。

日本国憲法第15条第2項

「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」

を踏まえると、第1種国家公務員を廃止することが望ましい。日本の代議制民主主義制度は「特権官僚」を必要としていない。

 「特権官僚制度」、「特権官僚」、「天下り」、「天下り機関」を根絶することが「真正の改革」の根幹である。

 自公政権が「大資本」、「外国資本」、「特権官僚」、そして「政治屋」の利権を死守しようとするなら、対抗勢力はこれらの利権を根絶し、「一般国民」の幸福追求を目指すことを、総選挙に際して国民に訴えるべきだ。

 「一般公務員」の立ち位置は「一般国民」と変わらない。自公政権は「政官業外電 悪徳のペンタゴン」による利権まみれの腐敗した癒着の罪を、「一般公務員」に転嫁しようと企てている。

 野党支持者の内部対立を誘発しようとの魂胆が見え隠れしている。

「小悪に光を当てて巨悪を隠す偽装」が企てられている。

「特権官僚」を根絶し、質の高い「一般公務員」を守らねばならない。「一般国民」と「一般公務員」は同じ座標に位置している。

「政治屋・特権官僚・大資本・外国資本・マスメディア=政官業外電 悪徳のペンタゴン」が独占する不当利権を根絶し、一般国民、一般公務員の幸福を追求する政府を樹立しなければならない。

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2008年7月30日 (水)

「政官業外電 悪徳のペンタゴン」の基本構造

昨日7月29日のテレビ朝日番組「報道ステーション」に舛添厚労相が出演した。「歴代幹部の年金不祥事に対する責任を明確化させるか」の司会者の問いに対して、舛添厚労相は「法とルールに則って対応する」の一点張りだった。

「法律の規定でしか対応しない」との回答で、「責任を問わない」方針を示した。責任ある歴代幹部は「天下り」により、国民が拠出した血税に巣食っている。

国民には「年金記録紛失・改ざん」、「後期高齢者医療制度」、「障害者自立支援法」、「生活保護削減」、「非正規雇用増大促進」、「年金保険料増大」、「医療窓口負担増加」で苦しみを押し付けながら、特権官僚の利権を死守する。

これが福田政権の基本スタンスだ。福田政権だけではない。歴代自公政権の基本スタンスである。

私は自公政権の基本構造を「政・官・業・外・電 悪徳のペンタゴン(五角形)」と名付けた。歴代自公政権は「国民の幸福を第一」に考えない。「国民は利権維持の観点から選挙で与党に投票させる対象」であり、政権与党にとって「国民は権力を維持するための道具」にすぎないのだ。

私は次期総選挙での対立軸は以下の三つだと考えている。

①弱肉強食奨励VSセーフティーネット重視

②官僚利権死守VS官僚利権根絶

③対米隷属外交VS独立自尊外交

 このことは以下のように置き換えることができる。

①は「大資本の利益VS国民の利益」

②は「官僚の利益VS国民の利益」

③は「外国(資本)の利益VS国民の利益」

 「政治屋」は「特権官僚」に働きかけて、「大資本」と「外国資本」の利益を増大させる政策を実現させる。「特権官僚」は「特権擁護」と引き換えに、「政治屋」の指示通りに動く。

「政治屋」は利益増大の恩恵に預かった「大資本」、「外国資本」からリベートを得る。

「電波」=「マスメディア」は「大資本」と「外国資本」から広告収入を得る。また、「電波」は業法で「特権官僚」に支配され、NHKは予算と設置法で「政治屋」と「特権官僚」に支配される。

「政治屋」が「大資本」、「外国資本」の利益を増大させる政策を「特権官僚」に策定させる。「特権官僚」は「政治屋」の指示に従う代わりに「特権」を得る。

「電波」は、これらの「悪徳の政治」を「正義の政治」に偽装することにより、「大資本」、「外国資本」、「特権官僚」、「政治屋」の支援を受ける。

これが「政・官・業・外・電 悪徳のペンタゴン(五角形)」の基本構造である。「大資本」、「外国資本」、「特権官僚」の利益と対立するのが「国民」の利益だ。

小泉政権が推進した弱肉強食政策。大資本の労働コスト削減への猛進を小泉政権が全面支援した。非正規雇用が激増したが、非正規雇用者の正当な権利は侵害された。史上空前の利益を得る大資本・外国資本と汗水流して働いても年収200万円を確保できない多数の一般国民が生み出された。

特権官僚の天下り利権が死守される一方で、障害者自立支援法、後期高齢者医療制度が強行実施され、一般国民の生存権が侵害されている。

母子世帯、高齢者の生活保護加算が切り込まれた。所得税増税、社会保険料負担増加だけは、着実に実施された。

自公政権は上記構造のなかで、「大資本」、「外国資本」、「電波」の利益を増大させるために政治を運営しており、その具体的策定と実行を「特権官僚」に委ねているから、「特権官僚」の「特権」を切り込むことができない。

渡辺行革相は福田政権の国家公務員制度改革が見せかけだけの「まやかしもの」であることを自覚しているからこそ、「見せ涙」をテレビカメラに映す三文芝居を打たなければならない状況に追い込まれたのだろう。

「タクシー業界規制」や「Jパワーへの外国資本出資」、あるいは「外資によるブルドックソース買収問題」などに関して、自民党内で意見対立があるが、しょせんは「コップの中のいさかい」にすぎない。

ヘンリー・オーツさんが言われる通り、「目くそナナクソの違いでしかない」。政治屋が利益を提供しようとする対象が「オールド大資本」であるか、「ニュー大資本」あるいは「外国資本」であるかの違いしかない。リベートを求めて「政治屋」稼業にいそしむ点で、まったく相違はない。

ここで注意が必要なのは、公務員を「特権官僚」と「一般公務員」に峻別しなければならない点だ。自公政権の政治屋は「大資本」、「外国資本」、「特権官僚」、「電波」との利益共同体である。「政・官・業・外・電」は癒着して腐敗している。

不正で法外な利得を得ているのは、「特権官僚」であって「一般公務員」ではない。「特権官僚」が「一般公務員」の人事権を完全に握っているために、「一般公務員」は「特権官僚」に逆らうことができないだけなのだ。

政治の対立軸に話を戻す。

①弱肉強食奨励VSセーフティーネット重視

②官僚利権死守VS官僚利権根絶

③対米隷属外交VS独立自尊外交

に沿って、いま、どのような政治が求められているのかを考える。

 新しい政府は、

①一般公務員を含む一般国民の幸福を追求する。一般国民の生存権を守る。

②特権官僚の特権を根絶する。

③外国勢力の言いなりにならない。国民の利益、国民の生活を第一に考える。

べきである。

 舛添厚労相の思考に「特権官僚」の「特権」を排除する意思はかけらも存在しない。社会保険庁の解体にあたり、新機構はヤミ専従者などを雇用しない方針を定めた。

しかし、社会保険庁が実態上黙認してきたヤミ専従制度に基づいて組合活動に従事してきた職員を雇用しないのは、「法とルール」に定められていることなのか。

自公政権は次期総選挙で「一般公務員」を攻撃の標的に定めたと見られる。「偽装CHANGE」キャンペーンにより、「官僚機構の無駄を根絶する」などのプロパガンダを広げる考えだ。

しかし、自公政権の「政官業外電 悪徳のペンタゴン」の癒着の構造は不変だ。この「悪徳の政治」を政治権力に支配されるマスメディアが「正義の政治」に偽装して世論を誘導しようとする。

「政官業外電 悪徳のペンタゴン」による「偽装CHANGE」工作の実態を暴き、一般国民の利益を第一に考える新しい政府を、次期総選挙を通じて必ず樹立しなければならない。

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2008年7月29日 (火)

745億円原油高対策の浅ましい魂胆

福田政権が745億円の漁業者向け原油高対策を決めた。福田政権の浅ましい魂胆を象徴している。7月20日付記事「漁業被害過剰報道の裏側」に記述したように、政府与党は次期総選挙への影響を計算して漁業者向け対策を決めた。

こうした財政政策出動は、2011年度基礎的財政収支黒字化の目標を掲げる福田政権の基本方針に矛盾する。

政府は漁業者の苦境をクローズアップさせて、財政支出追加が正当な政策であるように偽装した。

同時に、漁業者の苦境をクローズアップさせることにより、重要な問題に迅速に対応する政府の印象を広めようとしている。

いずれも、支配下のマスメディアを総動員しての演出だ。

①原油高騰が進行するなかで、政府施策の宣伝効果における費用対効果を考慮し、漁業者対策を実施することを決める。

②マスメディアを総動員して漁業者被害を過剰報道させる。同時に漁業者関係団体が大規模示威行動を行うことと連携する。

③漁業者に限定した補助金行政を実施する。

これらの流れは当初から計算されたものであったと考えられる。

目的はただ一つ。「次期総選挙での政権交代を阻止し、政治権力=悪徳利権を死守すること」

「政・官・業・外・電 悪徳のペンタゴン」が総力を挙げて利権死守に動いている。マスメディア情報は完全にコントロールされていると認識する必要がある。

2009年度予算概算要求基準47.8兆円が政府与党の政策懇談会で了承された。7月29日付日経新聞2面記事は、福田首相の「とにかく選挙に勝たなければならないから」の言葉を紹介した。

大田弘子経財相は、「(基礎的財政収支)黒字化目標は必ず達成する。方法は三つしかない。歳出削減、成長力強化による税収増で足りなければ増税だ」(2008年7月23日付中日新聞)と述べている。

日本経済は本年年初から景気後退局面に移行した可能性が高い。2001年に小泉政権が発足して以来、弱肉強食奨励の経済政策が跋扈した。大企業は史上最高益を更新し続けたが、中小企業は不況に取り残されたままだった。

人間性を破壊する企業の労働コスト削減が奨励され、非正規雇用とワーキングプアが激増した。生活苦に直面しているのは漁業者だけでない。

本年4月にガソリン税の暫定税率が期限切れとなり、税率は本則基準に戻った。

ガソリン税は1954年に道路特定財源となり、1974年に租税特別措置法により「暫定的に」税率が上乗せされた。その後、暫定税率は3度引き上げられたが、「暫定的な」税率が34年間も継続した。

2008年度当初予算案での揮発油税および地方道路税の見積もりは5兆4043億円で、暫定税率部分は2兆6004億円だ。

暫定税率撤廃により、2008年度合計で2.6兆円の減税効果が得られたはずだった。

巨額の「特別増税」が34年間も継続して実施されてきたのである。直近の増税規模は1年あたり2.6兆円でGDP比約0.5%だ。民主党を中心とする野党が暫定税率の適用期限延長に反対し、暫定税率は期限切れになり、34年ぶりにガソリン税率が本則基準に戻った。

ところが、福田政権は衆議院の3分の2以上の多数の力で暫定税率を復活させた。直近の有権者の意思を反映する参議院の決定を踏みにじる暴挙だ。まさに「権力の濫用」である。

ガソリン価格が1リットルあたり25円値下がりすることが、もっともバランスのとれた原油高対策である。漁業関係者が使用する重油に恩恵が行き渡らないなら、同程度の施策を検討すればよい。

福田政権はガソリン税の暫定税率を復活させたうえ、道路特定財源を一般財源化する方針を決定した。

ガソリン税の増税を維持したまま、ガソリン税を全額一般財源化するわけだ。これを最も望んでいるのは財務省である。

世間一般に「特定財源=悪、一般財源=善」の図式が流布されているが、これは財務省が財務省の利権拡大のために流布しているものだ。財務省利権の最大の擁護者だった小泉元首相も「一般財源化」を主張していた。

一般財源化論議の本質は「税源」という「利権」をめぐる争奪戦にすぎない。「道路族」と「国土交通省」は「道路特定財源」を追求し、「財務族」と「財務省」は「一般財源化」を追求している。

原油高は漁業関係者だけでなく、国民生活全般に重大な影響を及ぼしている。漁業関係者の燃料費についてだけ、価格上昇の9割を政府が負担する施策の矛盾を追及しなければならない。

自民党は補助金付与の政策を選好する。特定業種向け施策、補助金付与こそ、利権の温床になるからだ。

補助金付与に対して、制度減税は利権にしにくい。国民の視点に立てば、制度減税が望ましいことは明白だ。不透明な補助金付与策より、ガソリン税の暫定税率廃止の方が格段に優れた施策である。

また、社会保障費の自然増2200億円を削減する方針が維持された。

「国民を幸福にするために政府が存在する」基本認識が欠落している。

「国民は利権維持の観点から選挙で与党に投票させる対象であり、政権与党にとっては権力を維持するための道具にすぎない」との発想がはっきりと浮かび上がる。

国民は現実を直視して、次期総選挙で「国民の幸福を第一に考える政府」を樹立しなければならない。

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2008年7月28日 (月)

「フライデー」名誉毀損賠償請求訴訟で勝訴

本日7月28日、東京地方裁判所民事第33部において、株式会社講談社に対する名誉毀損損害賠償請求訴訟の判決が下され、勝訴した。

本件は講談社発行の「フライデー」誌2004年4月30日号が、事実無根の虚偽内容の記事を公表し、私の名誉を著しく傷つけたことに対して損害賠償を求める訴訟を提起したものである。その訴訟に対する判決が本日下された。

判決は記事内容が真実でなく、また真実と信じる相当の理由もないと認定した。

「フライデー」誌による2004年4月の虚偽報道は、一連の虚偽報道の先駆けとなる事案で、警察当局が虚偽の情報を流したとの被告の弁明を仮に信用するとしても、裏付け調査をまったく取らずに虚偽情報をそのまま報道した点で、極めて悪質であると言わざるを得ない。

刑事事件について私は一貫して無実の真実を訴え続けているが、多くのメディアが事実無根の虚偽の情報を流布し、一種の印象操作が繰り広げられたことによるダメージは計り知れないものがある。

公表されている事件以外に、私が警察と係わった事案は1件も存在しない。公表された事件については、拙著『知られざる真実-勾留地にて-』の巻末資料にその概要を記述し、無実潔白の真実を訴え続けている。

現在係争中の刑事事件では、私を逮捕したという民間人が存在するが、犯行場面はまったく目撃していない。被害者も後ろを振り返ったが、犯人を直接目撃したわけではない。また、犯人を掴んだわけでも、犯人の手を目撃したわけでもない。

警察側の目撃証人は私が犯人だと証言したが、警察で事情を説明した日時が公判証言と調書で食い違い、被害者の立っていた位置が被害者証言とかけ離れるなど、その供述の信用性は著しく低い。

また、検察側目撃証人は犯人の顔および左手を注視したと証言したが、眼鏡、肩かけバッグ、容貌、左手にかけていたとされる傘、などの諸点で、私が犯人であるとの仮説と矛盾する証言を示した。

他方、事件発生当日、たまたま同じ電車に乗り合わせた乗客が名乗り出て、法廷で証言してくれた。この証人は私が無実であることを確実に証明する重大な証言をしてくれたが、証言内容は客観的に極めて信用性の高いものだった。

また、繊維鑑定結果も私の無実を裏付ける内容を示した。詳しい内容はNPJサイト「控訴審第1回公判傍聴記」に示されているので、ぜひご高覧賜りたい。

この事件では、私が蒲田駅事務室で警察官に犯行を認めるような発言をしたとの警察官証言が証拠として採用されたが、そのような事実は存在しない。

「フライデー」事件で被告の講談社は、警察関係者が虚偽情報をリークしたと弁明したが、仮にこの陳述が事実だとすると、警察当局の行動は糾弾されなければならない。

マスメディアは警察、検察当局発表の情報を、真偽を確認することもなく、そのまま報道するが、今回の「フライデー」事件での東京地裁判決は、メディアの取材のあり方、特に捜査機関等からのリーク情報に関して自らの責任で裏付け取材を行わないような取材のあり方に警鐘を鳴らすものになっている。

刑事事件については現在、上告審で係争中であるが、法廷の場にとどまらずに無実の真実を明らかにするために闘い抜いて参る覚悟でいる。

名誉毀損損害賠償請求訴訟では、小学館訴訟での和解徳間書店訴訟での勝訴に次いで、今回の勝訴を得たが、一連の訴訟活動においては、梓澤和幸先生を団長とする7名の弁護団の先生より、身に余る多大のご支援とご尽力を賜っており、勝訴はその賜物である。この場を借りて弁護団の先生各位に心からの謝意を表明申し上げたい。

以下は、本日判決後の弁護団による記者会見で配布した弁護団作成資料と私のコメントである。

原状回復には程遠いが、「真実は必ず勝利する」の言葉を改めて胸に刻み、一歩ずつ進んで参りたい。

(資料1)記者会見配布弁護団説明資料

「判決のご報告」

2008年7月28日

植草一秀氏名誉毀損訴訟弁護団

 本日、東京地方裁判所民事33部において、植草一秀氏と、週刊誌「フライデー」を発行する株式会社講談社及び「フライデー」誌編集長との間の訴訟(平成19年()第9897号損害賠償等請求事件)において、被告らに対し、原告に110万円の支払を命じる判決が下されました。

 本件は、講談社発行の「フライデー」誌2004年4月30日号において、植草一秀氏に関する虚偽の前科事実等を掲載し、同氏の名誉を毀損したことについて損害賠償請等を求めたものです。本日の東京地裁判決では、以下のとおり、講談社の記事内容に真実性も、また、そのような記事を掲載することについての相当性も認められないと判断されました。

 判決は、講談社の取材経緯について、「結局、取材班は、報道関係者らの間の噂に基づき、客観的な裏付けもないまま、電話取材に対するAの回答からの感触のみに基づいて、極めて短時間のうちに自らの判断により本件名誉毀損部分を含む本件記事を作成し、入稿を終了したものというほかない。」と判断し、メディアの取材のあり方、特に捜査機関等からのリーク情報に関して自らの責任で裏付け取材を行わないような取材のあり方に警鐘を鳴らしています。

 原告としては慰謝料額についてはさらに増額されても良かったのではないかと考えますが、上記のようなメディアの無責任な取材方法によって作成された記事については、その真実性・相当性の何れも認定することできない、と判決において明確に判断されている点は高く評価できるものと考えます。

 

(これまでの経緯)

 植草一秀氏の虚偽の前科に関わる報道について提訴した下記の各訴訟は、仮に刑事事件の対象とされた人に対してであっても、個人の尊厳は何ものに優るという価値(憲法13条、憲法前文における基本的人権尊重主義)に立脚すれば、水に落ちた犬は叩けと言わんばかりの「弱いものいじめ」の報道は決して許されるものではないと戸の立場から提訴に及んだものです。

 刑事事件に関わる相当な範囲での報道は、原則として、報道の自由により保護されると考えます。しかし、提訴した5件の訴訟で問題とした記事は、植草氏の前歴等についての虚偽の事実を伝えるものであり、しかも、十分な取材が尽くされたものとは言えず、記事としての真実性・相当性を欠くものでありました。

 以下は、関連訴訟に関する現在までの経過です。

①対小学館(女性セブン) 東京地裁民事第41部
 2008年4月4日、同誌への謝罪文の掲載及び植草氏への100万円の支払を内容とする和解が成立しました。なお、謝罪文は同誌6月12日号に掲載されました。

②対徳間書店(アサヒ芸能) 東京地裁民事第34部
 2008年5月21日、植草氏に対する名誉毀損を全面的に認め、同氏への190万円の支払を命じる判決が下され、既に確定しています。

③対毎日新聞社(サンデー毎日) 東京地裁民事第42部
 既に結審し、2008年9月8日(月)13時10分から527号法廷にて判決言い渡し予定です。

④対朝日放送(ムーブ!) 東京地裁民事第39部
 2008年9月3日、午後4時から弁論準備期日が予定されています。   

以上

(資料2)記者会見配布原告コメント

対株式会社講談社(「フライデー」)判決についてのコメント

平成20年7月28日

植 草 一 秀

今回の判決は、賠償額の認定を除けば私の主張をほぼ全面的に認めたものであり、妥当な判断が示されたものと考えています。

「フライデー」事件は、一連の虚偽報道の先駆けとなる事案で、警察当局が虚偽の情報を流したとの被告の弁明を仮に信用するとしても、裏付け調査をまったく取らずに虚偽情報をそのまま報道した点で、極めて悪質であると言わざるを得ません。

社会に多大な影響力を持つメディアは報道にあたり、十分な事実確認、適正な裏付けの確保を求められています。虚偽の情報の流布により人間の尊厳は大きく損なわれます。報道に関わるすべての言論機関、言論人にはこのことを改めて強く認識していただきたいと思います。

法廷での闘いを含めて、違法な人権侵害の行為に対しては、今後も毅然とした姿勢で対応して参りたいと考えております。

以上

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「バラマキ財政派」というプロパガンダ

私の財政政策についての考え方を「積極財政主義」と理解している人が多い。これは正しくない。

京都大学助教授に就任した1991年以降、私は経済政策に関する論評を数多く発表するようになった。

「中央公論」1991年11月号に「バブル崩壊後日本経済のゆくえ」を発表し、日本のバブル生成・崩壊が米国の経済政策と密接に関わっていることを論じた。

1981年に発足したレーガン大統領の経済政策が米国の双子の赤字を生み、85年のプラザ合意、円高を生んだ。円高・金利低下で日本の資産価格が急上昇した。

1987年、日銀は利上げを予定したが、米国でブラックマンデーの株価急落が生じ、米国の要請で利上げを中止した。

1988年発足のブッシュ政権は「強いドル」を掲げたが、日本弱体化の思考を内包していたと考えられる。89年以降、円安・金利上昇が広がり、日本のバブルは崩壊に向かった。

中央公論所収論文の当初タイトルは「漂流する日本経済に明日はあるか」だった。経済外交の場は国益がぶつかり合う戦場である。経済政策に関する高度の専門能力、外国政府と渡り合う交渉力がなければ、経済外交で敗北を喫する。

日本の政策当局は専門能力と外交力とを欠いていた。政策当局が高い能力を持たなければ一国経済を守ることはできない。

論文で私は「経済政策能力の重要性」と「国益がぶつかり合う経済外交の一国経済に与える影響の重大さ」を説いた。

この論文をベースに1992年、『金利・為替・株価の政治経済学』(岩波書店)を上梓した。このころから、経済政策に関する論評を数多く発表するようになった。

1990年以降で、私が財政政策について強く意見を提示したことが3回ある。小泉政権は私の主張を排除しようと、私の考え方を「積極財政」、「バラマキ派」と中傷し、マスメディアが偏向報道を展開した。しかし、これらの表現は誤りだ。

最初の提言は1992年だ。日本経済は91年年初から不況に突入した。しかし、宮沢政権の不況認定は92年1月まで遅れた。日銀は91年末まで、「巡行速度への望ましい景気減速」と評価していた。

私は1991年時点で、株価、不動産価格の急落を踏まえ、深刻な不動産金融不況が到来すると判断した。経済の急激な落ち込みを回避するための景気悪化緩和政策が必要であることを、92年年初から強く主張した。

財政政策発動に最も強く抵抗したのは大蔵省だった。1990年に赤字国債発行ゼロの財政再建目標を達成した直後で、大蔵省は赤字国債発行に強く抵抗した。

しかし、政策対応の遅れが株価下落を増幅し、景気悪化が加速した。結局大型景気対策が必要になり、財政赤字は激増してしまった。早期の景気対策は財政赤字拡大策ではなく、中期的に見れば財政健全化策なのだ。

2度目の主張は1997年である。日本経済は1996年に景気回復を実現した。株価も上昇した。私は1996年年初から一人で主張を始めた。97年に行き過ぎた増税を実施すると、事態を著しく悪化させることを警告した。

1996年7月号の「論争」(東洋経済新報社)に「財政再建最優先論に異議あり」と題する論文を発表した。日本経済は回復過程に移行しているが、資産価格下落に伴う不良債権が巨大な「地下マグマ」として存在していた。

行き過ぎた緊縮財政政策は、景気悪化-資産価格下落-金融不安の悪循環を発生させ、最悪の場合「金融恐慌」を発生させる原因になる。

私は、97年度増税を圧縮する必要があると主張した。私の提案は消費税率を97年4月に1%、98年4月に1%と、2度に分けて引き上げるべきだというものだった。

この提案では1年あたりの増税規模は2.5兆円になる。バブル崩壊不況から回復したての日本経済に課す負荷はGDP比0.5%程度にとどめるべきだと主張したのだ。

財政支出拡大を主張したのではない。また、税制構造改革に反対したのでもない。財政構造改革はようやく実現した日本経済の回復基調を損なわない範囲内で進めるべきだと主張したのだ。

橋下政権は消費税5兆円、所得税2兆円、医療費負担2兆円、公共事業削減4兆円、合計13兆円のデフレ策を実行した。大蔵省の近視眼的な超緊縮財政政策を採用してしまった。結局、2年間で財政赤字は倍増してしまった。

3度目が2001年度だ。私は「中立」の財政政策運営を主張した。マクロ経済の視点に立つと、財政政策が「積極」、「中立」、「緊縮」であるかは、財政赤字を「拡大」、「不変」、「縮小」させるかで判定される。

2001年度当初予算の緊縮の程度は97年度の橋本政権を上回り、過去最大になっていた。経済が回復傾向を示すなかで、行き過ぎた緊縮策を強行すれば、97、98年の二の舞を演じる可能性が高かった。

「行き過ぎた緊縮策」を「中立の政策」に修正すべきであると主張したのだ。この論議を正確に理解してもらうには、やや細かな説明が必要だ。

拙著『現代日本経済策論』(岩波書店)第7章「財政構造改革」(6)「財政問題の制度的側面」に、この問題を記述した。しかし、テレビ番組などでの説明には適さない。

田原総一郎氏に代表される「御用言論人」は、私の主張を「積極財政」、「バラマキ財政」の表現で総括し、虚偽のイメージを視聴者に植え込む。

また、財政政策の内容として、私は「裁量支出追加型」でない、「使途自由な購買力付与型」の政策が望ましいと主張してきた。

景気対策ではすぐに公共事業が思い浮かべられるが、このような「裁量支出」は利権の温床になりやすい。

これに対し、「所得減税」、「失業給付拡充」、「ガソリン税率引き下げ」などの施策は、プログラムによって減税や政府支出が行われ、利権と結び付きにくい。

また、個人などが減税資金を自由意思で支出するから、資源配分が市場に委ねられることになる。このような理由から私は、景気対策をできるだけ「裁量支出」でなく「購買力付与」で実施すべきとの主張も繰り返してきた。

2001年度、小泉政権は超緊縮策を実施し、日本経済は崩壊した。結局、小泉政権は2度に渡って補正予算を編成し、5兆円の財源調達を追加した。

それでも小泉政権はこの失敗に懲りず2002年度も超緊縮予算を編成した。私は7月のNHK日曜討論で「必ず補正予算が必要になる」と述べた。竹中平蔵経財相は「補選予算など愚の骨頂」と述べた。

この経緯も拙著『知られざる真実-勾留地にて-』第一章「偽装」14「日本経済の崩壊」に記したので参照いただきたい。

結局、2002年度も小泉政権は5兆円規模の補正予算を編成した。

経済運営で最も重要なことは、自律的な安定成長を持続させることだ。基本的には「中立」の政策運営が求められる。

97年度も、2001、2002年度も、財政当局に誘導された政権が近視眼的な超緊縮財政政策を実行して、経済悪化を招き、税収減少と最終的に求められる景気対策で財政赤字を拡大させる結果をもたらしたのだ。

私は、1985年以来、中期的な財政健全性回復の重要性を一貫して主張し続けてきた。しかし、政治権力と政治権力に支配された御用言論人・御用メディアは、事実に反して私を「積極財政派」と「バラマキ財政派」に色分けしてきた。

新進党、自由党、民主党が私の主張を正確に理解し、党の政策方針に採用してきてくれたが、世間一般では御用メディアによって形成された私の主張に対する間違った理解が現在も残存している。

テレビ番組の限られた時間で正確な事実を説明することは難しい。「瞬間芸」の接続と表現できる「テレビメディア」の特性を知らなければならない。情報操作はこうしたテレビメディアの特性を利用して実行される。

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2008年7月27日 (日)

「政・官・業・外・電=悪徳のペンタゴン」との闘い

「政治屋(政)・特権官僚(官)・大資本(業)・米国(外)・御用メディア(電)」=「悪徳のペンタゴン」が国民を誘導して政権交代を阻止し、既得権益=悪徳権益の甘い蜜を独占しつ続けようと企んでいる。

福田政権は予想通り、消費税の2009年度引き上げ見送りの方針を固めた。「電」は電波=御用メディアと御用言論人の「電」である。

自民党の最大の目標は「政治権力=既得悪徳利権の死守」である。「政治屋・特権官僚・大資本・米国」が「御用マスメディア・御用言論人」を支配して世論誘導を図る。

政治屋は国民の幸福など考えたことがない。政治屋にとって政治は自己の利益を満たすものでしかない。彼らは「目的のためには手段を選ばない」。

「郵政民営化」は小泉元首相の私的怨念(ルサンチマン)、銀行業界の熱望、米国の対日金融収奪戦略の「三位一体」の意志によって推進された「官業払下げ」である。

詳しくは『知られざる真実-勾留地にて-』第一章「偽装」26「露見した郵政米営化の実態」を参照いただきたい。

 

「BLOG版「ヘンリーオーツの独り言」」様「カナダde日本語」様「生き抜く力」様「晴天とら日和」様「kobaちゃんの徒然なるままに」様「こわれたおもちゃをだきあげて」様「こづかい帳」様4つの目で世の中を考える」様「憲法と教育基本法を守り続けよう」様「階級格差社会をなくそう」様「自公政権打倒のために集まろう」様には、いつも記事を紹介賜り、温かいメッセージを頂戴し、感謝しております。

「_~山のあなたの空遠く幸い住むと人のいう~」様Japonesian Trans-ApocalypseTrans-Modern New Platonic Trans-Creation, or philosopractical chaosmos」様「クマのプーさん ブログ」様には、毎回ビジュアルな記事の掲載、ならびに「★阿修羅♪」様 ランキング板への掲示などの尽力を賜り、心よりお礼申し上げます。

「植草一秀氏を応援するブログ」様「植草一秀氏の事件」様mojoコメント備忘録」様「植草事件の真相」様には、冤罪事件の真相解明に向けて、多大のご尽力を賜りまして厚くお礼申し上げます。本ブログでも、適宜重要情報を掲載して参りたいと考えております。

「世界平和を実現しよう」様日本国憲法擁護本当の自由主義と民主主義連合~法大OBのブログ」様、ヘンリー・オーツさんが作成してくださったバナーを掲示くださりありがとうございます。バナーが広がることを願っております。また、「BLOG版「ヘンリー・オーツの独り言」」様への山本さゆり様からの温かいメッセージに感謝申し上げます。

7月19日付記事「長銀事件逆転無罪判決の闇」につきまして、「こづかい帳」様「杉並からの情報発信です」様「タクシードライバーの資格(司法書士&社労士)挑戦日記+α」様Easy Resistance」様「神戸の夜景を楽しもう」様「ふじふじのフィルター」様「はんのき日記PART2」様をはじめ、多くのご意見を賜りましてありがとうございました。

「株式日記と経済展望」様「輪()」様「私たちはみている」様INNOVATION OF PHILOSOPHY: NEW PLATONIC SYNERGY THEORY」様「八国山だより」様「小畑くにおBLOG」様「大欲は無欲に似たり」様「新生活日記TETSUONO」様DESPAIR AFTER HOPE, HOPE AFTER DESPAIR 望みの後の絶望、絶望の後の望み2」様A man of mediocrity」様「国際連合の地下に核爆弾情報」様「誠天調書」様「無農薬米の百姓のつぶやき」様には、記事のご紹介ならびに意義深い情報のご提供に深く感謝申し上げます。

「「弁護士」関連おまとめブログ」様「日々の人気キーワードより」様「今日のトピックス Blog」様、には重要情報の検索に役立つ記事の紹介に感謝申し上げます。

  

日本経済は不況の入り口に立っている。大企業は潤っているが、大多数の中小零細企業は深刻な不況にあえいでいる。消費者の食料品・エネルギー価格高騰による生活苦も日増しに深刻化している。

7月25日に発表された日本の6月全国消費者物価指数は生鮮食品を除くベースで前年同月比1.9%上昇した。消費税率引き上げの影響で物価が上がった1998年1月以来、10年5ヵ月ぶりの高い伸び率になった。

消費税増税の影響があった時期を除くと1992年12月以来、15年6ヵ月ぶりの高い上昇率である。輸入原材料の値上がり分を企業が最終販売価格に転嫁する傾向を強めており、物価上昇率の上昇傾向が持続すると予想される。

日銀が7月15日の金融政策決定会合で公表した2008年度の経済金融見通しでは、2008年度の消費者物価上昇率見通しが4月段階の1.1%から1.8%に大幅上方修正された。

現在、日本の短期政策金利は0.5%の水準にある。0.5%の金利で資金を調達し、財を購入しておくと、財の値上がりで利益が出る計算が成り立つ。実質金利がマイナスであることの意味だが、この状態が放置されると、インフレが加速しやすいと考えられている。

7月21日記事「「売国政策」を排除しなければならない」に記述したように、日本円は2000年以降、米ドルを除く主要通貨に対して暴落した。日本の実質超低金利が円暴落の基本背景である。

日本円を持って欧州に旅をすると、2000年当時の2倍の資金が必要になっている。欧州だけではない。オーストラリアドル、カナダドルに対しても日本円は約2分の1の水準に価値を下げた。

これらの地域に居住する人々にとっては、日本の財やサービス、そして資産が半値で買えるようになったことを意味する。円安は日本の実物資産の所有権が海外に流出することを促進する最大の要因になる。

円安で潤ったのは日本の製造業だけだ。米ドル圏以外の地域への日本からの輸出は価格競争力が激増した。円表示金額を横ばいにしても、現地での販売価格を半値に下げることができる。輸出製品の販売は激増する。

円暴落政策で誰が得をして、誰が損しているかを考えると、日本政府が誰のために行動しているのかがよく分かる。

円暴落政策を歓迎してきたのは、米国政府、輸出製造業、外国資本、そしてインフレによって借金を棒引きにできる財務省と借金の多い政治屋である。

  

日本の物価上昇率が上昇ピッチを速めている現在、日銀は短期金利の引き上げを検討しなければならない。

日本は米ドルが暴落してきた期間、米国への資金供給が途絶えぬように、超低金利で日本から米国への資金供給を支えてきた。

日本の外貨準備では、暴落するドルへの投資をユーロや豪ドル、加ドルに振り替えておけば、巨大な損失を蒙らずに済んだ。

外貨準備1兆ドルを2000年時点でユーロに振り替えておけば、現在の時価で100兆円の差額が生まれている。

米国は日本が暴落するドルに資金を滞留してくれたおかげで、金利上昇や株価下落に直面せずに済んだ。日本から米国に100兆円の所得が移転したと言い換えることも可能だ。

100兆円の資金は日本の全国民に1人100万円配分できる金額だ。これだけの損失を生まなければ、日本の社会福祉を格段に充実させることができたはずだ。

福田政権は社会保障費を毎年2200億円削減する方針維持を決めたが、無責任年金行政に代表される国民不在の政治に、有権者が怒りのこぶしを上げていることを無視する振る舞いだ。

経済が悪化するなかで、インフレが進行する気配を強めている。マクロ経済政策としては、金利引き上げによりインフレを遮断するとともに、財政政策を活用して景気悪化を緩和することを検討すべき局面だ。

福田政権は2011年度に基礎的財政収支を黒字化する「プライマリーバランス」黒字化目標を維持する方針を示した。

大田弘子経財相は「歳出削減、成長力強化による税収増、増税」のいずれかの措置で目標を達成すると発言した。

「成長力強化による税収増」は短期的には実現不可能で、増税を断念する方針が伝えられたから、残るのは「歳出削減」だ。

景気後退初期に歳出削減を強行すれば、景気悪化が加速する。歳出削減と言うが、何を削減するのか。

「天下り廃止、天下り機関への補助金根絶」を実行するなら意味があるが、福田政権に天下りを根絶する考えはない。

優柔不断に模様眺めを続けるだけで、景気悪化、財政赤字拡大、インフレ悪化、円下落、株価下落が進行する。政権が力を注ぐのは、権力を維持するための「偽装」工作だけである。

福田政権は本年4月に期限が切れたガソリン税の暫定税率を、衆議院の多数の横暴により復活させた。2.7兆円の増税が実施された。

景気支持を目的に財政政策を活用する際、十分に留意しなければならないのは、景気対策が利権の源泉として活用されやすいことだ。

裁量的な政府支出追加は利権の温床になる。公共事業がその代表事例だが、個別審査を伴う補助金付与や融資実行なども、利権の温床にされる。

1998年に実施された信用保証協会を活用した特別保証制度などでも、不正な資金提供が相次いだ。

東京都が設立した新銀行東京が巨額損失を計上して問題になっているが、銀行設立後、議員を通じた多数の紹介案件に対して巨額の問題融資が実行された疑いが持たれている。

不正融資の真相解明が不可欠だ。財政政策の活用に際しては、財政政策を利権の温床としない取り組みが不可欠である。

暫定税率廃止は時宜に適った適正な政策だった。与党、福田政権は暫定税率復活による2.7兆円増税という、間違った政策を強行実施した責任を明らかにする必要がある。

円高対策、景気支持策として、ガソリン税暫定税率廃止を再度実施することが望ましい。

また、「無駄ゼロ会議」は会議そのものが「無駄」である。「無駄ゼロ会議」を設置するのでなく、「天下りゼロ」を決めるべきだ。

「政・官・業・外・電の悪徳ペンタゴン」が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)して、小悪叩きの三文芝居が演じられる。「まやかしの改革」に涙を流す渡辺喜美行革相に騙される国民はさすがに少ないと思われるが、「臭い三文芝居」も見せつけられ続けると、洗脳される国民が続出する。

民主党の岡田克也氏が民主党代表選挙への出馬に関して、「政権交代を実現するために何が一番望ましいかという観点で熟考中」と述べた。

政権交代を実現するためには、総選挙に向けて挙党一致の体制を固めることが何よりも大切だ。

国民生活を真剣に考えることなく、官僚利権を温存し、国民福祉を切り捨てる福田政権に対する国民の怒りを民主党は代弁すべきだ。

小沢代表体制を継続して総選挙に臨むべきであることに異論が存在しないなかで、党内抗争の意味しか持たない代表選に無駄なエネルギーを注ぐことは、民主党支持者への背任行為だ。

野党で結束して、暫定税率と後期高齢者医療制度廃止に向けての国民運動を民主党がリードすべきだ。

9月21日の党大会を、民主党を軸にした国民運動決起大会に転用すべきである。

民主党議員が、闘う対象を民主党内部に求めるのは間違いだ。

「政・官・業・外・電の悪徳のペンタゴン」が「偽装CHANGE」キャンペーンを活用して政権交代阻止に向けて総力戦を仕掛けている現実を直視し、「真正CHANGE」勢力は「真正の改革」=「政権交代」実現に向けて全精力を注がねばならない。

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2008年7月26日 (土)

小悪に光を当てて巨悪を闇に隠す「無駄ゼロ会議」

福田政権が「無駄ゼロ会議」の人選をほぼ終えた。「偽装CHANGE」活動が活発化しているが、国民は「偽装」を見破らなければならない。「小悪に光を当てて巨悪を闇に隠す偽装」だ。

 

福田政権が「行政支出総点検会議」を発足させる。7月26日付日経新聞朝刊は「行革推進役 民間人ズラリ」の見出しで会議の人選を伝えている。サブタイトルには「首相、官僚頼み脱却?」とある。

2面政治欄記事だが、すぐ右の社説には、「前原氏らは代表選で小沢氏と渡り合え」の表題を付して、民主党代表選挙で岡田氏や前原氏が立候補して、郵政民営化見直しに対して反論せよなどの趣旨の論評を掲載している。

   

日経新聞は2003年3月に小泉元首相と親交の深い杉田亮毅氏が社長に就任してから論調が大きく変化した。2003年初頭、日経新聞子会社ティー・シー・ワークスに関する不祥事が表面化し、前社長鶴田卓彦氏が会長に退いた。

鶴田氏は2004年には相談役も退任した。鶴田氏は小泉政権に批判的だった。

杉田亮毅氏が日経新聞の実権を掌握して以来、日経新聞は紙面を挙げて自民党清和会政権を全面的に支援し始めたと評価できる。

私は日経新聞系列のテレビ東京番組「ワールド・ビジネス・サテライト」に1992年10月からレギュラー出演していたが、2003年後半以降、さまざまな圧力を受けるようになった。

詳細は拙著『知られざる真実-勾留地にて-』に記したが、2004年4月に番組を降板することになった。

   

7月26日付日経新聞社説の内容は、民主党の党内対立を強く求める政府与党の意向を反映したものと言える。

有識者懇談会についての報道も政府広報かと間違えてしまうようなもので、中立公正の視点からの批判的検討がほとんど加えられていない。

自民党は次期総選挙での政権交代阻止に向けて死に物狂いの画策を始めた。「偽装CHANGE」キャンペーンはその中核をなす。

国民は注意深く「偽装CHANGE」と「真正CHANGE」を見分けなければならない。

「真正の改革」によって根絶しなければならないのは「巨悪」だ。特権官僚の天下り、天下り機関、巨大プロジェクトが生み出す不正な利権、国民の幸福を犠牲にする大資本優遇策、人の血の通わない政策哲学・思想、が問題なのだ。

「政治屋・特権官僚・外国資本・大資本」の「既得権益勢力」が維持しようとする「巨大利権構造」こそ、破壊しなければならない対象である。

7月24日付記事「一般公務員を標的に定めた「偽装CHANGE」勢力」に記述したように、自民党は一般公務員の「小悪」を叩き、国民の目を「巨悪」からそらそうとしている。

   

テレビメディアは国家公務員制度改革基本法が成立した際に渡辺喜美行革相が涙を流した場面を繰り返し放映する。

中国産のウナギに「愛知県三河一色産」のラベルを貼り付けたようなものだ。高級官僚の天下りが完全温存される「まがいもの改革」を「本物の改革」のように見せかける偽装で、マスメディアが偽装に協力する。

大阪府では、橋下徹知事が罪深くない一般府職員を血祭りにあげる。

大阪府の財政赤字は大阪府職員が生み出したものではない。

「歳出と歳入の構造」が財政赤字の原因であり、「赤字があるから府職員に犠牲になってもらう」根拠は不明である。合理性のない横暴がまかり通る。

「巨大利権プロジェクト」の見直し、天下りの撤廃、天下り機関の廃止、などが優先されるべきで、府職員は文字通り「スケープゴート」だ。

ヒトラーが「ユダヤ人が悪い」とし、ユダヤ人を理不尽に迫害し、一般市民の不満のはけ口にした手法と似ている。

一般府民は、「非効率な仕事をしているのに待遇が悪くない」府職員が血祭りにあげられるのを見て、橋下知事に拍手喝さいを送る。

郵政民営化選挙で小泉首相は、郵政民営化に反対する議員を「抵抗勢力」と名付け、党から追放して刺客を放った。

亀井静香氏は「競技場で人とライオンを闘わせて、ライオンが人を食いちぎって殺すのを、ローマ市民が歓喜の声を上げて見ていた状況が、今の日本とよく似ている」と述べたが、橋下知事の手法も同じ類型に入る。

   

福田政権は「無駄ゼロ会議」のメンバーを決めた。この種の懇談会の「真相」を評価する際のつぼは、①事務局、②隠れ財務省、③経済同友会、の三つである。

懇談会メンバーは会議に出席して意見を述べるが、たたき台を用意することはない。懇談会での論議の方向を決めるのは「たたき台」である。「たたき台」によって、論議の方向は定められてしまう。

「たたき台」を準備するのが①事務局だ。懇談会論議の8割の決定力は事務局にあると言ってよいだろう。

「無駄ゼロ会議」では、内閣官房行政支出総点検会議担当室が事務局を務める。担当室スタッフには室長に元経済同友会常務理事の安生徹氏、次長にトヨタ自動車CSR・環境部主査の一色良太氏が就くが、もう一人、財務省官房参事官の宮内豊氏が次長に就任する。

実質的には財務省が「たたき台」を作る。

懇談会メンバーに中央大学教授の冨田俊基氏が就任するが、②「隠れ財務省」筆頭格だ。冨田氏については拙著『知られざる真実-勾留地にて-』の150ページに記述したが、財務省を崇拝していると見られる人物である。

拙著『日本の総決算』Ⅴ「官僚主権構造」に「「財政再建論」に真夏の怪談の響きあり」(213ページ)の小節を書いた。

そのなかで、「大蔵省元局長が述べた財政再建論の本当の意味」を紹介した。その論旨は以下の通りだ。

「1975年以降の国債大量発行により財政赤字残高が累増した。財政再建政策が本格化したが、これに伴って大蔵省の権力が著しく低下した。「シーリング方式」の予算編成が実行されたからだ。大蔵省の権力の源泉は「予算配分権」にある。「一律削減」ほど大蔵省の権力を低下させるものはない。

大蔵省は二度とこの間違いを繰り返してはならない。大蔵省が常に財政再建を主張するのは、大蔵省の権力を低下させないためだ。」

これが、大蔵省の本音だった。大蔵省元局長の言葉だから、少なくともこの元局長がこのように理解していたと考えて間違いない。

「財政を担当するなら、このような「本質」をしっかりと認識しなけらばならない」と私にこんこんと説諭したのが冨田俊基氏である。冨田氏は民間シンクタンクで私の直属上司だった。

「道路特定財源の一般財源化」を最も強く求めているのは財務省だ。財務省は財務省が自由に予算を配分できる一般財源を何よりも好む。理由は一般財源こそ財務省の権力の源泉だからだ。

財務省は政府委員会や懇談会に必ず財務省の意向通りに行動する人物を送り込む。財務省自身が直接主張するよりも、第三者あるいは第三者機関を通して主張する方が世間での通りが良い。これが②隠れ財務省の意味だ。

③経済同友会は小泉政権以降、政府と一体化した行動を強めている。実はここにも財務省の意向が反映される。

経済同友会のメンバーが経済同友会で提言をする際、そのメンバーの所属企業内部にスタッフが用意される。

そのスタッフに財務省が影響力を行使して、同友会メンバーから提言を発表させ、同友会で意見集約を図る。

私が民間シンクタンクに所属していた時期、私の身近なところで「作業」がよく行われていた。

財界人の多くは企業トップの地位を確保すると、社会的な活動に意欲を見せる。大半の財界人が政府関係の要職に就くことを希望する。

小泉政権以降、政府が任用した財界関係者における経済同友会の比重は極めて高い。「りそな」の処理にもその片鱗が示されている。

財務省は経済同友会の論議にも、さまざまなルートを用いて影響力を行使するのだ。

  

政府与党の意思決定における財務省の影響力は、小泉政権以降、著しく拡大した。財務省の影響力を低下させたのは、小渕政権だけだった。

小渕首相は経済企画庁長官に堺屋太一氏を起用した。この小渕-堺屋体制の時期に限って、政権は財務省をコントロール下に置いて政策を推進した。しかし、小渕元首相が急逝されて、激しい巻き返しが生じた。

小渕政権は正しい方向に政策を進めたが、政権交代後、財務省が主導して、歴史事実に矛盾する「バラマキ政権」のマイナスイメージが御用言論人とマスメディアによって流布された。

「無駄ゼロ会議」は「小悪」しか論議の対象にしない。

マスメディアに報道させている最近の一般公務員問題。居酒屋タクシー、厚労省ネットカフェ、社保庁懲戒職員解雇、大阪府職員給与カット、公用車運転業務問題、などの素材を取り上げて、「無駄ゼロ」を演出しようとするのではないか。

「巨悪」を論議の対象にしないだろう。

「政治屋・特権官僚・外国資本・大資本」の「既得権益勢力」が維持しようとする「巨大利権構造」を論議の対象にしなければ費用をかけて論議する意味はない。

「小さな無駄」の排除は不要でないが、その前に「大きな無駄」を生み出す「構造」にメスを入れるべきでないのか。

財政収支を改善するため、最終的には国民の負担が必要になる。国民負担増加を国民が受け入れられないのは、現状に大きな無駄が残されているからだ。

「無駄を排除」したように偽装して国民負担増加を図る考えなのだろうが、「小さな無駄」だけを排除して国民負担増加に進むわけにはいかない。

「財務省の巨大利権」を排除することがすべての出発点だ。

福田政権も小泉政権以来の「財務省支配」の構図からまったく脱却できていない。「財務省主導」の論議を通じて「財務省の巨大利権」排除の結論が導かれることは望むべくもない。

「偽装CHANGE」キャンペーンの「真実」を明らかにして、「偽装CHANGE」キャンペーンに国民が幻惑されないための情報を広く伝えなければならない。

「小悪に光を当てて巨悪を闇に隠す偽装」を暴かなければならない。

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2008年7月25日 (金)

「歴史に学ばぬ者は歴史を繰り返す」(2)

財務省の辞書には「学習」という言葉がないと見られる。97年度、2001年度に続いて、3度目の政策失敗を演じる可能性が漂い始めている。

日本経済はバブル崩壊後、1991年年初に不況に移行し、私は1992年年初から景気支持政策策定を提唱したが、財務省は景気支持政策に強硬に反対し、景気対策は株価が暴落した92年8月まで先送りされた。

この失敗を含めれば4度目の失敗になる。

先述したように、97年度の政策運営の総責任者であった橋本元首相は97年度の大増税政策が失敗であったことを2001年に正式に認めた。首相の地位にあった者が地位を退いたのちに失敗を認めるのは勇気を要することだ。

「過ちて改めざる、是を過ちと謂う。過ちては則ち改むるに憚る勿かれ」だ。

橋本元首相はこの意味で立派だった。小泉元首相、竹中元経財相とはまったく異なる。

国家財政(=一般会計)赤字の具体的数値を紹介する。

大増税を実施した1997年度。

1996年度21.7兆円 の赤字が

1997年度は18.5兆円 に減少。

しかし、

1998年度に34.0兆円、

1999年度に37.5兆円 に激増した。

小泉政権下の2001年度。

2000年度33.0兆円 の赤字が

2001年度当初予算では28.3兆円 に減少したが、

2001年度実績では30.0兆円、

2002年度に35.0兆円、

2003年度に36.3兆円 に急増した。

2001年度の実績値30.0兆円は粉飾されており、

実態の赤字は33.3兆円だった。

小泉政権の公約は2001年度に破綻したが、小泉政権は2001年度の赤字を30兆円に偽装した。

これらの数値は以下の「真実」を意味する。

「財政赤字を縮小させるために実行された緊縮財政政策は、短期的には財政赤字を縮小させたことがあったが、中期的には財政赤字を逆に大幅拡大させた。」

  

「北風と太陽」のイソップ寓話を知る必要がある。

北風と太陽が旅人の外套をはがすことを競った。

旅人の外套をはがそうと冷たい北風を吹きつけるほど、旅人は外套を強く掴み外套ははがれない。

太陽が暖かい光を注ぐと、旅人は自ら外套を外した。

不況の入り口で「北風政策」を強行すると経済は急激に悪化する。税収が大幅に減少し、不況深刻化が景気対策を要請する。結果として財政赤字が大幅に拡大する。

大田弘子経財相の言葉を検討してみる。

「方法は三つしかない。歳出削減、成長力強化による税収増で、足りなければ増税だ」

経済構造は一朝一夕に変わらないから、「成長力強化による税収増」は短期的には実現しない。政府の施策は「歳出削減」と「増税」になる。

内閣府の財政収支試算が悪化したのは、足元で税収が見積もりを下回っているからだ。税収の落ち込みは景気悪化の結果だ。日本経済は本年年初から不況に移行した可能性が高い。

不況初期にある現段階での、財政収支改善を目的とする「歳出削減」と「増税」の実施は、まさに、1997年度、2001年度の政策の繰り返しだ。景気悪化が加速し、財政赤字は間違いなく拡大する。

  

本年3月14日の参議院予算委員会で、国民新党の自見庄三郎議員が大田経財相に財政政策発動の必要性について質問した。この日の質疑の結果、大田弘子経財相と元国際大学学長宍戸駿太郎氏とによる公開討論開催が決定された。8月8日に開催される。

これらの諸点については、「神州の泉」ブログに「日本経済復活の会」会長の小野盛司氏が精力的に論説を寄稿されている。

大田氏は3月14日の答弁で、二つの間違った事実を述べた。

第1は、「経済安定化を目的とする政策として、現在、世界的に金融政策が用いられており、財政政策を活用する考え方は取られていない」と述べたこと。

第2は、「財政政策は立案、決定、実施のタイムラグが大きく、経済状況の変化に対応した機動的実施が困難である」と述べたこと。

大田経財相は、米国のブッシュ政権が1月に減税を中心とする財政政策を策定し、2月に総額1680億ドルの景気対策を議会で成立させ、5月に実施した事実を知らなかったとしか考えられない。

内閣府スタッフは都合の悪い事実を大臣に教えなかったのだろうか。だが、仮にスタッフが教えなくとも、経済財政担当相の地位にある者がかかる基礎知識を持ち合わせていないとすれば、日本経済のかじ取りは恐るべき人物に委ねられていることになる。

    

財務省は超低金利政策を日銀に強要してきた。その大罪について7月21日付記事「「売国政策」を排除しなければならない」に記述した。

2000年以降、日本円は米ドル以外の通貨に対して暴落した。円とともに暴落した米ドルで日本の外貨準備を運用してきたために、日本国民は100兆円の損失を蒙った。

インフレを抑制する金融政策の効果で、円が上昇することは国民の利益に適う。米国は「ドル高は米国の国益」と発言するが、「円高は日本の国益」も「真」である。

「緩やかな金融引締めと緩やかな財政緩和」政策が求められている。経済運営で最も重要なことは、インフレを回避しつつ、日本経済の実力に見合う安定成長を維持することだ。

「バラマキ財政」を実行する必要はない。私が「バラマキ財政」を主張したことは一度もない。財政緩和は非利権型政策で実行すべきである。景気支持と財政健全化の手法については、機会を改めて考察する。

財政赤字は不況期に拡大傾向を示す。好況期には縮小する。不況期に拡大傾向を示す財政赤字を無理に縮小させようと緊縮策を強行すると、財政赤字は拡大する。これがこれまで繰り返した失敗だ。

財務省と小泉政権以来の政権は「北風と太陽」の寓話から「学習」すべきだ。

「現実を直視して、政策を失敗したなら率直に認め、その失敗を教訓として未来に活かす」

政治家が自己に厳しい行動を取るのは、政治家が国民の幸福のために行動するからだ。

過ちを偽装して正当化し、国民の苦しみを平然と見ていられるのは、政治屋が自己の利益のために政治活動をしているからだ。「痛みのある改革」と言うが、正確には「他人に痛みのある改革」だから、平然としていられる。

   

米国議会ライブラリーの礎に「歴史に学ばぬ者は歴史を繰り返す」の言葉が刻まれているという。

福田政権が三度目の失敗の扉を開きつつある。

財務省が失敗を繰り返すのは、財務省が国民の幸福を考えていないからだ。

国民の幸福を希求しない官僚機構と政権に政策が委ねられれば、国民が不幸になるのは必定だ。

国民の幸福を追求する政権を一刻も早く樹立しなければならない。

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「歴史に学ばぬ者は歴史を繰り返す」(1)

不況の入り口に立つ日本経済。福田政権は「歳出削減」と「増税」を検討する。「優柔不断」がもうひとつの特徴だから、総選挙を控え「景気対策」の声にも食指が動く。財務省が主導権を握れば、最悪の経過をたどるリスクが浮上する。

日本の元凶のひとつは財務省にある。財務省が実権を握る「官僚主権構造」が日本を破壊してきた。①弱肉強食の奨励、②官僚利権の死守、③対米隷属の外交、の三大基本政策は財務省によって主導されてきた。

1997年度に橋本政権は財務省主導の経済政策に乗った。バブル崩壊不況をようやく脱出した日本経済は奈落の底に落ちた。金融不安が火を噴いた。1997-1998年に日本経済は金融恐慌の淵をのぞいた。

2001年の自民党総裁選。橋本元首相は「歴史に学ばぬ者は歴史を繰り返す」の言葉を胸に刻み、自民党総裁選に立候補した。橋本元首相は小泉首相が提唱した超緊縮財政の危険性を訴えたが、小泉氏が当選した。

橋本政権が実行した1997年度大増税を最も強く批判したのは私だった。私は1996年年初から反対論を唱え続けた。橋本元首相は首相を辞されたのち、平成研究会(橋本派)研究会に私を講師として招き、私の考えを傾聴してくれた。

橋本元首相は2001年の自民党総裁選に際して、1997年度大増税政策が誤りであったことを公式に認められた。政治家としての出処進退、責任の明確化において、正義感の強い行動を取られたと思う。

政策最高指揮官であった橋本元首相が政策失敗を正式に認めたにもかかわらず、大蔵省は政策失敗を現在も認めていない。大蔵省内部で、政策失敗を正当化する研究会を創設し、政策失敗を偽装し続けている。

2001年度、小泉首相は史上最強の緊縮財政を実行した。「国債を絶対に30兆円以上発行しない」ことを公約に掲げた。

私は小泉政権の経済政策を政権発足時点から批判し続けた。小泉政権の政策により、日本経済は最悪の状況に向かうと警告した。現実に日本経済は戦後最悪の状況に誘導された。

日本経済は2003年にかけて、崩壊の危機に直面した。最終的に小泉政権は「税金による銀行救済」という金融行政史上最大の汚点を残した。限りなく深い闇に包まれる「りそな銀行救済」が実行された。

詳細は拙著『知られざる真実-勾留地にて-』を参照いただきたいが、小泉政権の経済政策は完全に破たんした。しかし、小泉政権は責任を取らなかった。このころから、日本の「責任倫理」は崩壊の一途をたどる。

重大な約束を破ったときには、「そんなことは大したことではない」。不正を追及されたら、「人生いろいろ、社長もいろいろ」と開き直る。非戦闘地域はどこかと質問されれば、「そんなこと聞かれたって分かるわけがない。自衛隊がいるところが非戦闘地域だ」の詭弁を押し通す。

2003年のりそな銀行救済は、金融行政の根幹である「自己責任原則」を放棄するものだった。「自己責任原則」とは、「責任ある当事者に応分の責任を負わせる」原則だ。

りそな銀行が破綻すれば、りそな銀行所有者=株主は出資金を失う形で責任を負わなければならない。ところが、小泉政権はりそな銀行に2兆円の公的資金を投入してりそな銀行を救済し、りそな銀行株主に巨大な利益を供与した。

   

福田政権は、7月22日の経済財政諮問会議で、2011年度までの経済財政に関する内閣府試算を発表した。小泉政権は2006年度に、国・地方合計の基礎的財政収支(=プライマリー・バランス)を黒字化する目標を設定した。

政府は「骨太方針2006」との呼び名を付けたが、牛乳のコマーシャルと勘違いしてしまう。意味不明なネーミングだ。

22日発表の試算値では、2010、2011年度に名目成長率が高まり、かつ、歳出削減が大幅に実行された場合でも、基礎的財政収支が3.9兆円赤字になるとされた。

名目成長率が低く推移し、歳出削減が小幅になる場合には、基礎的財政収支は7.9兆円の赤字になる。

「基礎的財政収支」とは、「税収-公債費を除く歳出」のことだ。公債発行金額と公債費が同額であると、基礎的財政収支が均衡する。政府は財政健全化指標として「基礎的財政収支」を用いている。

   

元衆議院議員の城内みのる氏「城内みのる「とことん信念」ブログ」で的確な指摘をされているが、大田弘子経済財政担当相は、内閣府試算値に関して次のように述べた。

「「(基礎的財政収支)黒字化目標は必ず達成する。方法は三つしかない。歳出削減、成長力強化による税収増で足りなければ増税だ」(2008年7月23日付中日新聞)

(以下は「歴史に学ばぬ者は歴史を繰り返す」(2)に続く)

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2008年7月24日 (木)

一般公務員を標的に定めた「偽装CHANGE」勢力

居酒屋タクシー、厚労省ネットカフェ、社保庁懲戒職員解雇、大阪府職員給与カット、公用車運転業務問題、などの一連の公務員問題は、「偽装CHANGE」キャンペーンの一環である。

「偽装CHANGE」勢力が叩くのは「小悪」である。「小悪」を叩くのは「巨悪」を隠すためだ。

「真正CHANGE」勢力は「巨悪」を標的とする。政治を国民の手に取り戻し、国民を幸福にするための政治を実現しなければならない。

  

「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」

敵の戦略を掴み、その上で戦略を構築しなければならない。

   

「上げ潮派」、「TPL」、「脱藩官僚の会」、「前原誠司&民主党分断工作派」、「知事グループ」が連携して「偽装CHANGE」勢力を創設する気配が強まっている。

「偽装CHANGE」勢力は自民党別働隊であり、自民党が政治権力、利権を死守するために、総選挙での反自民票の受け皿として創設するグループで、国民の利益ではなく、「政治屋・特権官僚・外国資本・大資本」の利益を追求する勢力と通じる新政治勢力である。

「政治屋・特権官僚・外国資本・大資本」の既得権益勢力は、次期総選挙での権力喪失阻止に向けて総力を結集している。

既得権益勢力は「第一の権力」=「マスメディア」を総動員し、選挙民の洗脳活動に着手している。

既得権益勢力は「B層」を洗脳のターゲットに位置付けている。「国民にとっての政治」の発想は存在しない。

既得権益勢力にとって国民は、選挙で議会過半数を獲得するための「道具」にすぎない。

小泉元首相は「政治家は使い捨てをいやがってはいけない」と述べたが、実際には政治家が国民を「使い捨て」にしている。

「B層にターゲットを絞った徹底したプロモーション」の発想は、国民の側に立つ政治家からは出てこない。

国民の手の中にある「1票」だけに関心があり、「1票」さえ確保してしまえば、「B層」の国民に用事はない。これが、既得権益勢力の発想である。

   

多くの国民が既得権益勢力に蔑視され、単に利用されている事実に気づかずにいる。マスメディアの情報操作に洗脳され、既得権益勢力の利権を守る投票行動を取ってしまってきた。

小泉政権誕生以降、人間性破壊の政策が強力に推進された。政府は、高齢者、障害者など、社会がしっかりと支えなければならない人々を、虐げ、傷つけ、その生存権を脅かしてきた。

資本の論理だけを尊重し、労働者の権利、生存権、尊厳を脅かしてきた。非正規雇用者が雇用者全体の3分の1にまで拡大し、一生懸命汗水流して働いても年収が200万円に届かない人々が激増した。

金融市場の歪みを利用し、ルールすれすれの狡猾な行動によって、巨大な利得を得る者を生み出す社会を「頑張った人が報われる良い社会」と賞賛し、「まっすぐに生き、精一杯頑張っているのに虐げられる」人々の激増を放置する政治が続いた。

①弱肉強食、②官僚利権死守、③対米隷属、が既得権益勢力の基本政策で、最近になってその弊害に対する認識が強まり、政策方針転換を要請する声が強力になってきた。

後期高齢者医療制度、障害者自立支援法、消えた年金記録などの問題噴出が重要な契機になった。その結果、昨年の参議院選挙、本年4月の衆議院補欠選挙、6月の沖縄県議会選挙では、与党に対する国民の「NO」の意思が示された。

  

しかし、既得権益勢力の権力への執着はすさまじい。総選挙に向けて、既得権益勢力は、総力を結集してくる。その際、マスメディアが総動員される。

既得権益勢力は「偽装CHANGE」勢力を前面に押し立てると考えられる。「真正の改革」を目指す「真正CHANGE」勢力は総力戦で闘わなければならない。

  

「偽装CHANGE」勢力は「一般公務員労働者」を標的にし始めている。冒頭の、「居酒屋タクシー」、「厚労省ネットカフェ」、「社保庁懲戒職員解雇」、「大阪府職員給与カット」、「公用車運転業務問題」はいずれも「一般公務員労働者」の問題だ。

福田政権が掲げる「無駄ゼロ」政策も、同じ文脈に位置付けられる。

「一般公務員労働者」は「自治労」と重なる部分があり、「自治労」は民主党の支援組織でもある。一連のニュース報道は、既得権益勢力による野党攻撃、民主党攻撃と軌を一にしている。

   

大阪府職員労働組合サイトには、組合と橋下徹知事との団体交渉の模様を撮影したビデオ映像が掲載されている。

ビデオ映像には、長期間、誇りを持って図書館の窓口業務に従事されてきた非正規雇用職員の切実な声も収録されている。

橋下知事が府職員の賃金大幅削減を主張しながら、巨大プロジェクトの見直しを進めないことなどへの疑問なども示されている。

知事は「政治判断」としか答えない。合理的な説明を示せないことが鮮明に映し出される。

団体交渉の場には、マスメディアのテレビカメラが多数持ち込まれていたが、こうした内容を正確に伝える報道は皆無だった。NHKスペシャルも、質の低い、単純な橋下陣営支援番組に堕していた。

   

「偽装CHANGE」勢力が標的にしているのは「小悪」だ。一般公務員労働者の労働内容にも見直すべき部分はあるだろう。しかし、「小悪」は根本的問題でない。

大半の一般公務員労働者は勤勉かつ善良だ。諸悪の根源は一般公務員労働者には存在しない。特権官僚と、特権官僚が私物化している天下り機関、天下り民間企業との癒着にある。

「真正の改革」を施すべき対象は「巨悪」だ。特権官僚の天下り、天下り機関、巨大プロジェクトが生み出す不正な利権、国民の幸福を犠牲にする大資本優遇策、人の血の通わない政策哲学・思想、が問題なのだ。

   

社保庁解体に際して、懲戒の経歴のあるすべての職員の再雇用を認めない方針が示されたが、年金問題の責任を負う歴代幹部職員の責任はどう処理されたのか。責任ある元幹部職員の大半の責任が明確にされていない。

天下り機関廃止、天下り禁止について、前進はあったのか。

公務員制度改革の最大の焦点の一つは、特権官僚を生み出す第1種国家公務員制度だ。総合職に名称を変更したところで、少数採用職員の特権は不変である。第1種と第2種を統合しなければ意味はない。

「脱藩官僚の会」が天下り禁止を主張すると伝えられているが、会メンバーの大学への再就職の大半は「天下り」の範疇に属するものでないのか。

   

「偽装CHANGE」勢力は、次期総選挙に向けて、マスメディアを総動員し、「一般公務員労働者」を標的に総攻撃を仕掛けてくる可能性が高い。

7月21日放送の「TVタックル」で田勢康弘氏が「民主党は一般公務員の再就職問題を取り扱わない。これが問題だ」と発言した。自民党が「一般公務員問題」に焦点を当てていることを示唆する発言だった。

「真正CHANGE」勢力は「巨悪VS小悪」の構図を明示する必要がある。

「政治屋・特権官僚・外国資本・大資本」の「既得権益勢力」が維持しようとする「巨大利権構造」こそ、破壊しなければならない対象であることを、国民に分かりやすく伝えなければならない。

「一般公務員労働者」と「特権官僚&天下り・政治屋・大資本&外国資本」のどちらを「真正の改革」のターゲットとするべきかを国民に明示しなければならない。

「小悪に光を当てて巨悪を闇に隠す偽装」を暴かなければならない。

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2008年7月23日 (水)

本日発表の地区連銀経済報告に注意

本日発表される地区連銀経済報告(ベージュブック)には注意が必要だ。

NY株価、連動する日本の株価は7月16日以降、予想通りの反発を示している。次の焦点は8月5日と9月16日のFOMC(連邦公開市場委員会)になる。インフレ抑制の金融政策の重要性を改めて確認しなければならない。

「BLOG版「ヘンリー・オーツの独り言」」のヘンリー・オーツ様、素敵なバナーを作ってくださいましてありがとうございます。感激しています。大変僭越ですがバナーの輪が広がってくれることを願っております。多くの皆様にご支援を賜りまして心よりお礼申し上げます。

私は会員制レポート『金利為替株価特報』5月24日号=067号タイトルを「原油価格上昇で米国株式市場に暗雲」として、原油価格上昇に伴う株価下落リスクを指摘した。

6月7日号=068号ではタイトルを「FRBインフレ回避利上げケース考察」として、株価下落見通しを示した。

現実に日経平均株価は6月6日の14,489円をピークに7月16日の12,760円まで、1729円、11.9%下落した。NYダウは5月2日の13,058ドルから6月5日の12,604ドルを経過して、7月15日の10,962ドルまで2096ドル、16.1%下落した。

株価下落見通しを提示したのは、NYダウが6月6日に重要な下値抵抗ラインである12,500ドルを明確に割り込んだからだ。原油価格上昇が持続し、FRBがインフレ抑制に金融政策の方向を転換する必要が高まったと判断したことが背景だった。

7月16日付記事「FRBインフレ重視方針でNY株価反発」冒頭に以下のように記述した。

「NY株価が当面の転換点を通過した可能性が高い」

記事のなかで、以下の指摘をした。

「NY株価は15日の10,962ドルを底に、目先反発する可能性が高い。日本の株価は米国株価と連動するため、目先反発局面を示す可能性が高い。」

「これまでの際限のないドル安、原油高、株安の連鎖から解き放たれて、株価反発局面を期待することができるが、目先の反発で安心感が広がったのちの再調整圧力を警戒する必要がある。8月5日のFOMCでの金利引き上げをめぐり、市場観測が交錯する可能性が高いからだ。」

バーナンキ議長は7月15、16日に半年に1度の金融政策を報告する議会証言を行った。

15日には「金融市場の安定確保がFRBの最優先事項」と述べたが、NY株価は93ドル下落して、10,962ドルと2年ぶりに11,000ドルを下回った。

16日の議会証言では、質疑応答で発言のトーンを大きく転換した。バーナンキ議長は「現在のインフレが高過ぎるとの見方に賛同する。物価安定と一致する容認可能な水準にインフレを引き下げるための政策実行が今後のFRBの最優先事項だ」と述べて、インフレ抑制を重視する方針を明確に示した。

NYダウは前日比277ドル上昇して11,239ドルに反発した。原油価格が下落したことも影響しているが、FRBのインフレ抑制重視姿勢を金融市場が好感したと解釈することができる。

7月16日には、6月24、25日のFOMC議事録も公表された。議事録では、複数の委員が「次の政策変更は利上げが妥当」と発言したことが明らかになった。また、その後、6月のFOMCに向けてカンザスシティーとダラスの2連銀が公定歩合引き上げを申請したことも明らかになっている。

その後、FRB関係者から相次いでFRBによる金融引き締めを示唆する発言が示されている。

7月18日にはスターン・ミネアポリス連銀総裁が、ブルームバーグのインタビューで「FRBは住宅・金融市場が安定するまで利上げ実施を待つことはできない。インフレは明らかに高過ぎで、コア物価に波及する可能性がある」と述べたと伝えられた。

また7月22日には、ブロッサー・フィラデルフィア連銀総裁が「FRBはインフレ亢進を受けて、労働・金融市場の回復を待たずに利上げ開始を余儀なくされる可能性がある」と述べたことをロイターが伝えている。

ブロッサー総裁はさらに、「金融政策を過度に緩和的かつ長期的に維持することは、個人や企業のインフレ期待を高め、インフレ問題を悪化させる可能性がある」との見方を示し、「インフレ期待の抑制を維持することは、金融当局者が発言を行動で裏付ける必要があることを意味する」と指摘し、「(政策の)反転が求められる。その反転は遅めよりは早めに開始する必要が生じると予想している」と述べた。

これらのFRB関係者の意見は私の見解と軌を一にしている。FRBはインフレ抑制の政策目標を堅持すべきで、インフレ抑制政策が中長期の安定的な経済成長に欠かせないとの判断を尊重するべきである。

米国はいま、三つの問題に直面している。①景気後退、②金融不安、③インフレ懸念、の三つだ。最も警戒を必要とするのが、②金融不安で、3月にはベア・スターンズ社の経営危機が問題になったが、最近では政府住宅公社や地方銀行の問題が表面化している。

米国政府とFRBは問題の重要性を十分に認知していると考えられる。公的資金注入を含む対応が検討されている。

問題は、②金融不安対応で短期金利を引き下げ過ぎたことだ。FFレートは現在2.0%の水準にあるが、6月の消費者物価上昇率は前年比5.0%で実質マイナス3%の金利になっている。

この状態を放置したままでは、市場のインフレ心理を促進してしまう。金融不安を引き起こさない短期金利の上方修正が求められている。

原油価格が下落しているのでインフレ懸念は後退しているが、原油価格が反発に転じると、インフレ懸念は一気にまた強まる。原油価格が下落している間は株価上昇が持続するが、原油価格が反発に転じると、株価が再下落するリスクが高い。

地区連銀経済報告でインフレ懸念が強調される可能性がある。8月5日ないし9月16日のFOMCで利上げが決定される可能性は50%以上だと私は見ている。

利上げは中長期的に判断して、必要な正しい政策だと考えるが、利上げ観測が浮上すると金融市場の不透明感が増す可能性があるので、留意すべきである。

米国のマクロ経済政策のポリシーミックスは、財政緩和-金融引締め検討の段階にある。実は、日本でも同様のポリシーミックスを検討するべきである。この問題については、改めて考察したい。

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2008年7月22日 (火)

「リアリズムなき正論」は存在しない

国民主権というが国民が主権者としての地位を行使できるのは、選挙のときに限られる。選挙結果によって政権の枠組みが決定される。ひとたび政権の枠組みが決定されると、次の選挙まで大きな変更を施すことは困難になる。

選挙の際にうっかり誤った意思を表示すると取り返しのつかないことになる。衆議院の任期は4年だから、最長4年間、国民は耐えなければならない。

衆議院と参議院があるが政権の枠組みを決定するは衆議院であり、衆議院選挙が何より重要だ。昨年7月の参議院選挙で野党が参議院の過半数を制圧したが、衆議院の多数を自民、公明が占有しているため、参議院の意思が重く取り扱われていない。

2005年9月、郵政民営化選挙で国民の多数が自民党に投票してしまった。与党は衆議院で3分の2以上の議席を確保した。昨年7月の参議院選挙で野党が参議院の過半数を制圧したが、与党は衆議院の3分の2以上の議席を活用し、権力を濫用している。

  

民主党の代表選挙について、与党議員とテレビの御用キャスター、御用コメンテーターが声をそろえて「民主党は政権担当能力を示すために開かれた代表選挙を実施すべきだ」と発言する。正しい政治行動とは何かなどの高尚な美辞麗句を並べる。

しかし、彼らが懸命に擁護する与党が正しい政治行動を示しているとは到底考えられない。参議院の問責決議を無視し、参議院の決定を衆議院の多数で踏みにじることを繰り返す。選挙公約を破っても、「選挙なので言葉を縮めた」と開き直る。

彼らはこうした与党の行動を糾弾しない。日本の言論空間、マスメディアの堕落には目を覆うばかりである。

自民党は次期総選挙での政権交代、権力喪失を回避するためには、手段を選ばない方針を定めているようだ。自民党がいま強く警戒しているのは、小沢民主党代表が無投票再選されて求心力を維持することだ。

自民党は、昨年来、執拗に小沢代表を失脚させるための謀略をしかけてきた。昨年7月の参議院選挙に際しても、マスメディアを動員した小沢代表に対するネガティブ・キャンペーンは激しかった。

その後も「サンデープロジェクト」、「TVタックル」などを中心とする各種情報番組を通じる小沢代表攻撃、民主党分断工作は執拗に繰り返されている。

   

7月21日付日経新聞2面記事「民主党研究㊤」の見出しは

「「正論」の後輩に踏み絵」

だ。

テーマは9月21日の民主党代表選。渡部恒三民主党最高顧問が、岡田克也、野田佳彦、松本剛明、前原誠司、仙谷由人、枝野幸男、玄葉光一郎の7名を「民主党7奉行」と呼び、小沢氏以外の代表選出馬が必要と主張することを紹介する。

「七奉行は2003年の自由党との合併前から民主党に属し、国会論戦と政策の一貫性を重視する人が多い」 

としたうえで、

「七奉行らの「正論」に対し、小沢氏には「政局主義」「現実主義」の色彩が濃い」

と記述する。

「ある幹部は「小沢体制にはなりふり構わないすご味がある」と話す」

とつづり、

「小沢氏三選の流れが強まり、党内には「小沢流の政権奪取戦術」に乗る空気が強い。ただし、七奉行が唯々諾々と従う雰囲気でもない。世代間の温度差はしこりなのか、前に進むエネルギーになるのか。党内外が見つめている。」

と結ぶ。

   

文章中に、

「小沢氏は自民党時代からの経験に裏打ちされたリアリズムという踏み絵を、正論を唱える後輩に突きつけているように見える」

との表現があるが、総選挙での勝利と政権交代を重視する姿勢のどこが「正論」と対峙するのか。

   

出来の良くない記事の揚げ足をとっても意味はないが、この記事が新聞社の「方針」に基づいて執筆されていると考えられる点を見落とせない。

主権者である国民にとっては総選挙の結果が何よりも重大だ。国会でいかなる論議が行われようと、「プロセス」ではなく「結果」が国民に降りかかる。

根本から政治を変革するには選挙で結果を得なければならない。総選挙で過半数を確保し、政権を樹立して初めて政策を実現できる。総選挙での勝利を伴わない論議は「絵に描いた餅」である。

   

記事は、

「小沢氏は「今度政権を取れなかったら未来永劫(えいごう)とれない可能性がある。次が最後なんだ」と執念をのぞかせた。これに対し、若手には「次の衆院選は本格政権の第一歩。過半数を取れなくてもその次もある」との楽観論も多い」

と記述する。

   

しかし、次期総選挙で民主党が政権を奪取できない場合、民主党が分裂することは明白だ。自民党は参議院民主党に手を入れて、民主党から自民党への引き抜きを図る。衆参で過半数を確保すれば政権は安定化する。

民主党最高顧問の渡部氏が自民党と通じている疑いはもとより濃厚だ。前原氏や渡部氏が執拗に複数候補者による民主党代表選実施を主張しているのは、彼らが反小沢代表の意趣を持ち、自民党と通じているからと考えるのが順当である。

   

予備知識のない一般読者は、見出しの「「正論」の後輩に踏み絵」の言葉によって印象操作される。「正論」にはプラスの語感、「踏み絵」にはマイナスの語感がある。さらに、マイナスの語感を持つ「踏み絵」を「後輩に」と表現することにより、「絶対権力者」が弱き立場の「後輩」に「強制」ないし「脅迫」するとのイメージが生まれる。

日経のこの記事は氷山の一角で、このようなマスメディアの手法によって、一般読者のイメージが形成される。「イメージ操作」はこうした手法を用いる。

   

民主党国会議員が真剣に民主党支持有権者の要請を考えるなら、取るべき行動は明らかだ。次期総選挙での勝利にすべてのエネルギーを集中させることだ。代表選を次期総選挙に活用できるなら、その効果を最大に引き出す代表選を演出すべきだ。

しかし、既存権力に支配されているマスメディアが尽力する可能性はない。代表選を利用して徹底的に小沢代表のイメージ悪化が仕組まれることは想像に難くない。与党とメディアはそのために代表選を実施させようとしている。

民主党は一致団結しなければならない。同時に野党共闘を固める必要がある。民主党と国民新党との連携強化は重要な一歩である。亀井静香議員の選挙区に民主党が候補擁立を見送ったことも良い決定だ。

共産党が擁立候補者を削減し、民主党候補者の得票が増すことは、次期総選挙の鍵を握る可能性が高い。民主党は共産党とも十分協議する必要がある。長期政権の弊害を除去することの重要性で認識が一致すれば、協力体制を構築することも不可能ではない。

    

7月21日放送の「TVタックル」で共産党が取り上げられた。民主党議員の渡辺周氏は共産党の小池晃氏の発言をさえぎって共産党批判を展開したが、民主党は党所属議員のテレビ出演に戦略的に対応すべきである。

議員の多くはテレビでの露出を希望していると考えられるが、総選挙を目前に控え、党の戦術的な対応が求められる。テレビメディアは、政治権力に支配されており、政治権力の意向に沿って出演者を決定している。

「サンデープロジェクト」、「TVタックル」は民主党の党内分裂誘導と、民主党に対するイメージ悪化を狙って演出を施していると考えられる。議員のテレビ出演に関して、党としての戦略的ルールを定めるべきだ。

同日の「TVタックル」では、「舛添厚労相はよくやっている」、「渡辺行革相は官僚機構の抵抗に対抗して闘っている」との政治的プロパガンダを視聴者に刷り込む演出が施されていたが、野党出演者は鋭利に問題点を指摘する必要がある。

政府の国家公務員制度改革が「まやかしもの」であることは「天下り容認」に象徴されているが、御用コメンテーター代表格の三宅久之氏は「いやー、いきなりすべてやれと言っても無理だ。やれる範囲でよくやっている」と政府を擁護した。

民主党出演者は「天下り根絶」の公約に偽りがないかどうかを厳しく問われたが、毅然と、より明確に対応すべきだった。

  

マスメディアを動員しての情報操作を含め、総選挙を目前に控えて総力を結集しているのは与党だ。既得権益、利権、政治権力を維持しようとの執念はすさまじい。

8月にも創設が見込まれる「偽装CHANGE」勢力を、自民党がメディアを総動員して宣伝することも予想される。「偽装CHANGE」勢力の正体を暴き、「真正CHANGE」勢力との相違を国民に示さなければならない。

政権交代は手の届くところにまで近付いたが、自民党の権力維持への執念を甘く見てはならない。

「ホップ・ステップ・肉離れ」

を引き起こさぬよう、

「九仞(きゅうじん)の功を一簣(いっき)に虧く(かく)」

ことのないよう、戦術の再構築と意識の引き締めが強く求められる。

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ベンジャミン・フルフォード氏との対談DVDについて

『暴かれた[闇支配者]の正体』『暴かれた9.11疑惑の真相』『ベンジャミン・フルフォードのリアル経済学』などの衝撃書を精力的に出版し、解き明かした「真実」と「真相」を告発する気鋭のジャーナリスト、ベンジャミン・フルフォード氏との対談DVDの販売が開始されました。

ベンジャミン・フルフォード氏のサイトに、対談の詳細とダイジェスト版(You Tube動画)がアップされています。

ご高覧くださいますようご案内させていただきます。

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2008年7月21日 (月)

「売国政策」を排除しなければならない

日本を「売国者」から守らなければならない。最も大切なことは誰が売国主義者で誰が国を守る人であるのかを正しく見定めることだ。「売国政策」、「国を守る」の表現を「右翼的」と感じる人がいるかもしれない。

しかし、「国を守る」の意味は「国民を守る」=「国民の幸福実現を目標とする」ことで、右とか左の問題ではない。「売国」は「国民の幸福を犠牲にして外国勢力の利益増大を図る」ことだ。

   

「カナダde日本語」の美爾依さんがブログで記事を詳しく紹介してくださった。既得権益を維持することだけに執着し、権力を欲しいままに濫用する現在の政治権力を打破するための最重要の一歩として、次期総選挙での政権交代実現に向けて、人々が力を結集することを何よりも望みます。今後とも貴重な情報を発信くださることを願っております。

  

2001年から2003年の大不況、資産価格暴落は、典型的な「売国政策」だった。この期間に日本経済を崩壊させる理由は何一つなかった。小渕政権の正しい政策で景気回復、金融危機脱出が半ば成功しかけていた。

「売国政策者」は小渕政権を「ばらまき」や「抵抗勢力」の言葉で非難した。しかし、これらの非難は政治的プロパガンダにすぎなかった。客観的データは小渕政権の時代に公共事業(公的総資本形成)が減少し続けたことを証明している。

2001年から2003年の大不況により、多数の罪なき日本国民が犠牲になった。他方で外国資本は日本の優良資産を根こそぎ獲得した。明治政府の「官業払下げ」に類似する、小泉政権による「民業払下げ」が外国の政商に対して実行されたと評価できる。

「民業払下げ」は「官業払下げ」にまで拡張された。経済は破壊され、株価・地価は暴落した。暴落した優良資産の所有権を独占したのは外国資本だった。外国資本の最後の大きな標的は350兆円の郵政資金だった。

350兆円の郵貯・簡保資金だけでなく、郵政が保有する巨大一等地不動産、道路公団が保有する巨大道路資産もターゲットにされている。国際評論家小野寺光一氏がこの問題を的確に指摘されている。

次期総選挙で日本の政治を国民の手に取り戻さなければならない。日本の政治は国民の幸福実現を目標に運営されなければならない。

問題は政治権力がマスメディアを支配し、マスメディアが国民を洗脳しようとしていることだ。真実を洞察する人々が力を結集して、草の根から情報を発信しなければ、危機を乗り越えることはできない。

  

「こづかい帳」さんが重要な情報を紹介された。

渡辺喜美金融相兼行革相の発言を取り上げた7月17日付産経ニュース記事だ。

(引用開始)

7月16日、渡辺喜美金融担当相は訪ねてきた米政府元高官に語りかけた。

「米住宅抵当金融公社の経営不安を憂慮しています。まず、日本は政府の保有分はもとより、民間に対しても住宅公社関連の債券を売らないように言います」

うなずく米要人に対し、渡辺氏は続けた。「米政府が必要とすれば日本の外貨準備の一部を公社救済のために米国に提供するべきだと考えている」

昨年8月の低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライム・ローン)危機勃発(ぼっぱつ)後の金融不安は、最近表面化した連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)、連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の2公社の経営危機でさらに深刻化している。米政府や連邦準備制度理事会(FRB)は公的資金注入など公社救済策を検討中だ。しかし、公的資金必要額は住宅価格下落に比例して膨張する。両公社の住宅ローン関連債権は米住宅ローン総額の半分近い5兆2000億ドル(約550兆円)で、日本の国内総生産(GDP)に相当する。

両公社が発行している住宅関連証券が投げ売りされるようだと、米国のみならず欧州、日本、中国など国際的な信用不安になる。そればかりではない。米国債への信用は損なわれ、ドルは暴落しかねない。

株式の低迷に加え、米国債とドルが暴落すれば、ドルを中心とする国際金融体制は崩壊の危機に瀕し、世界経済全体が根底から揺らぐ。

渡辺案は、米国の自力による住宅公社再建には限界があるとみて、この6月末で1兆ドルを超えた日本の外貨準備を米国の公的資金注入の資金源として提供する思い切った対米協調である。

筆者はこの考え方について、在京米金融筋で米国務省のアドバイザーに感想を聞いた。彼は言う。「同盟国日本が率先して支援の手を差し伸べてくれると、われわれは日本にかつてなく感謝するだろう。日本は救済パッケージで主導性を発揮し、中国にも働きかけてくれればより効果的だ」

中国の外貨準備は6月末で1兆8000億ドルに達し、米国債や米住宅公社関連債券の保有額でも日本をしのぐ世界最大の水準とみられている。中国は貿易や投機を含む投資で流入してくるドルを当局が買い上げ、主として米債券に投資している。ドルが暴落すれば中国も巨額の損失を直接被ることを中国政府は自覚しており、日本が国際協調を呼びかけると同調する可能性は高い。

思い起こすのは、1997年のアジア通貨危機である。日本の財務省は通貨危機打開のために「アジア通貨基金」設立構想を推進した。ところが米クリントン政権が強く日本案に反対し、日本主導を嫌う中国と語り合って、アジア通貨基金構想をつぶした。今回の危機は米国を震源地とする巨大地震であり、中国も米市場の安定は自国経済の死活問題である。

渡辺金融担当相は「まだ私案の段階だが、中国にも協力を呼びかけるつもり」と言う。米金融危機が今後さらに悪化すれば、有力案として浮上しよう。

(編集委員 田村秀男)

(引用終了)

    

中川秀直氏を主軸とする「上げ潮派」は「増税・利上げ・規制強化」に反対している。問題は「利上げ反対・金融緩和維持」の主張だ。

中川氏の近著「官僚国家の崩壊」について、「神州の泉」主宰者の高橋博彦氏が貴重な評論をブログに掲載し、警鐘を鳴らされている。

「インフレ誘導政策」は財政当局の熱望である。拙著『知られざる真実-勾留地にて-』第一章「偽装」6「福井日銀総裁追及の深層」にも記述した。

インフレは債務者に利得を、債権者に損失を与える。所得100万円、借金100万円の個人を考える。物価が10倍になるとこの人の所得は1000万円になる。借金100万円は変わらない。借金の重みは10分の1になる。つまり、借金をしている人は救われ、お金を貸す人、預金者が損をする。

日本一の借金王は日本政府だ。激しいインフレ発生を心から喜ぶのは日本政府だ。このとき、預金者=一般国民、国債保有者は激しい損失に直面する。

   

日本の超低金利政策を強く求めてきたのは誰か。財務省と米国だ。中川氏の主張もこの文脈に属する。財務省は利払い費を節約でき、また、心の底で激しいインフレを待望している。

米国は日本の低金利のおかげで、赤字をファイナンスできた。米国は巨額の経常収支赤字を続けている。赤字部分を外国資本の流入で賄っている。米国の赤字を埋めてきたのが日本からの資本流入だ。日本の金利が上昇すれば、日本から米国への資本流入が途絶える。

    

2000年から2008年にかけてドルは暴落した。円から見るとドルは暴落していない。なぜなら、円自身が暴落したからだ。

2000年10月には、

1ユーロ=0.82ドル

1ユーロ=88.8円

だった。これが2008年7月に

 1ユーロ=1.60ドル

 1ユーロ=196.6円

になった。ユーロは円やドルに対して2倍に上昇した。ドルと円はユーロに対して半値に暴落したのだ。

   

 日本の外貨準備は1兆ドル。円に換算して約100兆円として、単純な時価評価をすれば、ドル運用とユーロ運用で、100兆円の差が生じた。

 日本政府は米国に隷属して、ドル資産に100兆円もの資金を注ぎ込んだ。この資金をユーロに投入した場合との時価評価差が100兆円だ。

 100兆円あればすべての日本国民に1人100万円配分できる。国民福祉をどれだけ充実できるだろうか。高齢者が安心して暮らすことのできる政策を実行して十分なおつりがくる。

     

 ドル暴落の印象が薄れているのは、日本円が暴落したからだ。米ドルの対日本円レートはこの期間、横ばいで推移した。暴落した通貨同士を比較すると、通貨暴落の事実を隠ぺいすることができる。

 日本の一人当たりGDPの世界順位が急落したが、最大の要因は日本円の下落にある。円金額が同水準でも、欧州諸国と比較すると日本の所得金額は半分になるからだ。

    

 「上げ潮派」は日本銀行の利上げに反対する。日本の超低金利が円安の最大の背景になってきた。

円安は日本の時価評価を下落させ、購買力を低下させる。外国資本にとっては、日本の実物資産取得が極めて容易になる。日本占領が容易になるのだ。

円安誘導を喜ぶのは日本の輸出製造業だけだ。日本の経済国力は円安に連動して著しく下落した。

 上記ニュース報道は、渡辺金融相がこの期に及んで日本の外貨準備を米国住宅金融公社救済資金として活用する可能性について言及したこと伝えている。

 渡辺氏は外貨準備を自分のこづかいと考えているのだろうか。渡辺氏が自分のポケットマネーで住宅金融公社の救済をするのなら自由に決めればよい。

 外貨準備は渡辺氏のポケットマネーではない。貴重な国民資産なのだ。渡辺氏は日本の政府系ファンド(SWF)創設積極論者と伝えられているが、この感覚でSWFを創設されたのでは、国民はたまらない。

仮に渡辺氏に外国勢力から返礼があるとしても、国民は損失を蒙るだけだ。

     

 米国への安易な資本供給が米国の節度を低下させる弊害も考慮しなければならない。バブル期の過剰融資に類似する問題だ。

バブル企業に金融機関が安易に資金を貸し込んだことが問題を拡大させた。旧長銀も旧日債銀もその責任を問われる。

 ドル下落をもたらすファンダメンタルズを放置したままの米国に日本政府がドル買い支えで資本を供給することが、米国政府のファンダメンタルズ改善への必要性を減じさせてしまう。日本の安易な資本供給姿勢が「モラル・ハザード」を生み出す原因になるのだ。

    

 1997年6月、橋本元首相がニューヨークでの講演で米国国債売却を示唆して、米国政府の激しい攻撃を受けた。日本政府のドル資産への安易な資金供給は日本政府の米国隷属の象徴でもある。

 「りそな」疑惑以外にも、「日興コーディアル」問題、西武鉄道保有不動産処分問題など、詳細を明らかにしなければならない問題が山積している。

 次期総選挙までに、これらの問題を明らかにしなければならない。

「国民の国民による国民ための政府」をどうしても樹立しなければならない。

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2008年7月20日 (日)

長銀事件逆転無罪判決の闇(2)

旧長銀粉飾決算事件における異例の最高裁逆転無罪判決の裏側に、財務省主軸「官僚主権構造」の闇が存在することは、確かであるように思われる。

旧日本長期信用銀行の粉飾決算事件で最高裁判所は7月18日、1、2審で執行猶予付き有罪判決を受けた元頭取ら3人に逆転無罪を言い渡した。この問題に関連する追記。

   

担当裁判官の一人である、津野修最高裁判所判事の経歴は以下の通り。

   

1961 国家公務員採用上級試験合格

1961 司法試験合格

1962 京都大学法学部卒業

1962 大蔵省入省 

1967 板橋税務署長

1971 日本貿易振興会フランクフルト事務所駐在員

1978 内閣法制局参事官

1983 大蔵省主税局税制第三課長

1985 福岡財務支局長

1986 内閣法制局第三部長

1992 内閣法制局第一部長

1996 内閣法制次長

1999 内閣法制局長官

2003 弁護士登録(第一東京弁護士会所属)

2004 226- 最高裁判所判事

(出典 Wikipedia

津和野氏は正真正銘の元大蔵官僚である。

財務省(大蔵省)による内閣法制局支配は、「財務省(大蔵省)主軸官僚主権構造」を支える根幹のひとつである。

  

今回の判決には財務省の意向が深く関わった可能性が高い。

判決の真の狙いは、「日債銀事件」の被告人の一人である、旧大蔵省最高幹部で国税庁長官を務めた窪田弘氏の無罪獲得にあると考えられる。 

日本は暗黒権力の下に統治されている。

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漁業被害過剰報道の裏側

原油高による漁業関係者の苦境だけが、なぜ大々的に報道されているのか。原油高は漁業関係者だけでなく、国民生活全般に重大な影響を及ぼしている。偏向報道の裏側に政治権力の狡猾な思惑が見え隠れしている。

「核武装と日本の軍事戦略-防衛省OB太田述正ブログ」様、メッセージをありがとうございました。私も蒲島熊本知事の政治的主張を支持しているわけではないことを補足させていただきます。また、私が日本の核武装には反対であることも補足させていただきます。次期総選挙での民主党の勝利と政権交代実現を心より念じております。

「飄(つむじ風)」様「生き抜く力」様「鷹嶺創書院別当公訳」様「こわれたおもちゃをだきあげて」様「徳島で生活する父より」様「高原千尋の暗中模索」様「kobaちゃんの徒然なるままに」様「今日の喜怒哀楽」様Baby Buggy」様「わんわんらっぱー」様Japonesian Trans-ApocalypseTrans-Modern New Platonic Trans-Creation」様akoのつぶやき」様_~山のあなたの空遠く幸い住むと人のいう~」様「晴天とら日和」様「ただいま勉強中(仮題)・・・」様「ふじふじのフィルター」様、記事のご紹介ならびに過分なお言葉をありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。

    

福田首相は6月17日の外国通信社との会見で、消費税増税について「決断の時期」と発言し、2009年度の消費税増税実施を示唆した。マスメディアは一斉にトップニュースで報道した。

私は、本ブログ6月20日記事「劇場型政治手法の再来」に次のように記述した。

「財政再建派は社会保障制度の安定性確保のための消費税増税を主張する。だが、総選挙を控えて与党が増税方針を最終的に決定する可能性はゼロである。」

   

自民党は次期総選挙が差し迫るなかで、「政治権力の死守」しか考えていない。昨年7月の参議院選挙、本年4月の山口2区の衆議院補欠選挙、6月の沖縄県議会選挙で、有権者は自公政権に「NO」の意思を表示している。

年金問題への無責任極まりない対応、後期高齢者医療制度での高齢者いじめ、ガソリン税暫定税率復活による2.7兆円増税強行、障害者自立支援法による生存権侵害などを背景にして、有権者はようやく小泉政権以来の政治の誤りを明確に認識するようになった。

小泉政権以来の自公政権の基本政策は、①弱肉強食奨励、②官僚利権温存、③対米隷属外交、である。この基本方針に基づく政策が日本社会を破壊し尽くしつつある。

「真正の改革」は、①セーフティーネット重視、②官僚利権根絶、③独立自尊外交、を基本とするもので、「政権交代」なくして実現しない。「真正の改革」は、民主党を中心とする野党が次期総選挙で過半数を獲得することにより初めて実現する。

     

小沢一郎民主党代表が述べるように、次期総選挙は「政権交代を実現する最大で最後のチャンス」である。野党が戦略を誤らなければ、この大事業は成功する。

自民党は小沢一郎民主党代表を最大の脅威と認識し、あらゆる手段を用いて小沢一郎氏の影響力排除を画策してきた。

「大連立構想」も「渡辺博史日銀総裁構想」も、小沢氏失脚を目論見んで構築されたものだったと考えられる。

小沢氏失脚を目論む第三の矢は、民主党代表選を実施させる画策である。自民党と内通していると考えられる田原総一郎氏と民主党の前原誠司氏は、民主党分断工作に血道をあげている。

「国際評論家小野寺光一の「政治経済の真実」」主宰者の小野寺光一氏は、かねてより小沢一郎氏を無投票で民主党代表に再選すべきと主張されてきた。

   

民主党は、次期総選挙での勝利に照準を合わせて、総力を結集しなければならない。反党的行動をとる党議員に対しては、除名をも辞さぬ強い姿勢で臨む必要がある。

政権交代のチャンスを潰えさせることは、政権交代を求める国民に対する背任行為だからだ。

    

自民党は、次期総選挙に向けて壮大な「偽装」を企てていると考えられる

第一は、「偽装CHANGE」勢力の創設だ。本ブログで繰り返し記述してきた。

「脱藩官僚の会」、「上げ潮派」、「TPL&小泉チルドレン」、「知事グループ」、「前原誠司氏を軸とする民主党分断工作派」が連携して、「反自民票」の受け皿になること。

しかし、「偽装CHANGE」勢力は紛れもなく「自民党別働隊」であり、自民党の権力維持を目的に創設されるものだ。

「官僚利権根絶」を唱えながら、官僚利権を根絶する意思をまったく有していないと考えられる。

郵政民営化選挙で国民を「B層」と位置付けて誘導したように、次期総選挙に際して、「偽装CHANGE」勢力が国民を欺き、誘導する恐れがある。

「偽装CHANGE」勢力のミッションは、選挙後に自民党と連携して自民党の政治権力維持を実現させることにある。

「偽装CHANGE」勢力の裏側に小泉元首相、中川秀直氏、小池百合子氏、飯島勲氏、竹中平蔵氏、前原誠司氏などが蠢いていることが、なによりの証左だ。

「偽装CHANGE」勢力のミッションは、「政権交代」=「真正の改革」を阻止することにある。

企業は急進的労働組合による労働争議を回避するために、企業内に「偽装労働組合」=「御用組合」を作る。「御用組合」のミッションは「真正の組合」の成立を阻止することにある。

「敵を欺くにはまず味方を欺く。これ権謀術数の第一歩と心得よ」との飯島勲氏の言葉が「偽装CHANGE」勢力の意味を端的に物語っている。

   

第二の「偽装」は、小泉政権以来の「財政改革」の旗を、人目につかぬように降ろすことだ。

小泉政権も繰り返し用いた「偽装」である。

   

上述したように、私は6月20日付記事に「総選挙を控えて与党が増税方針を最終的に決定する可能性はゼロである」と記述した。

果たして、福田首相は6月23日の会見で「消費税増勢は2~3年で判断」と発言を大幅に後退させ、消費税増勢を先送りする方針を明示した。予想通りの行動だ。

    

日本経済は2008年年初から景気後退局面に移行した。時間を追うごとに経済悪化が鮮明になる。この状況下での大増税はあり得ない。

   

逆に2008年度は景気対策を目的とする補正予算編成を避けることができない。2001年度と2002年度、私は補正予算編成が避けられないことを明言した。

小泉政権は「国債発行30兆円以内」の公約を掲げて、補正予算編成を拒絶した。

しかし、結局、両年度とも小泉政権は5兆円規模の財源調達を追加する補正予算編成に追い込まれた。

公約はあえなく破棄されたが、小泉首相は2003年まで公約違反を偽装し、表面化したのちは、「大したことではない」と開き直った。

不況突入時には、早期の対応が重要だ。対応が遅れるほど、対策は大規模にならざるを得ず、財政赤字を拡大させてしまう。

2008年度も必ず補正予算編成が必要になる。洞察力がある政権ならば、直ちに補正予算編成を決断し、臨時国会を早期に召集して補正予算を成立させる。

しかし、福田政権は優柔不断であり、これまでの政策路線からの切り替えを迅速に決定できない。時間をかけてゆっくりと舵を切る可能性が高い。

   

第二の「偽装」は、今後の「補正予算編成」と「財政再建目標維持」が両立するとの「偽装」を施すことだ。

原油高による漁業の困窮をマスメディアが最大級のニュースとして報道しているのは、財政政策運営を補正予算編成の方向に切り替える「大義名分」を整えるためである。

東国原宮崎県知事は自民党の要請に沿って行動していると考えられる。首相官邸を訪問して原油高対策を陳情し、マスメディアが大きく報道する。

2011年度プライマリーバランス黒字化の目標を維持したまま、補正予算編成に自民党は動く。

福田首相の夏休みは、政策転換の大義名分づくりと内閣改造の検討に大半の時間が充てられることになるだろう。

    

自民党は補助金付与の補正予算を嗜好する。補助金付与の補正予算こそ、利権の温床になるからだ。補助金付与に対して、制度減税は利権の温床になりにくい。国民の視点に立てば、制度減税が望ましいことは明白だ。

本来、4月に失効したガソリン税の暫定税率上乗せ部分を廃止したままにすればよかった。1年間で国民負担は2.7兆円減少する。減税はガソリン等の消費量に比例して配分されるから、もっとも透明性の高い原油高対策になった。

参議院がガソリン税の暫定税率廃止を決議したにもかかわらず、政府与党は衆議院の3分の2の議席の多数を頼み、暫定税率をゴールデンウィーク直前に復活させてしまった。

   

民主党が農家に対する所得補償などのきめ細かい政策を提示していることを意識して、自民党は漁業に対する補助金行政によって総選挙対策を施そうとしているのだと考えられる。

しかし、不透明な補助金付与より、ガソリン税の暫定税率廃止の方が格段に優れた政策である。

原油高の影響に関して、漁業だけが突出して大きく報道されるのは不自然だ。陸運関係の業種でも厳しい状況が発生している。マスメディア報道が政治権力によって深くコントロールされている現実の片鱗が示されている。

夏休み明け後の福田首相の言動を注視しなければならない。

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2008年7月19日 (土)

長銀事件逆転無罪判決の闇

旧日本長期信用銀行の粉飾決算事件で、最高裁判所は7月18日、執行猶予付き有罪とした1、2審判決を破棄、元頭取ら3人に逆転無罪を言い渡した。

刑事事件で最高裁が逆転無罪判決を出すのは極めて異例である。

日本の三権分立はおとぎ話である。内閣総理大臣が三権を掌握し得るのが実態である。政治権力は司法、警察、検察に対しても支配力を及ぼすことが可能である。

今回の最高裁判決の真のターゲットはこの事件にはないはずだ。旧長銀と類似した事案で裁判が行われている「日債銀事件」が謎を解く鍵である。

「日債銀事件」では大蔵省OBで国税庁長官を務めた窪田弘氏が起訴され、1審、2審で執行猶予付き有罪判決が出されている。

大蔵省、財務省は、同省最高幹部を経て日債銀に天下りした窪田氏の有罪確定を回避することを最重要視してきた。

長銀事件が最高裁で逆転したことが、日債銀事件に影響する。

日債銀事件で同様の逆転無罪判決が出されるなら、ここに示した仮説が間違いでないことが判明すると考える。

日本の権力構造の闇は限りなく深い。

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2008年7月18日 (金)

政策より政局を優先する福田政権

政策よりも政局を優先しているのは小沢民主党代表ではなく福田首相である。

「神州の泉」主宰者の高橋博彦様、いつも身に余るお言葉をありがとうございます。微力ではありますが覚悟を決めて行動しております。今後ともよろしくお願いいたします。

   

福田政権は臨時国会の召集を9月以降に遅らせることを検討し始めた。原油高が漁業などの国内産業に重大な影響を与え、早急な対応が求められている。

景気対策や後期高齢者医療制度対策などの財源措置が必要で、補正予算編成は避けられない情勢になっている。国民生活を優先するなら、8月にも召集する臨時国会に補正予算案を提出することになる。

しかし、国会に補正予算を提出すると、福田首相が出席する予算委員会を衆参両院で開く必要が生じる。福田政権は年金記録問題での公約違反などを国会で追及される恐れが高いことなどを理由に、臨時国会への補正予算提出を見送ることを検討しているという。

   

自民党は池尾和人氏の日銀審議委員就任人事案に民主党が同意しないことを、「政局優先」と批判してきた。しかし、民主党は池尾氏が郵政民営化を積極的に賛成してきたことを踏まえて野党共闘を重視する立場から人事案に同意しないことを決定したのであり、政局だけを重視したのではない。

   

円高対策を盛り込む補正予算案提出を政局の視点から先送りすることは、国民生活を犠牲にして政治的利害を優先することを意味する。

9月8日告示21日投開票の民主党代表選挙を盛り上がらないようにすることも、臨時国会召集を遅らせる理由のひとつになっているようだ。

  

Easy Resistanceさんが重要な情報を指摘された。以下は「Easy Resistance」さんが摘示された産経ネットのニュース。

  

自民が選挙「供託金」没収点引き下げ検討 民主、共産分断狙いも

    
「自民党の選挙制度調査会(村田吉隆会長)は18日、国政選挙や地方首長選挙などへの立候補に必要な供託金が没収される得票率(没収点)引き下げの検討に着手した。各党との間で公営選挙ごとの供託金の引き下げ幅や導入時期などの調整を進め、早ければ8月下旬にも召集される次期臨時国会に議員立法で公職選挙法改正案を提出し、成立を目指す。
 財政難に苦しむ共産党は、供託金没収の負担軽減などを理由に次期衆院選で大幅に立候補者を絞り込む方針で、自民党は共産党の「空白区」で、同党支持票が民主党に流れることを強く警戒している。自民党には、供託金没収のハードルを下げることで、共産党が選挙区により多くの候補者を擁立できる環境を整え、民主、共産両党の分断を図る狙いがあるとみられる。このため民主党からは「本音では引き下げ検討は歓迎できない」(中堅)との声も漏れている。
 供託金制度は売名行為の泡沫(ほうまつ)候補の乱立を防ぐことを目的している。現行公選法によると衆院選の場合、1候補者につき選挙区300万円、比例代表600万円を供託し、選挙区では有効投票数の10分の1を得票できなければ没収される。このため主に共産党など中小政党の立候補者の多くが供託金を没収されている。」

619338分配信 産経新聞)

「自民党の選挙に不利に働くから選挙制度を変える」というのだ。「権力の濫用」に対する自制心、躊躇のかけらもない。

自民党は民主党の小沢代表に対して「政策よりも政局」との攻撃を繰り返すが、自民党の行動のどこが「政策優先」なのか。

共産党が候補者を絞れば、自民批判票が民主党候補に集約されて議席に結びつく確率が高くなる。共産党候補者に投票されて死票となっていた投票が生かされることにもなる。

有権者の声が国政に反映されることを重視する視点に立てば、望ましい結果でもある。

  

小泉元首相は180の比例代表議席を廃止して、300議席の単純小選挙区制に改変することを提唱しているとのことだが、単純小選挙区制では、死票が一段と増大する。

比例代表180が併存する現行の比例代表並立小選挙区制度は、300選挙区の候補者が比例区で同順位重複立候補すると、2大政党の下では120の1人区と180の2人区による選挙に近似した結果が生じる。

180の2人区の存在により、死票が格段に少なくなる利点がある。また、小規模政党に対する投票を死票にしない効果もある。単純小選挙区制度の提案は、自民党に有利な選挙制度に転換しようする画策にすぎない。

120の1人区と180の2人区が存在すると考えれば、比例区で復活当選する代議士を第2級代議士として差別する必要もない。

国会同意人事に関するルールを変更しようとの企みも進行している。選挙制度も国会同意人事制度も、議会制民主主義の根幹をなす「ルール」である。

メディアを完全にコントロールした集団催眠的な手法によってたまたま確保した衆議院の3分の2以上の議席を活用して、基幹ルールを変更してしまおうとする姑息な行動を断行しようとする与党の横暴を許してはならない。

直近の有権者の意思表示は昨年7月の参議院選挙、本年4月の衆議院補欠選挙、6月の沖縄県議会選挙結果に表れている。

いずれの選挙においても、有権者は与野党逆転の意思を表示した。この状況下で、与党が民主主義の根幹ルール変更を強行することは許されない。

福田政権は臨時国会を早急に召集し、国民生活を守る視点を優先して補正予算案を国会に提出すべきだ。

国会での野党からの追及を避けるために国会召集を遅らせ、国民生活を守るための補正予算提出を先送りするような姑息な行動を取るなら、首相の地位に居座る資格を持たない。即刻内閣総辞職を決断すべきだ。

政治は国民を幸福にするために存在する。政治家の自己保身のために国民が犠牲にされる本末転倒を国民は許してならない。

政治権力に支配され、政治権力に迎合するマスメディアから正しい情報は伝わらない。草の根から真実の情報を発信し、国民に伝えなければならない。

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2008年7月17日 (木)

民主・国民新党合意は「自End」への一歩

民主党と国民新党の合意成立は政権交代実現に向けての重要な一歩だ。政権交代を実現し、「真正の改革」を実行しなければならない。

   

権力維持を至上命題とする自民党は、「偽装CHANGE」勢力を準備して、国民を欺き、決戦となる次期総選挙を克服しようとしている。しかし、政権交代なくして真の改革はない。

権力は腐敗する。「官僚主権構造」は自民党政権と表裏一体の関係にある。小泉政権は「改革」の旗を掲げたが、「官僚主権構造」を「改革」しなかった。財務省を主軸とする「官僚主権構造」は小泉政権時代に強化された。

福田政権が財務省主軸の「官僚主権構造」を土台としていることは、日銀総裁人事の迷走によって証明された。福田首相は財務省から日銀幹部への天下り利権死守に執着し、日銀副総裁を4ヵ月も空白のまま放置している。日銀人事混迷の責任は福田政権にある。

   

繰り返すが、「偽装CHANGE」勢力は自民党別働隊である。「偽装CHANGE」勢力が登場するのは、次期総選挙を目前にして自民党が苦境に追い込まれているからだ。

「官僚主権構造」を打破しなければならないことに国民は気付いた。「年金」、「後期高齢者医療制度」、「格差拡大」などの問題が明らかになり、根本的な変革が求められている。

     

昨年7月の参議院選挙で自民党が敗北し、民主党が参議院第一党の地位を確保した。野党は参議院の過半数を制圧した。本年4月、6月の山口2区衆院補選、沖縄県議選でも野党が勝利した。

次期総選挙で野党が勝利すれば、政権交代が実現する。国民は劇場型政治に騙されてはならない。2005年9月の郵政民営化選挙。自民党が地滑り勝利を収めたが、その結果が「年金」、「後期高齢者医療制度」、「格差」に代表される国民不在の政治問題噴出だ。

   

「脱藩官僚の会」、「上げ潮派」、「TPL」、「知事グループ」、「小泉チルドレン」、「前原誠司一派」の裏側を見れば「偽装CHANGE」勢力の正体が分かる。小泉純一郎、中川秀直、小池百合子、飯島勲、竹中平蔵、の面々が蠢(うごめ)いている。

「偽装CHANGE」勢力が、日本経済と日本文化を破壊し、外国勢力に巨大利益を供与してきた小泉政権以来の歴代政権の別働隊であることは火を見るよりも明らかだ。

  

「セーフティーネット」を整備しなければ、すべての国民が安心して暮らすことはできない。「市場原理至上主義」は弱肉強食、拝金主義、弱者切り捨てを肯定する。

小泉政権以来の政権の大きな特徴は、財務省を軸とする官僚利権を死守してきたことだ。キャリア官僚の特権を擁護し、天下り制度を死守しようとする。

「真正の改革」の心髄は「天下り利権の根絶」にある。「偽装CHANGE」勢力は、必ず天下り利権を温存することになる。

小泉政権以降、日本の経済政策は外国資本に利益供与するために運営されてきた。一方で日本国民は、苦しみの淵に追い込まれ、見殺しにされた。日本の経済政策を「売国政策」から「経世済民の政策」に転換しなければならない。

   

福田政権が内閣改造に失敗すれば、今秋ないし来年年初に総選挙が行われることになる。残された時間は限られている。

自民党が「偽装CHANGE」勢力を創設し、マスメディアを総動員して世論操作を図ることを踏まえて、野党勢力は政権交代実現に向けて全精力を注がなければならない。

   

民主党の代表選は次期総選挙への活用の視点だけから論じられるべきだ。前原誠司前代表の行動は個人の利害を優先しているか、民主党の分断を狙っているかのどちらかの理由によるものとしか考えられない。

前原氏が自民党別働隊である「偽装CHANGE」勢力の一味である可能性も高く、民主党は党議員の反党行為に対して厳正に対応する必要がある。

  

田原総一郎氏に代表されるメディア関係者が、政権与党と内通してテレビメディアを政治的に利用している疑いも強い。民主党はテレビメディアに対する党所属議員の出演をコントロールすべきだ。

前原誠司氏だけでなく渡部恒三最高顧問も反小沢一郎代表の意趣を内包していると考えられ、渡部氏が複数候補による民主党代表選挙実施を主張しているのもそのためと考えられる。

   

次期総選挙に好影響を与える代表選を実施できるなら、代表選実施の意味があるが、党内対立を際立たせるだけなら、プラス効果は存在しない。

政権与党は民主党代表選挙を実施させようと必死にメディアコントロールを強めている。政権与党の狙いは、代表選を実施させ、民主党内に小沢代表批判が存在することを、マスメディアを総動員して国民に刷り込むことにある。

自民党総裁選は、自民党が支配下のマスメディアを駆使して自民党の宣伝になるように報道させるから、自民党にプラスの効果しかもたらさない。

しかし、民主党代表選は自民党に支配されたメディアが逆方向の報道を展開するから、効果も逆になりやすいのだ。この点を見逃してはならない。

      

5月29日記事「自民党が恐れる最大の存在は小沢一郎民主党代表である」に記述したように、自民党は執拗に小沢氏攻撃を続けている。自民党は、小沢代表体制が強化されて次期総選挙が実施されることを強く恐れている。

大連立協議、渡辺博史日銀総裁案は、小沢代表の影響力排除を狙う謀略だった可能性が高い。自民党は民主党代表選を小沢代表攻撃のラストチャンスと捉えていると見られる。

民主党は党内の民主党分断工作派を掌握し、小沢氏の無投票代表再選を早急に決定し、代表選に代えて「マニフェスト発表党大会」を大規模に実施すべきだ。

  

民主党が次期臨時国会に「天下り根絶法案」を提出することも重要だ。「官僚主権構造」と一体の自民党が「天下り根絶法案」を提出することは不可能だ。「偽装」と「真正」はこの一点で明瞭に区別できる。

野党内選挙協力体制の確立を急がねばならない。池尾和人氏の日銀審議委員就任人事に民主党が同意しない方針を決定したことは英断だった。これによって、民主党と国民新党との連携が維持された。

   

今回の民主党と国民新党との合意成立は極めて意義深い。民主党内部にも対米隷属勢力が存在し、具体策決定において論議が紛糾する恐れがあるが、日本国民の利益、幸福を基準に論議を深めれば、合意内容を着地させることが可能だ。

社民党との選挙協力も早急に詰めるべきだ。次期総選挙立候補予定者は苦しい判断を迫られるが、政権交代を実現するためには選挙協力が鍵を握る。各候補者には大義を重んじ、個利を捨てる行動が求められる。

共産党が擁立候補を削減することは、政権交代実現に大きなプラス効果を生む。共産党は自公政権打倒の大目標を重視して、自民党を利する野党攻撃を抑制すべきだ。民主党を中心とする野党各党は共産党との選挙協力も積極的に検討すべきである。

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FRBインフレ重視方針でNYダウ反発

NY株価が当面の転換点を通過した可能性が高い。

  

「こづかい帳」様、ありがたいメッセージをありがとうございます。お言葉を励みに微力ながら努力してまいりたく思います。

   

7月16日、バーナンキFRB議長が米国下院金融委員会で証言した。15日の上院銀行委員会での証言に続き、半年に一度の金融政策報告を行った。

15日の証言では、「金融市場の安定確保がFRBの最優先事項」との見方が提示されたが、16日の証言および質疑応答では、「インフレを引き下げるための政策の実行が今後のFRBの最優先事項」と発言した。

   

私は、①金融システムの不安定性、と、②インフレ圧力、が米国経済の二大課題であるとし、この二つの問題に適正に対応することが必要であると判断してきた。

①金融システム問題に対しては、システッミックリスクを排除するために、政策当局が公的資金投入を含む施策を機動的に実行できる体制の整備が不可欠であると主張してきた。

②インフレ圧力に対しては、引き下げ過ぎたFFレートを、インフレ心理を抑制する水準にまで引き上げることが求められると述べてきた。

   

15日の証言では、バーナンキ発言が①金融システム不安への対応に著しく偏った。

FRBが①金融システム問題を優先して、超金融緩和政策を放置することになると、ドル下落、原油価格高騰が持続し、米国株式市場を中心とする金融市場の不安定性が拡大するリスクが高いと判断した。

現にNYダウは15日、前日比93ドル下落して、2006年7月21日以来、2年ぶりに11,000ドルを割り込んだ。

   

ところが、16日の議会証言で、バーナンキ発言のトーンは大きく変化した。

バーナンキ議長は、「現在のインフレが高過ぎるとの見方に賛同する。物価安定と一致する容認可能な水準にインフレを引き下げるための政策実行が今後のFRBの最優先事項だ」と述べた。

①「金融システムの安定性確保が最優先課題だ」とした15日の証言から一転して、

②「インフレ圧力の除去が最優先課題である」と発言したのだ。

    

NYダウは16日、前日比277ドル上昇して11,239ドルに反発した。FRBがインフレ抑制スタンスを明確に示したことが株価反発をもたらしたと考えられる。

16日に発表された6月米国消費者物価上昇率は前月比1.1%、前年同月比5.0%を記録した。前年比5.0%の上昇率は91年5月以来、約17年ぶりの高い上昇率になった。

食品・エネルギーを除くコア指数は、前月比0.3%、前年比2.4%上昇した。コア指数の前月比上昇率はインフレ圧力の目安となる前月比0.2%上昇を上回った。

    

インフレ状況の悪化を示すデータが発表されるなかで、バーナンキ議長がインフレ抑制重視の政策方針を明確に示していなかったら、ドル安、株安、債券安のトリプル安が発生していたと考えられる。インフレ抑制重視の政策方針明示が事態改善をもたらしたと判断できる。

   

16日には、5月24、25日に開催されたFOMCの議事録も公表された。議事録では、「インフレ圧力の高まりから追加利上げが必要になる可能性がある」との認識が示された。

16日のバーナンキ証言に伴う質疑応答での発言と、5月FOMC議事録公表により、FRBのインフレ抑制重視の政策スタンスが金融市場に伝わり、ドル高、株高の反応が生じたと判断できる。

   

紆余曲折はあったが、FRBの政策方針は適正な方向に修正される可能性が高まった。

超金融緩和政策を維持し、インフレ圧力の拡大を放置し、ドル安、原油高、株安の流れを持続させてしまうリスクは大幅に後退した。

NY株価は15日の10,962ドルを底に、目先反発する可能性が高い。日本の株価は米国株価と連動するため、目先反発局面を示す可能性が高い。

   

しかし、その後は8月5日の利上げの有無が焦点になる。

私はFRBが8月5日に利上げを決定する可能性は依然として50%を上回っていると考えるが、原油価格がこのまま下落傾向を維持すれば、利上げ実施は先送りされるだろう。

これまでの際限のないドル安、原油高、株安の連鎖から解き放たれて、株価反発局面を期待することができるが、目先の反発で安心感が広がったのちの再調整圧力を警戒する必要がある。

8月5日のFOMCでの金利引き上げをめぐり、市場観測が交錯する可能性が高いからだ。

    

会員制レポート 『金利為替株価特報2008年6月7日号』で、インフレ圧力増大、FRBのインフレ警戒スタンス浮上を背景とする日米株価下落見通しを提示した。現実に6月7日から7月16日まで株価下落が進行した。

    

インフレ抑制がFRBの最重要政策課題に浮上することを、本ブログ

7月5日記事 「洞爺湖サミット原油高対策の有効性」

7月11日記事「FRB8月5日利上げの可能性」

7月15日記事「注目されるバーナンキFRB議長議会証言」

7月16日記事7/15バーナンキFRB議長議会証言」

に記述してきた。

7月16日のバーナンキ議会証言でインフレ重視の政策方針が明確に示されたことから、株式市場は一時的にせよ流れを転換することになると考えられる。

   

市場の潮流変化を見極めるとともに、8月5日FOMCに向けての市場変動と政策論議を注視しなければならない。

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2008年7月16日 (水)

橋下徹大阪府知事と上杉鷹山

橋下徹大阪府知事の行動を無条件で賛美するマスメディアの裏側には、大きな政治圧力が働いている。

「_~山のあなたの空遠く幸い住むと人のいう~」様「カナダde日本語」様「こわれたおもちゃをだきあげて」様「生き抜く力」様「ロハスな八ヶ岳生活」様「晴天とら日和」様「パタヤの風に吹かれて」様「とくらBlog「わかる新世界世界秩序」様、「Blog版ヘンリーオーツの独り言」様、記事のご紹介ありがとうございました。とくらたかこ様、次期選挙での必勝をお祈り申し上げております。

   

「居酒屋タクシー」、厚生労働省職員のネットカフェ労働、大阪府の職員給与引き下げ、など、役人を攻撃する素材が次々と取り上げられている。

「偽装CHANGE勢力」は8月にも「脱藩官僚の会」なるものを立ち上げようとしている。「官僚利権根絶」の旗を掲げる中川秀直氏率いる「上げ潮派」、小池百合子氏率いるTPL、小泉チルドレン、橋下知事らの知事グループ、前原誠司氏率いる民主党分断工作グループ、などが連携する気配が漂っている。

小泉元首相、中川秀直氏、武部勤氏、小池百合子氏、石原伸晃氏、渡辺喜美氏、飯島勲氏、竹中平蔵氏、橋下徹氏、東国原英夫氏、江田けんじ氏、高橋洋一氏、岸博幸氏、前原誠司氏などが連携し、田原総一郎氏、みのもんた氏、北野たけし氏、テリー伊藤氏などが広報活動を展開する。

石原東京都知事、橋本元高知県知事などがこの政治新勢力に加わる可能性もある。

  

「偽装CHANGE」勢力は、「官僚利権根絶」の旗を掲げるが、実態は自民党別働隊であり、官僚利権を根絶する意思など持ち合わせていないと考えられる。

総選挙後は自民党と連携する。自民党の権力維持を目的に仕組まれた、世論誘導の三文芝居である疑いが濃厚だ。

  

小泉氏や中川氏は小泉政権以降の政権中枢に位置し、官僚利権を根絶し得る立場にありながら、過去7年以上も官僚利権を死守してきた。いまさら官僚利権根絶を唱えても誰も信用しない。

渡辺行革相は天下り抑制の素振りを示しながら、確実に天下りを温存する着地点を用意してきた。「格付け会社」に対する金融庁の監督強化も、金融庁の利権拡大行動そのものを示している。

  

「偽装CHANGE勢力」を立ち上げるに際して、二つの世論拡大が目論まれている。

第一は、官僚部門に大きな無駄が潜んでいることを示すこと。

第二は、官僚部門の悪の根源が一般公務員にあるとすること。

  

一般公務員に悪の根源が存在することをアピールするのは、公務員によって構成される労働組合を民主党が支持基盤のひとつとしているからだ。

注意深くテレビを見ると、巧みに一般公務員を攻撃する内容に報道が構成されていることが分かる。

橋下知事の財政赤字削減交渉では、知事と労働組合との交渉だけがクローズアップされた。社会保険庁問題では、組合との協約におけるパソコンキーボード操作回数の取り決めだけが繰り返し報道された。

ネットカフェ公務員報道でも、一般公務員の悪事としてニュースが構成されている。

橋下知事が公務時間中に公用車でホテル内のスポーツジムに通っていたことが明らかにされた。7月14日午後2時ころ、府庁から公用車を使い、大阪市北区のフィットネスクラブに行き、午後5時ごろにタクシーで府庁に戻ったという。

知事日程ではこの日の午後7時まで「庁内執務」とされていた。また、14日は人件費や私学助成の削減を盛り込んだ2008年度予算案の審議が府議会委員会で始まったばかりで、「委員会での質疑内容によっては、知事の判断を仰ぐケースもある」(大阪府幹部)状況だった。

   

橋下知事は、条例で「勤務時間4時間につき15分の有給休息が取れる」と定められていた大阪府庁職員の休息時間について、「たばこを吸うための休息なんてあり得ない」と言い切り、条例で認められている1日2回の15分「有給休息」をなくし、執務時間中は禁煙にする方針を明らかにした。

橋下知事は「税金をもらっている職員が、1日に何度もタバコを吸っては府民の理解は得られない」と述べた。

その知事が、予算審議が行われている執務時間中に公用車でホテルのスポーツジムに通っていて、府職員の理解を得られるとは思えない。

  

財政運営においては、支出を厳格に査定し、必要な支出を確保する一方で、不要な支出を根絶することが出発点だ。歳出規模を確定したら、その財源を確保する。国からの交付金や支出金、地方の税収で賄うことが基本だ。職員に対する給与は給与水準が適正に決められている限り、必要支出である。

「財政赤字が存在するから府職員の給与を切る」のは間違いだ。ヒトラーが「ユダヤ人が諸悪の根源だ」との世論を形成して、ユダヤ人を迫害し、一般市民の不満のはけ口としたことと共通する手法が用いられているように思える。

府職員をスケープゴートにし、府職員を虐待することによって一般府民の人気を得ようとする手法はあまりにも安直である。府職員の生活権、労働基本権が踏みにじられている。人権尊重を重視すべき弁護士の行動とは思えない。

  

拙著『知られざる真実-勾留地にて-』に記述したが、江戸時代中期に米沢上杉藩の再建に尽力した上杉鷹山(ようざん)の藩政改革の姿勢を知るべきだ。

受けつぎて 国のつかさの身となれば 忘るまじきは民の父母

上杉鷹山は財政再建に取り組むために、上格の武士を含めて一汁一菜の食事、木綿の衣服での暮らしを命じる大倹執行の命令を発して率先垂範した。これが真の為政者、改革者の姿だ。

心中には藩の行く末を憂い、民の幸福を願う「経世済民の思想」が脈々と流れていた。

  

熊本県知事に就任した蒲島郁夫氏は124万円の知事報酬月額を100万円カットして24万円とした。しかし、マスメディアは橋下知事だけを報道し、蒲島知事については一切報道しない。

知事報酬をここまでカットする必要はないが、橋下知事が府職員に給与大幅引き下げを要求するなら、せめて、知事在任期間中は職務に専念し、公務以外の雑所得の受け取りを拒否すべきである。スポーツジム通いは夜間か休日を利用する配慮を示すべきだ。

トップの率先垂範があって職員の意識が高まる。職員の生活給を切り込み、自分は公務外所得を得て、執務時間中に公用車でホテルのスポーツジムでは、職員のモラル低下を知事が促していると言われて反論できない。

  

府職員にも生活がある。府職員が労働者としての権利を主張するのは当然のことだ。やみくもに給与カットを主張する前に、府職員サービスの質向上に取り組むべきだ。また、一般公務員の給与カットよりも、天下り廃止、天下り機関整理、巨大プロジェクト見直しを優先するべきである。

   

「偽装CHANGE勢力」は、官僚利権根絶を謳いながら、その実、公務員労働組合攻撃を演出しているのだ。巨悪の高級官僚特権、天下り、天下り機関攻撃は映し出されない。

   

攻撃しなければならない真のターゲットは、既得権益を維持しようとする既成政治権力そのものである。

既成権力は「偽装CHANGE」勢力を活用して、一般国民の怒りが巨悪にではなく、一般公務員に向かうように誘導している。

次期総選挙では一般公務員を攻撃する「偽装CHANGE勢力」と既成権力がテーブルの下で手を結び、「真正CHANGE勢力」を撃破しようとするだろう。

    

高級官僚の天下り利権、天下り機関、巨大プロジェクトなどの巨大官僚利権を打破することが「真正の改革」である。

巨悪を温存し、罪少なき一般公務員を虐待することが改革ではない。

「真正CHANGE勢力」は国民にこの違いを明示し、「真正の改革」に直進し、国民が「偽装CHANGE勢力」に欺かれることを阻止しなければならない。

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7/15バーナンキFRB議長議会証言

7月15日、バーナンキFRB議長が米国上院銀行委員会で半年に一度の金融政策報告を行った。バーナンキ議長は住宅市場の低迷やクレジットの逼迫、原油価格上昇が経済の脅威になっていると述べ、金融市場や各機関が「かなりの緊張(considerable stress)」の下にあるしたうえで、金融市場の安定回復がFRBの最優先事項との認識を示した。

    

FRBの政策スタンスが動揺している。6月24、25日のFOMCでFRBは、成長リスクが低下し、インフレリスクが増大したことを表明した。

ところが、1ヵ月も経過していない今回の議会証言では、再びインフレリスクから成長リスクに主要関心事項を変更したことを示唆した。

   

バーナンキ議長は米国経済が金融市場の緊張、雇用の悪化、住宅の値下がりなど「重大な試練に直面している」と認め、住宅公社2社の経営不安などの金融市場の混乱について、「金融市場の正常化がFRBにとって最優先課題」と強調した。

世界の金融市場に重大な脅威を与えかねない住宅公社2社の経営危機に対する強い危機意識を示した。

    

バーナンキ議長は16日には下院金融委員会で金融政策について報告する。また、同日6月米国消費者物価指数が発表される。

15日に発表された6月米国卸売物価指数は前月比1.8%、前年同月比9.2%の大幅上昇を示した。食品・エネルギーを除くコア指数は前月比0.2%、前年同月比3.0%の上昇だった。

総合指数の前年比で9.2%上昇は、1981年6月の10.4%上昇に次ぐ高い水準となった。エネルギー価格は前年比で27%上昇した。

バーナンキ議長がインフレリスクよりも景気・金融リスクを強調したことから、16日発表の消費者物価コア指数の前月比上昇率は0.2%にとどまると考えられるが、米国のインフレ圧力が極めて強くなっていることは確かである。

  

米国のFFレートは2.0%にまで引き下げられている。現在の米国のインフレ率を踏まえると、米国の実質短期金利は大幅マイナスに低下しており、インフレ促進的な水準にある。

この金融超緩和がドル下落圧力を生み、投機資金の原油市場への流入を促進している。

  

それでも、バーナンキ議長が金利引き上げの可能性を示さなかったことは、米国経済の実態が深刻に悪化し、金融市場が極めてぜい弱になっていることを示唆している。15、16日の議会証言で利上げを示唆しなければ、8月5日のFOMCでの利上げ決定は困難である。

  

①金融システムリスクと②インフレリスクの二つの難問に直面するFRBが、当面、①金融システムリスクへの対応を優先する政策方針を示したことになる。

ポールソン財務長官は、政府が表明したGSE(政府系住宅金融機関)2社に対する支援策について、「緊急時への備え」だと述べた。両社の債務残高は日本のGDPに匹敵する5兆ドルに達しており、GSE2社の経営不安は世界の金融市場を根幹から動揺させることにつながる。

   

15日のNY先物市場では、米国経済の悪化と金融市場の不安定性に対する認識から、原油価格が大幅に下落した。

FRBが利上げに動かなくても、原油価格が経済の先行き不安から下落基調に転じれば、米国のインフレ懸念は後退する。この場合には、金融システム対応を優先させるFRBの政策手法は是認されることになる。

  

しかし、超緩和の金融政策がドル下落と原油価格高騰を持続させる場合には、FRBはますます困難な状況に追い込まれることになる。

景気悪化とインフレの同時進行という、「スタグフレーション」をFRBが放置することにもなりかねない。

  

16日の議会証言でバーナンキ議長がインフレリスクに対する金融政策のスタンスについて、追加的なメッセージを提示するのかどうかが注目される。FRBが15日の議会証言通りに、現状の政策運営を維持する場合には、金融システム不安とともに、ドル下落、原油価格上昇、米国株価下落に対して、一段の警戒を払う必要が生じるだろう。

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2008年7月15日 (火)

注目されるバーナンキFRB議長議会証言

本日7月15日、バーナンキFRB議長が米国上院銀行委員会で金融政策について証言する。半年に一度の金融政策報告だ。16日には下院金融委員会で証言する。

景気後退、金融不安、インフレ懸念の三重苦に直面する米国経済。問題解決の方向を示すことができるか。金融不安は金融機関の破綻リスク、ドル不安、株価下落の形態で生じている。

   

洞爺湖サミットではドルの不安定性と原油価格高騰が経済討議の主要議題になったが、ブッシュ大統領は専門知識と危機意識を欠いており、即効性のある具体策は提示されなかった。

本ブログでは7月5日付記事「洞爺湖サミット原油高対策の有効性」に「サミットで十分な戦術が練られず、実効性を伴わない表面上の合意しか成立しない場合には、サミット直後に金融市場が混乱して警鐘を鳴らす可能性がある。」と記述した。

   

会員制レポート 『金利・為替・株価特報2008年6月7日号』では、6月6日にNYダウが重要な下値抵抗ライン12,500ドルを明確に下回ったことを踏まえて、日米株価の下落見通しを提示した。

米国金融市場の3月危機が克服され、金融市場安定化の可能性が浮上していたが、インフレ懸念が強まり、米国の金融政策の引き締め方向への転換が想定され、米国で株価が下落し、連動して日本の株価も下落するとの予測を示した。

   

予測通り、日米株価は6月6日以降、下落基調をたどって現在に至っている。景気後退、金融不安、インフレ懸念の三つの不安に覆われ、米国金融市場の先行き警戒感は非常に強くなっている。このタイミングでバーナンキFRB議長が議会証言を行う。注目しなければならない。

   

米国の不動産価格が大幅に下落しており、米国経済の調整は免れない。米国経済は2008年4-6月期からリセッションに突入したと見て間違いない。

今週は本日15日に6月小売売上高、16日に6月鉱工業生産指数が発表される。減税効果で小売売上は底堅く推移しているが、住宅投資の大幅減少、株価下落を背景にする景気後退は2009年まで持続する可能性が高い。

   

金融市場の最重要問題は金融不安とインフレ懸念である。3月に投資銀行ベア・スターンズ社の経営危機が表面化して、FRBは動揺した。年初に4.25%だったFFレートを4月末には2.0%にまで引き下げた。併せてFRBは290億ドルの特別融資を実行した。

   

大手金融機関の破綻を契機に破綻が連鎖的に広がり、金融市場が機能不全に陥るリスクを「システミックリスク」という。米国政策当局はシステミックリスクの排除に乗り出している。

ポールソン財務長官とバーナンキFRB議長は慌ただしく政策対応を模索している。投資銀行の経営危機表面化時の政策対応に関する法整備が急きょ検討されている。

  

ここ1週間、追い打ちをかけるように米政府支援機関(GSE)の経営危機が表面化した。米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の経営危機が明らかにされた。

両社の長短債務と住宅担保証券の合計は日本のGDP規模に匹敵する5兆ドルに達する。世界各国は外貨準備としてGSE債を大量保有しており、GSE債の市場価値下落は世界の金融市場をパニックに陥れる震源になる。

米国政策当局はGSEに公的資金を注入し、システミックリスクを排除することを迫られている。金融恐慌を引き起こすことはできないから、米国政府は金融不安を後退させるためにあらゆる手を尽くすことになるはずだ。

  

もうひとつの重大な問題がインフレ懸念だ。インフレ懸念の最大の背景はFRBが短期政策金利を大幅に引き下げたことにある。今週は15日に6月卸売物価指数、16日に6月消費者物価指数が発表される。

5月の消費者物価上昇率は前年同月比4.2%だった。2.0%のFFレートは-2.2%の実質金利を意味する。FRBはインフレ懸念を抑制するために、短期金利を引き上げる必要性を認識し始めた。景気後退と金融不安の下での金利引き上げは、金融市場にショックを与えるリスクを伴う。

  

①金融不安を遮断し、②インフレ懸念を払しょくする。この二つが当面の米国の課題だ。景気低迷がある程度持続することは避けようがない。短期的な調整を嫌って、金融緩和を維持すれば、本格的なインフレを招いて、その後の強力な金融引き締めと景気の大幅落ち込みを招いてしまう。

バーナンキ議長は①と②の政策の重要性を示すのではないかと考える。米国経済の低迷が2009年半ばまで持続する見通しも提示するだろう。だが、同時に、中長期的にインフレリスクが排除され、米国経済が回復しうるとの楽観的な見通しが付け加えられるのではないか。

  

バーナンキ議長の説明が金融市場を安心させるものになれば、株価が反発し、米国金融市場は一時的に落ち着きを取り戻すことになる。2006年7月の議会証言では、バーナンキ議長は金融市場の不安心理を後退させることに成功している。

しかし、米国のインフレ懸念を払しょくするには1度ないし、2度のFFレート引き上げが必要になると考える。8月5日のFOMCで利上げが決定される可能性も十分に考えられる。

金利引き上げ政策が想定される状況下では株価上昇は持続しにくい。NY株価が一時的に反発する場合でも、米国の利上げが一巡するまで、NYダウの10,500ドル水準までの下落には引き続き警戒すべきだと考える。

  

福田政権は日本経済が不況に移行した可能性が極めて濃厚であるのに、まったく反応を示していない。経済運営においては、不況初期の政策対応が極めて重要だ。病気と同じで、「早期発見早期治療」が重病を招かない秘訣である。

ところが、日本経済の主治医である財務省は完全な藪医者である。病気の初期に決まって患者に無理をさせる。軽い風邪を訴える患者に寒中水泳や炎天下のランニングを命じて重病に陥らせる。結局、治療費は膨大になる。

  

早期の景気対策策定が肝要だが、まったく生体反応が示されていない。政府は日銀に超緩和の金融政策を求めるが、超緩和の金融政策が円安をもたらし、日本の国力低下をもたらしている。

適正なポリシー・ミックスが考察されていない。日本経済を暗雲が覆い始めていることにも留意すべきだ。

バーナンキFRB議長の証言では、金融システムとインフレに関する二つの不安に対してFRBがどのように対応するのかについての発言に焦点が当てられる。

短期的に米国経済に負荷が与えられても、中長期の視点での適正な政策が示されるのかがポイントになる。バーナンキ議長の真価が問われる議会証言になる。

  

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2008年7月14日 (月)

「偽装CHANGE」VS「真正CHANGE」

  

フジテレビの政治プロパガンダドラマ「CHANGE」が最終回を迎える。

  

洞爺湖サミットが終わり、政局は次期総選挙に向けてヤマ場にさしかかる。福田政権の支持率は低迷し、政党支持率では民主党の支持率が自民党と拮抗ないし上回っている。

権力維持を最重要課題と位置付ける既成の政治権力はマスメディアを総動員して国民を誘導しようとしている。解散・総選挙は情勢が変化するまで先送りされる。国民世論の誘導が実現すれば、総選挙が実施されるだろう。

  

郵政民営化に際して、小泉政権は竹中平蔵氏の秘書が関係していると見られる「有限会社スリード」という会社に1億5000万円規模の政府広報業務を随意契約で発注した。

  

この政府広報は、竹中氏とタレントのテリー伊藤氏を起用したB4サイズ、二つ折り4ページ・フルカラーの「郵政民営化ってそうだったんだ通信」と題する新聞折り込みチラシを作成し、2005年2月20日に全国の約1500万世帯に配布したものだ。

「有限会社スリード」が提示した「郵政民営化・合意形成コミュニケーション戦略(案)」には、「B層にフォーカスした、徹底したラーニングプロモーションが必要と考える」との総括が示されてあった。

  

「B層」はグラフによって説明されていた。タテ軸がIQ(知能指数)、ヨコ軸が構造改革への肯定(右)、否定(左)の度合いを示した。下半分のIQの低いゾーンが四角で囲まれ、「小泉政権支持層=B層」と記載された。

内容は、「主婦層&子供を中心」、「シルバー層」で、「具体的なことはわからないが、小泉総理のキャラクターを支持する層、内閣官僚を支持する層」と説明された。

   

国民をIQで分類し、IQの低い層にターゲットを絞ったPR戦略が実行されていた。国民を侮蔑する世論操作が現職大臣の指揮の下に実行されていた事実を多くの国民が知らずにいる。詳しくは拙著『知られざる真実-勾留地にて-』第一章「偽装」28「蔑視されていた国民」を参照いただきたい。

   

フジテレビ政治プロパガンダドラマ「CHANGE」が本日7月14日に最終回を迎える。飯島勲氏が監修、渡辺喜美行革相の秘書田中良幸氏が政治指導を担当していることを知っておかねばならない。公共電波の政治利用にあたる疑いが濃厚だ。

   

IQの低い「B層」を誘導して、自らの目標を達成した小泉政権。小泉政権が国民をどのように位置付けていたのかがよく分かる。国民の意思を尊重し、汲み取って政治に反映させたのではない。国民を何も分からない層と位置付け、その国民を洗脳して、自らの目的達成のために「利用」したのだ。

  

郵政民営化は国民のために強行実施された施策ではない。郵政利権を私物化しようとする外国資本と、外国資本と癒着し利権の分け前にあずかろうとするハイエナのような政商および政商政治屋によって推進された政策なのである。

民主党が池尾和人氏の日銀審議委員就任に反対の意向を固めたのはやむを得ない。郵政民営化に反対する国民新党が、民主党が郵政民営化を積極支持した池尾氏の人事に同意するなら、民主党との統一会派を解消すると通告したためだ。次期総選挙での政権交代を実現するために、国民新党の正当な主張を尊重することは順当な判断であるからだ。

   

国民を侮蔑する政治権力は、政治プロパガンダドラマ「CHANGE」を利用して、国民を誘導しようと企んでいる。

①官僚利権打破の旗を掲げる中川秀直氏を軸とする自民党「上げ潮派」、

②小池百合子氏を軸とするTPLおよび小泉チルドレン、

③竹中氏の影武者である高橋洋一氏を軸とする「脱藩官僚の会」、

④橋下徹知事を軸とする知事グループ、

⑤民主党分断工作を担う前原誠司氏を軸とする民主党「凌雲会」グループ、

これらの各勢力を政治プロパガンダドラマ「CHANGE」で連結し、次期総選挙での反自民票の受け皿にしようとの策略が練られている。

国民の幸福を目的とする政治行動ではない。政治権力を維持するために国民を利用しようとするプロジェクトである。飯島勲氏がプロジェクトリーダーである。

  

しかし、参謀であるはずの飯島氏が自ら表舞台に躍り出始めて、シナリオに誤算が生じ始めている。謀(はかりごと)は隠密裏に進めなければ成功しない。飯島氏が自らの存在をアピールするほどに、謀(はかりごと)が露見しやすくなった。「悪事千里を走る」。

  

選挙後に、「偽装CHANGE」勢力が自民党と決別して「官僚主権構造」を根絶する可能性はゼロである。「偽装CHANGE」勢力のミッションは、「真正CHANGE」を阻止することにある。「偽装CHANGE」勢力は必ず自民党と連携する。「既得権益維持」が唯一最大の目的なのだ。

  

支持獲得を呼び掛ける対象を「B層」と蔑む勢力が、国民の幸福を真剣に考えるわけがない。詳しいことなど分からない国民を、イメージ戦略で誘導し、政治的に利用しようと考えているだけなのだ。

   

上記の5つの政治勢力の裏側には、小泉元首相、中川秀直氏、小池百合子氏、渡辺喜美氏、石原伸晃氏、武部勤氏、飯島勲氏、竹中平蔵氏、などが連なり、テレビメディアの田原総一郎氏、みのもんた氏、北野たけし氏、テリー伊藤氏、などがミッションを請け負っていると見られる。

   

小泉劇場の二の舞を演じてはならない。国民を侮蔑し、国民を利用して政治を私物化しようとする勢力に政治の実権を渡してはならない。

   

「日本の政治を変える」ことが必要で、

「あなたの1票が、政治を、世の中を変える」のは確かだが、

国民の幸福をもたらす「真正CHANGE」を実現するためには、「偽装CHANGE勢力」の本性を見抜き、「真正CHANGE勢力」に1票を託すことが必要だ。

   

「偽装CHANGE」勢力が国民を蔑みながら、三文芝居によって国民を引き寄せようとしている現実を認知しなければならない。

「偽装」は「告発」によって暴かれる。洞察力と発言する勇気を持つすべての国民が偽装を告発すれば、多数の国民が偽装に欺かれることを阻止できる。

    

「偽装CHANGEの真実」を草の根から広めてゆかねばならない。  

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2008年7月13日 (日)

「CHANGE」最終回-偽装に欺かれてはならない-

  

フジテレビの政治プロパガンダドラマ「CHANGE」が最終回を迎える。

  

朝倉首相は解散・総選挙を行うことを国民に直接語りかける。

  

「この解散は、朝倉内閣の実績を皆さんに問うためのものではありません。子どもたちに希望ある未来を用意するための解散です。」

  

「あなたの1票が、政治を、この世の中を変えることができる」

 

「権力に一切執着せず、理想と信念に燃えて働く政治家がいる」

 

「官僚と呼ばれる人たちの中に、本当にこの国のことを考え、必死で働くひとたちがいる」

 

「熱く、強い気持ちがなければ政治はできない」

   

キャッチコピーは『日本の政治を変える』

    

 8月にも旗揚げが予想される脱藩「官僚」の会。

 「子供が笑顔の大阪」をスローガンに掲げて知事選を戦った橋本大阪府知事

 ドラマと現実には天地の開きがあるが、視聴者は無意識のうちに、現実をドラマと重ね合わせてしまう。ドラマによって美しくない現実が美化される

 これが、テレビの「サブリミナル効果」だ。

   

 フジテレビドラマ「CHANGE」の監修者である飯島勲氏は、洞爺湖サミットから一夜明けた7月10日以降、本格的に動き始めた政局の裏側で蠢いている。

    

 小池百合子元環境相、猪口邦子議員、佐藤ゆかり議員のTPL、および小泉チルドレン

 中川秀直氏を中心とする「上げ潮派」

 「脱藩官僚の会」

 前原誠司氏および民主党凌雲会を中心とする反小沢代表派議員

 自民党別働隊の色彩に染め抜かれる橋下徹大阪府知事を筆頭とする知事グループ  

 これらの政治新勢力の裏側に飯島勲氏が存在し、小泉元首相、中川秀直氏、武部勤氏、渡辺喜美氏、竹中平蔵氏、田原総一郎氏がネットワークを形成している。ドラマ「CHANGE」が放送法に抵触しないかどうかは、国会で論議が求められる。

   

 7月12日記事CHANGE最終回-小沢民主党代表を無投票再選すべし-も合わせて参照いただきたい。

     

 民主党代表選について、時期を同じくして天木直人氏記事を掲載された。天木氏も小沢代表の無投票再選を主張された。

  

 私も、現在の民主党のすべてが正しいと考えているわけでない。党内議員の思想、哲学の個人差は非常に大きく、重要な政策について意思を統一できるのか、強い懸念を感じる。また、政権を樹立した時に官僚利権や政治利権を本当に根絶できるのかについて、大きな不安を残しているとも言わざるを得ない。

   

しかし、「弱肉強食奨励」、「官僚利権温存」、「対米隷属外交」を基本政策とし、「官僚主権構造」を支え続けている日本の政治状況を根幹から「CHANGE」するために、政権交代が不可欠であると確信している。

  

自民党および自民党別働隊が選挙に際して、いかなる美辞麗句を並べようとも、「官僚主権構造」を支え続けてきた既存の政治権力の基本性格を変えることが不可能であることを知っている。

  

小泉政権は「改革」を標榜したが、「官僚主権構造」にはまったく手をつけなかった。「天下り」利権を最後まで死守した。この小泉政権の直系にあたる「上げ潮派」、飯島勲氏や竹中平蔵氏に直結する政治グループが「官僚主権構造」を根絶することは絶対にあり得ないと確信する。

   

次期総選挙に向けて、再び壮大な「偽装」が仕掛けられていることに対して、私は全力をあげて国民に注意を喚起しなければならないと感じている。

 

『日本の政治を変える』ためには、既得権をいったん白紙に戻さなければならない。既得権の中核である自民党と連携して真の改革が実現されることはあり得ない。したがって、民主党による自民党との連立は完全に否定されなければならない。

 

「政権交代」こそ、日本の政治を「CHANGE」する唯一の方法だ。次期総選挙まで最大で1年3ヵ月の時間しか残されていない現時点で、「政権交代」を求めるすべての国民は、民主党に重大な役割を託さなければならない。政権交代実現に中核的役割を果たすことのできる政治勢力は現状で民主党しかないのだ。

   

民主党に代表選挙で党内対立を深める余裕は存在しない。民主党は次期総選挙に向けての戦術実行に全精力を注ぐべき時期にある。次期総選挙に向けての戦術として以下の3点を提案する。

  

①次期総選挙に向けての政策綱領=選挙公約=マニフェストを迅速に決定し国民に提示する。

②「政権交代」の目標を掲げて、すべての野党との共闘体制を盤石なものにする。

③自民別働隊による「偽装CHANGE勢力」の実態を白日の下に晒し、権力維持を目的とする既存権力の権謀術数に国民が嵌らないための啓蒙活動を大規模に展開する。

  

既存権力は「第一の権力」であるマスメディアを総動員して、国民の誘導に血道をあげている。野党勢力が与党の戦術を知り、全精力をあげて偽装を暴いてゆかなければ、国民は偽装によって欺かれてしまう可能性が高い。

   

野党勢力が次期総選挙で過半数を確保するには、自公勢力と、自民別働隊となる「偽装CHANGE勢力」とを合計した獲得議席を野党勢力が上回らなければならない。  

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2008年7月12日 (土)

「CHANGE」最終回-小沢代表を無投票再選すべし-

   

城内みのるの「とことん信念」ブログ様、本ブログをご紹介くださり、誠にありがとうございました。国家国民のために信念を貫く城内様のような方こそ、日本の政治を担われるべきだといつも思っています。 

「住職の独りごと」様、拙著『知られざる真実-勾留地にて-』について過分なお言葉をありがとうございました。住職様と私は同じ東京で同じ年に生を受けたとのこと。授かった縁(えにし)を大切にさせていただきたく思います。

「STAND ALONE CONPLEX」様「うさぎのブログ」様「○天照∞月読●」様「生き抜く力」様、記事をご紹介くださり、ありがとうございます。心より感謝申し上げます。

  

政治プロパガンダ番組の疑いが濃厚のフジテレビ月9ドラマ「CHANGE」が最終回を迎える。視聴率競争を意識して、ライバル「ごくせん」の時間帯に高視聴率番組を重ねたのはフジテレビだけではなかったようにも見える。逆に月9に重ねられた強豪番組は極めて少なかった。「国策」番組として特別な取り扱いがなされているのかも知れない。

  

  

北海道洞爺湖サミットが終了して、政局夏の陣を迎える。早速、小池百合子元環境相が動いた。

「洞爺湖サミットから一夜明けた七月十日。あえてこの日を選び、「ポスト福田」政局の風を吹かせる仕掛けを虎視眈々と進めてきた女がいた。父・赳夫が果たせなかった夢の「サミット議長」にこぎつけた首相・福田康夫に水を差すように、である。

 「『東京WOMEN大作戦』出版を祝う会」。ホテルニューオータニ「芙蓉の間Lの壇上に上がる主役は史上初の女性宰相へ意欲をみなぎらせる元防衛相・小池百合子だ。元少子化担当相・猪口邦子(比例東京ブロック)とエコノミスト出身の佐藤ゆかり(東京5区)の「小泉チルドレンL二人を従え、東京都の女性衆院議員トリオで共著を上梓。サミット翌日にぶつけてきた。(中略)

小池の「度胸と愛嬌」には、かねてより勝負師・小泉も大いに利用価値を見出している。前書きこそ逃げたが、帯に推薦文を寄せ、十日のパーティーでメーングストとして登壇する破格の対応も承諾した。」  

(『文藝春秋2008年8月号』赤坂太郎「中川と前原が企む「危険なゲーム」より引用」

 

   

次期総選挙は日本の命運を分ける決戦の場になる。政権交代を実現し、「官僚主権構造」の日本を「CHANGE」できるか。国民の賢明さが問われる選挙になる。  

既存の政治権力は、権力を維持するために総力を注いでいる。

昨年7月の参議院選挙では民主党が大勝し、参議院ではすでに野党が過半数を確保した。

4月27日の山口2区衆院補選でも自民党と民主党が総力戦を展開した結果、民主党が大勝した。6月8日の沖縄県議会選挙でも自民、民主の幹部が現地入りし、総力戦が展開されたが、野党が議会の過半数を確保した。

福田内閣の支持率はついに20%を割り込み、政党支持率でも民主党が自民党を押さえて第1位に躍り出た。次期総選挙で与野党が逆転すれば、政権交代が実現する。参議院選挙=ホップ、衆院補選・沖縄県議選=ステップ、次期総選挙=ジャンプ、で政権交代を実現できるのかどうか。  

日本の政局は天下分け目の決戦の時に近付いている。   

2006年年初、耐震構造計算偽装、ライブドア事件、BSE問題の3点セットに防衛施設庁汚職、皇室典範改正問題が重なり、小泉政権は窮地に追い込まれた。

しかし、前原誠司氏が率いる民主党は「偽メール」問題でつまずき、逆に民主党の危機を招いた。「ホップ・ステップ・肉離れ」(野田佳彦民主党議員の造語)を繰り返さないための、万全の準備が求められる。 

自公政権は、与党に対する強い逆風を認識して、総力を結集し始めている。日本の政治制度は与党に独裁的な権力を付与し得る。小泉政権は利用できる権限、権力をすべて活用した。小泉独裁政治が猛威を振るったが、その政治手法は後継政権に引き継がれた。

参議院の決定を完全無視する福田政権の政治運営は「権力の濫用」そのものだが、マスメディアは政権与党を全面擁護する。「第一の権力」の地位を得ているマスメディアを支配し、政権与党は権力維持に総力をあげているのだ。 

大同商事疑惑で責任を追及され予算委員会で答弁に立った朝倉啓太首相。首相は答弁中に急性発作頭位めまい症で倒れた。過労から回復した首相はテレビで国民に語りかける。(「CHANGE]最終回) 

解散・総選挙が宣言されることになるのだが、いくつかのキーワードが提示される。  

「あなたの1票が、政治を、この世の中を変えることができる」

「権力に一切執着せず、理想と信念に燃えて働く政治家がいる」

「官僚と呼ばれる人たちの中に、本当にこの国のことを考え、必死で働くひとたちがいる」

「熱く、強い気持ちがなければ政治はできない」  

選挙プランナー兼官房長官の韮沢勝利は、

「なんたって俺は、総理大臣を決める総裁選を仕切った、日本でただ一人の選挙プランナーだから」と述べる。  

キャッチコピーは『日本の政治を変える』

「CHANGE」最終回は7月14日に放送される。  

郵政民営化選挙を正当化しようとする思惑が溢れているが、8月に創設される「脱藩官僚の会」、中川秀直氏を軸とする「上げ潮派」、小池百合子氏を中心とする女性議員・小泉チルドレン、が「CHANGE」の旗の下に集結しようとの企てが透けて見える。閣議のお茶入れ廃止が官僚機構に抵抗されるが、「無駄ゼロ政策」を後押しする設定である。

ここに橋下徹大阪府知事、東国原宮崎知事、石原東京知事、橋本大二郎元高知知事、などの知事勢力と、民主党の前原誠司氏を筆頭とする民主党の反小沢一郎代表勢力が合流する可能性がある。  

背後には小泉純一郎元首相、飯島勲元秘書、竹中平蔵氏が蠢いている。すべては、既存の政治権力による権力を維持するための工作であると判断される。

小泉政権は官僚利権を根絶する権限を十分に持ちながら、最後まで官僚利権を死守した。破壊したのはすべての国民が安心して暮らすために必要不可欠なセーフティーネットだった。国民の生存権は根底から揺らぎ、弱肉強食を奨励する政策運営によって、人々の心の絆、連帯感は激しく毀損された。

巨大な利益が外国勢力に供与された。国民の幸福ではなく、極めて少数の利権に群がる勢力と外国勢力の利益が優先された。 

ドラマのなかでは、ダム建設による八ツ島湾の漁業被害に対する損害賠償請求訴訟で、国が責任を認め、控訴を断念することが描かれた。6月27日に佐賀地方裁判所は、諫早湾干拓事業漁業被害訴訟に対して、国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防水門開放を国に命じる判決を下した。 

国は責任を認めて控訴を断念すべきだったが、7月10日、国は控訴することを決定した。小泉政権が発足した2001年5月、マスメディアはハンセン氏病国家賠償訴訟を連日大々的に報道した。小泉政権は控訴を断念し、内閣支持率は急上昇した。

諫早湾漁業被害訴訟をマスメディアはほとんど報道しなかった。障害者が命懸けで国会前に座り込みを続けた「障害者自立支援法」の問題を、マスメディアはほとんど報道しなかった。要するに、ハンセン氏病訴訟のように、結果が政権支持につながる場合だけ過剰報道していることになる。初めから仕組まれた報道なのだ。

「脱藩官僚の会」、「上げ潮派」、「TPL(トーキョー・プロジェクツ・オブ・バイ・フォー・レディース)」、知事グループ、民主党反乱分子、を「CHANGE」で連結して、大衆人気を獲得しようとの企てが進行していることは間違いないように見える。

民主党の分断工作を全面援護しているのが、田原総一郎氏だ。同氏が出演する番組は、反小沢一郎氏色で染め抜かれている。田原氏の当面の最大のミッションは、民主党代表選挙を実施させることである。「VOICE2008年8月号」の同氏執筆記事「前原誠司の勇気に応えよ」は、偏向した民主党批判で埋め尽くされている。

民主党は小沢一郎氏を無投票で代表に選出しなければならない。総理総裁の座をめぐって抗争を繰り広げる自民党の総裁選挙と民主党の代表選挙はまったく意味が違う。民主党はいま、挙党一致で次期総選挙での勝利に向けて全精力を注がなければならない時期にある。

「党内民主主義を示す機会としての代表選挙を実施しないのは、民主党の非民主的な体質を表す」との口車に民主党は絶対に乗ってはならない。政策論議は党内で十分に行えばよい。総選挙を直前に控えて、党内対立を際立たせる代表選挙を大規模に行うことを誰よりも求めているのは、自公政権なのである。

前原氏は現在の民主党の主張よりも小泉元首相の主張が正しいと思うなら、自己の信念に沿って直ちに自民党に移籍すべきである。総選挙を間近に控えた現状で、民主党内対立を煽る行為は反党行為であり、民主党支持者、政権交代を希求する国民に対する背信行為である。

   

①弱肉強食奨励VSセーフティーネット重視

②官僚利権温存VS官僚利権根絶

③対米隷属外交VS独立自尊外交

これが、次期総選挙の対立軸である。

   

「CHANGE」の旗の下に政治新勢力が結集しても、それは、自民党別働隊の偽装された姿でしかない。選挙終了後は自民党と手を組むことが明白だ。

自民党と「CHANGE」偽装グループは、対立するように見せかけて、実はテーブルの下で手を握っている。「権力維持」という最重要の目標=堅いきずなでしっかりと結ばれているのだ。 

飯島勲氏の言葉「敵を欺くにはまず味方を欺く。これ権謀術数の第一歩と心得よ」の意味を洞察しなければならない。

敵は民主党、味方は国民だ。国民は欺かれてはならない。「偽装」を看破して、日本を真の意味で「CHANGE」しなければならない。

「あなたの1票で、政治を、世の中を変えることができる」

『日本の政治を変える』ことがどうしても必要だ。

しかし、本当の「CHANGE」は政権交代によってしか実現しない。

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2008年7月11日 (金)

FRB8月5日利上げの可能性

  

ドルの不安定性と原油価格高騰は洞爺湖サミット経済討議での主要議題だったが、サミットで即効性のある具体策は提示されなかった。G7会合と異なり、サミットには中央銀行総裁が出席しない。原油価格高騰とドル下落不安は金融政策との関わりが深く、中央銀行総裁が不在では、政策論議を深めることが難しい状況だったとも言える。

  

    

6月30日付記事「バーナンキFRB議長の憂鬱」、7月5日付記事「洞爺湖サミット原油高対策の有効性」でも指摘したが、原油価格高騰とドル下落不安の背景に、昨年から今年にかけてFRBが実施した急激な利下げがある。

   

本年3月の米国大手証券ベア・スターンズ社経営危機表面化は、信用秩序維持の観点から最も警戒される「システミックリスク」が顕在化したものと米国政策当局は判断した。「システミックリスク」とは、大手金融機関の破綻を契機に、連鎖的に破綻が広がり、金融市場が機能不全に陥るリスクだ。

  

「システミックリスク」が顕在化する局面では、政策当局は危機回避を最優先課題に位置付ける。一種の「非常事態」=「有事」であるとの認識の下に、政策が総動員される。

   

今回の危機では、FRBが政策金利を大幅に引き下げるとともに、290億ドルの特別融資を実行した。証券会社の経営危機が表面化した場合の破綻処理スキームが確立されていなかったが、FRBは緊急避難的に大胆な措置を実行した。

   

   

米国は辛うじてベア・スターンズ危機を克服できた。しかし、バーナンキFRB議長は金融市場の混乱に動揺して、金融政策運営を昨年年末までの「慎重な利下げ政策」から「大幅利下げ断行」の方向に大きく転換した。年初に4.25%だったFFレートは4月末には2.0%に引き下げられた。

  

大幅利下げはシステミックリスクを回避するために実行されたのだが、この大幅利下げ政策が大きな副作用をもたらした。5月以降、原油価格高騰が激しさを増して、インフレの脅威が広がったのだ。

  

   

米国は巨額の経常収支赤字を計上しており、巨額の資本が海外から米国に流入することで、経済活動が支えられている。FRBが大幅利下げを実行し、原油価格高騰とともにインフレ懸念が高まれば、ドル資産からの資本逃避が発生しかねなくなる。これが、潜在的な米国の最大のアキレス腱である。

    

7月初旬にポールソン財務長官が欧州を歴訪したのは、7月3日のECB(欧州中央銀行)による金利引き上げが確実視されるなかで、これがドル急落の引き金にならないように、ECBのトリシェ総裁と政策のすり合わせをするためだったと考えられる。

   

ポールソン財務長官は7月2日にロンドンで講演し、米国経済が、①資本市場の混乱、②住宅市場の長引く調整、③エネルギー価格の上昇、の3つの問題に直面していると述べた。このことを私は『金利・為替・株価特報』、ならびに本ブログで繰り返し指摘してきた。

   

   

本年1-3月期に、「①資本市場の混乱」が重大な局面を迎え、FRBによる「特融」実施と大幅利下げが断行された。しかし、インフレ問題と離れて決定された大幅利下げが、副作用として「③エネルギー価格の上昇」=「インフレ問題」を拡大させてしまった。

  

米国政策当局は現在、表面的には1-3月期の政策対応を正当化する説明を対外的に発表しているが、本心では、この間の政策対応を反省し、修正作業を精力的に開始したと私は判断する。

   

   

NYダウは昨年10月9日の史上最高値14,164ドルを起点に、昨日7月9日の11,147ドルまで、3017ドル、21.3%下落した。

 

その下落を3つに区分できる。第1は、昨年10月9日から11月26日の12,743ドルへの下落で、サブプライム問題表面化を背景としたものだった。FRBは慎重な利下げ政策で対応した。

   

第2は、昨年12月10日の13,727ドルから本年3月10日の11,740ドルへの下落で、システミックリスク顕在化を背景にしたものだった。FRBは大幅利下げと290億ドルの「特融」実施で対応した。

   

第3は、5月2日の13,058ドルからの下落で、背景は原油価格高騰とFRBによる金融引締め政策に対する懸念である。

   

私は『金利為替株価特報』5月24日号タイトルを「原油価格上昇で米国株式市場に暗雲」とし、6月7日号タイトルを「FRBインフレ回避利上げケース考察」として、原油価格高騰-金融引締め観測浮上を背景とする株価下落見通しを発表した。

   

    

洞爺湖サミットで、「投機資金に対する監視強化」が首脳宣言に盛り込まれたが、マクロ経済政策の裏付けを伴わない監視強化は持続的な効力を発揮しない可能性が高い。

   

現在の米国のマクロ経済政策で、投機資金に原油価格上昇の口実を与えているのは、明らかに超緩和の金融政策である。5月の米国消費者物価上昇率は前年同月比4.2%だった。2.0%のFFレートは-2.2%の実質短期金利を意味している。この状況を放置して「原油高対策」を唱えても迫力を伴わないのは順当だ。

   

   

昨年12月から本年5月にかけての「サブプライム金融危機」への政策対応では、FRBとECBに大きな温度差があった。短期金利の大幅引き下げを実行したFRBに対するECBの振る舞いは冷淡とでも言うべきものだった。

   

昨年12月、本年3月、5月と3度にわたって、ECBはFRBとともに「緊急流動性供給策」を決定したが、金利引き下げ政策には見向きもしなかった。

   

ECBは、①金融不安には流動性供給、②インフレには金融引締め、で対応する大原則を崩さなかったのだ。インフレ抑制を金科玉条としたドイツ・ブンデスバンクの伝統がECBに引き継がれているとも言える。

   

ECBは6月24、25日に、FRBがFOMCで「金利引き下げ中断」と「政策運営の軸をインフレ抑制に回帰させること」を決定したことを確認したうえで、7月3日に13ヵ月ぶりの利上げを決定した。

  

ユーロ圏の6月消費者物価上昇率は前年比4.0%に跳ね上がり、政策金利の4.25%への引き上げは正当な政策と評価される。13ヵ月間、利下げ方向に政策方針がブレる気配をまったく示さなかったことの正当性が、結果的に立証されたと言える。

   

  

FRBは、原油価格高騰持続とドル不安が「世界経済の重大な試練」となっている現状を見つめながら、本年1-4月の短期金利引き下げに大きな問題があったことを認めないわけにはいかない状況に追い込まれている。

   

この現実を直視して、いま、精力的に政策修正に動き始めた。1-4月の政策決定が間違いではなかったとの「正当性についての弁明」を示した上で、引き下げ過ぎた短期金利を適正な水準に再引き上げする準備が進行していると判断する。

  

その手順は以下の通りだ。

①本年1-4月に米国はシステミックリスク顕在化の局面に直面した。

②危機の主体は投資銀行で破綻処理スキームが確立されていなかった。

③FRBは大幅利下げと特別融資実施で対応し、危機を回避した。

④短期金利を適正な水準以下に引き下げたが、システミックリスク回避の重要性を考えれば、間違った政策対応だったとは言えない。

⑤しかし、低下しすぎた短期金利がインフレ心理を増幅しており、再引き上げを検討することが求められる。

⑥短期金利引き上げを実現するには、投資銀行の経営危機に際しての政策スキームを確立することが必要である。

⑦政策スキームを確立したうえで、短期金利の再引き上げを実行する。

    

FRBがインフレ抑制、ドル暴落回避の政策スタンスを、金利引き上げ政策によって明示すれば、原油価格高騰とドル下落リスクは後退することになると考えられる。

    

米国経済の低迷は長期化する可能性が高いが、長期の成長持続シナリオを実現するには、インフレ懸念をしっかりと払拭することが優先されるべきとの考え方が再確認されつつあると考える。

  

ポールソン財務長官は米国最大手投資銀行ゴールドマン・サックスの経営トップを経験した人物である。上述したFRBの政策判断を正確に理解する能力を有している。FRBの政策修正がポールソン財務長官の示唆によって誘導された可能性さえ否定できない。

  

ゴールドマン・サックスは小泉政権による外国資本への巨大利益供与政策問題の中核に位置する企業であり、この点については別途論じなければならないが、短期の経済政策運営の視点から言えば、FRBとブッシュ政権の間の意思疎通が円滑であることは重要だ。

    

政治の世界同様、経済金融市場も一瞬先は闇だ。今後の原油価格、経済指標、株価・為替レート推移、国際政治情勢(地政学上のリスク)などによって、シナリオはいつでも激変し得る。断定的に予測することは不可能だが、私は8月5日のFOMCでFRBが利上げを決定する可能性が50%を超えていると判断している。利上げ幅が0.5%になることも十分にあり得ると考える。

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2008年7月10日 (木)

合意されなかった排出量削減長期目標

   

洞爺湖サミットが閉幕した。2050年に温暖化ガス排出量を50%削減する長期目標についてG8首脳宣言では、「UNFCCC(気候変動枠組み条約)の締約国と共有し、交渉において検討し、採択することを求める」との表現を示すにとどまった。

  

9日に開催された中国、インドなどの新興成長国を含む16ヵ国によるMEM(主要経済国会合)の首脳宣言では、数値目標および目標達成時期は明記されず、「排出量削減の世界全体の長期目標を含む、長期的な協力行動のためのビジョンの共有を支持する」とし、「条約の下での交渉において、締約国が公平原則を考慮して、世界全体の排出量の削減について世界全体の長期目標を採択することが望ましいと信じる」とされた。

  

G8でもMEMでも、2050年排出量50%削減は合意が得られなかったにもかかわらず、「カナダde日本語」の美爾依さんが指摘しているように、権力迎合の日本のマスメディアは、G8で合意が成立したかのような報道を繰り返している。美爾依さんが紹介している読売新聞社説の表現は以下の通りだ。

  

「温室効果ガスの排出量を2050年までに半減させる。この目標を世界全体で共有する。主要8か国(G8)として、ぎりぎりの合意にこぎ着けたということだろう。

北海道洞爺湖サミットで、G8首脳は、最大の焦点となっていた地球温暖化対策に関する合意文書を発表した。

50年までに半減という長期目標を達成するため、G8だけでなく、世界全体で排出削減に取り組んでいく必要があるとの認識で、G8首脳は一致した。」

 

G8での2050年CO2排出量50%削減合意に消極的な姿勢を貫いた米国は、中国やインドが長期目標設定に反対していることを念頭に入れて、G8首脳宣言に「UNFCC(気候変動枠組み条約)締約国と目標の共有し、採択を求める」との表現を盛り込ませた。MEMでは予想通り、中国、インドが強く反対して、具体的長期目標は設定されなかった。

  

米国はMEMで目標が設定されないことを前提に、「目標の設定と採択を求める」との表現に同意したのだ。米国は具体的な目標が設定され、それに縛られることを回避したのである。つまり、長期目標を定めてG8がコミットする「G8での合意」は得られなかったのが真相である。

  

大手マスメディアは、この事実を十分に認識しながら、「ぎりぎりの合意にこぎつけた」などと報道している。大本営報道と変わりがない。政権交代を回避したい政府・与党に対する国民の支持を少しでも回復させるための偏向報道が繰り広げられている。

  

  

インドは「1人当たりのCO2排出量で先進国を上回らない」との方針を維持している。1人当たりCO2排出量と生活利便水準は強くリンクしている。人口が多い中国やインドが豊かさを求めて経済成長を遂げてゆけば、当然、CO2排出量は増大する。すでに高い生活水準を享受している先進国が成長途上の国の経済成長を妨げるシステムを構築することを容認できないとする成長途上国の主張には正当性がある。

  

7月9日付記事に記述したが、中国の胡錦濤国家主席をはじめとするMEMに参加したインド、ブラジル、メキシコ、南アフリカの新興5ヵ国首脳は8日午後、温室効果ガスについて、「先進国は50年までに90年比で80~95%削減すべきだ」とする政治宣言を発表し、2020年までの中期目標についても、先進国に「25~40%の削減」を要求した。

  

新興5ヵ国が要求する極めて厳しい中期、長期の数値目標をG8が受け入れることは不可能で、新興国と先進国との隔たりは極めて大きい。米国が新興国を論議に組み込んだのは、数値目標設定に難色を示すインドや中国を、同じ思惑を持つ米国の隠れ蓑として利用するためだとも考えられる。

  

今回の洞爺湖サミットはG8のリーダーシップの欠如を浮かび上がらせると同時に、MEMやUNFCCにおける具体的目標設定が極めて困難である現実を改めて際立たせて終了した。

   

   

これも美爾依さんが紹介された記事だが、北海道新聞の報道によると、英国タイムズ紙が、日本政府がサミットに約600億円もの巨費を費やしていることを指摘したそうだ。タイムズ紙の指摘では、日本はサミット運営費に英国の3倍以上の経費をかけており、その半分が警備費用に充てられている。サミットそのものにも250億円が費やされたが、英国が3年前にサミットを主催したときはこの10分の1だったとのことだ。

   

高齢者に必要な医療を切り捨てるほど財政事情が悪化していると主張し、政府の無駄をゼロにしようと掛け声をかけているのなら、福田首相は今回のサミットをいかに「エコ」ノミーに運営したかをアピールすべきだった。豪華ディナーを堪能しながらアフリカの食糧危機を論じても、アフリカの市民も日本の国民も白けるだけだ。

  

  

米ソ冷戦終焉後に、「地球環境問題」が最重要の国際政治課題として急激に浮上した経緯を詳細に論じている米本昌平氏の著書『地球環境問題とは何か』(1994年、岩波新書)を改めて読み直した。

  

米本氏は1988年9月のシュワルナゼ・ソ連外相(当時)演説、同年12月のゴルバチョフ・ソ連書記長(当時)演説の重要性を指摘する。著書には、科学的根拠が曖昧な地球環境問題が最重要の国際政治課題に位置付けられ、主要国による激し主導権争いが展開されてきた経緯が詳細に示されている。

  

同書から、1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された地球環境サミットでのキューバのカストロ首相の演説を引用する。

  

「コロール・ブラジル大統領、ガリ国連事務総長、そして皆様。

   

重要な生物種が、その自然のすみかを急速に失うことで、消滅の危機に立たされている。人間である。われわれは、これを避けるにはたぶん遅すぎる時期に至って初めて、この問題に気づきはじめた。この残虐な環境破壊の主たる責任は消費社会にあることは、大いに注目してよい。

   

彼らは、かつては植民地であったところの巨大都市と帝国主義政権の申し子であり、これが今日、人類の大多数に天罰として、貧困と退歩をもたらした。

  

世界の人口のわずか20%の人間が、世界全体が生産する金属資源の3分の2と、エネルギーの4分の3を消費している。彼らは、海と川を有害物質で汚し、空気を汚染した。彼らは、オゾン層を傷めて穴をあけだし、気象を乱してカタストロフィーをもたらすガスを大気に充満させたため、われわれはいまその脅威にさらされようとしている。

   

森林の消滅、砂漠の拡大、肥沃な土壌が毎年何億トンも海に流出している。おびただしい生物種が絶滅直前にある。過剰人口と貧困は、たとえ自然資源を食いつぶして生存へともがこうとも、その努力を空しくする。

  

この責を第三世界諸国に押しつけることはできない。ほんの昨日まで植民地であり、今日なお不公正な世界経済秩序によっておとしめられ、搾取されているからである。解決は、第三世界が不可欠とする開発をやめることではもたらされない(中略)。

   

不平等な保護貿易主義の運用と対外債務は、生態系への凌辱であり、環境破壊を構造化するものである。世界が利用可能な富と技術のよりよい配分こそが、このような破壊から人間性を守るのに必要である。

  

少数の国が奢侈と浪費を抑えさえすれば、それだけ、地球上のより多くの人問が貧困と飢餓から逃れる。

   

環境悪化を招いている第三世界の生活様式と消費行動に戻るような道は避けるべきである。人間の生活を理性化させよ。正しい国際経済秩序を求めよ。科学を混じりけのない持続ある発展に向けよ。対外債務ではなく、生態的債務(ecologic debt)にこそ支払いがあるべきである。飢餓は人類の前から追放されなければならない。

  

共産主義からのとされた架空の脅威が消え、冷戦と軍拡競争と軍事費への口実がなくなったいま、これらの財を第三世界の発展を促し、地球の生態学的破壊という脅威を回避するために投入することに、どんな障害があるというのか?

  

利己主義と覇権主義はこれをもって終りにしよう。冷酷、無責任、欺隔はやめにしよう。もうはるか以前に着手すべきであったことを明日からやる、というのでは遅すぎるのだ。ご静聴感謝します」

 

 

グリーンランドは中世温暖期には牧草が広がる、文字通りの緑の島だった。地球温暖化仮説の根拠には曖昧な部分が多い。地球環境を保護すること、ライフスタイルを転換することは重要だが、曖昧な根拠に立つ人為的取り決めが独り歩きする事態は回避すべきである。

  

国連での論議に際しては、成長途上国の発展権の尊重も重要である。先進国のエゴを排する、環境問題を利権争奪の場としない、環境問題を原子力利用推進の隠れ蓑にしない、などを改めて確認することが求められる。

 

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2008年7月 9日 (水)

地球環境問題の目的外利用を排除すべし

  

7月7日から北海道洞爺湖町で開催されているサミットは、すでに2日間の日程を終えた。地球温暖化、原油価格上昇、食糧危機、ドル危機などの重要テーマが掲げられ、実効性のある論議が期待されているのだが、これまでのところ目立った成果が得られているとは言えない。

  

地球温暖化問題については、2050年までにCO2排出量を半減することを目標とすることで、G8合意を得られるかどうかが焦点とされていたが、事前の予想通り、各国が主導権をめぐって駆け引きを繰り広げ、玉虫色の決着になった。

長期目標については、「気候変動枠組み条約(UNFCCC)の全締約国と共有し、採択を求める」ことが合意されるにとどまり、G8での合意は成立しなかった。

  

京都議定書から離脱し、CO2削減に消極的であった米国は、米国国内での環境問題への世論の関心の高まりと、原油価格上昇が持続するなかで、原子力利用のチャンスが広がりつつあるとの認識の上に、最近になって、環境問題への積極姿勢を示し始めている。

  

昨年には京都議定書の枠組みの外に存在する中国、インドなどを招き入れ、主要経済国会合(MEM)を発足させ、欧州が主導権を握ってきた温暖化対策論議に対抗するかのように、MEMを舞台にして新たに米国が温暖化対策を主導しようとしているように見える。

  

2005年時点で米、中、印の3ヵ国は世界のCO2総排出量の44.4%を占めており、この3ヵ国を除外した取り決めでは、排出量削減は実効性を伴わない。

  

環境問題は南北問題の性格を強く帯びている。CO2排出量と経済活動規模との間には正の相関がある。すでに成長を遂げ、豊かな生活水準を享受している先進国が、地球環境を守るために成長途上国に対してもCO2排出量の抑制を求めることは、成長途上国の経済発展の権利(発展権)を奪う先進国のエゴであるとの反発がある。

  

中国、インドなど新興国5ヵ国は、先進国に「2050年までの80~95%削減」を求める宣言を発表して、世界全体での温暖化ガス排出量50%削減の目標設定を強くけん制している。米国は中国やインドが参加しない取り決めは実効性を持たないとの論拠を活用し、米国の長期の数値目標設定に慎重な姿勢を崩していない。

  

2020年までの中期目標についてG8は、「野心的な中期の国別総量目標を実施する」としたが、具体的な数値目標を盛り込むことができなかった。

  

中国の胡錦濤国家主席をはじめとするMEMに参加するインド、ブラジル、メキシコ、南アフリカの新興5カ国首脳は8日午後に会談し、温室効果ガスについて、上述したように「先進国は50年までに90年比で80~95%削減すべきだ」と求める政治宣言を発表し、さらに、2020年までの中期目標についても、先進国に「25~40%の削減」を要求した。数値目標設定を見送ったG8に対して先手を打つ形になっている。

  

G8と新興成長国との意見の隔たりは大きく、長期目標についても中期目標についても、実効性のある合意を得ることは困難である。CO2の排出量を抑制しようとの総論で合意が得られても、各国の経済負担を伴う個別目標の設定においては、利害が激しく衝突する。

   

2008年に発効した京都議定書の枠組みにより、日本は2012年までに1990年比でCO2排出量を6%削減することを約束しているが、現在までに排出量は逆に6%増加しており、目標達成には12%削減が必要になっている。目標達成は絶望視されており、日本は合計最大で2兆円近い排出枠を買い取る必要があるとも見られている。

  

環境問題での主導権の一角を確保するために、巨大な資金負担を招いている日本政府の対応を反省すべきである。緊縮財政運営が維持されているなかで、環境対策費は聖域扱いされているが、その政府支出が他の重要な政府支出と比べて本当に優先順位が高いのかどうかを詳細に検証しなければならない。

   

新聞各紙を見ても、環境問題関連の広告は突出して大きく、政府広報も膨大な規模になっている。高齢者医療、介護、障害者支援、生活保護などの国民生活に直結する費目が容赦なく切り落とされているなかで、地球環境の名を借りた冗費が拡大している現状を検証しなければならない。

  

国内産業界、金融業界、監査法人・広告代理店・コンサルティング業界が、環境問題を利権争奪の場と位置付けている側面も強い。また、環境問題の衣をまとった原子力利用推進の動きが本格化していることにも注意を怠れない。

  

米国が急速に環境問題に強い関心を寄せ始めた裏側に、原子力ビジネス拡大の思惑があるとも指摘される。CO2排出量削減を目標に掲げると、原子力発電が相対的に推進されやすくなる論理の盲点に注意しなければならない。

  

米国のスリーマイルアイランドや旧ソ連のチェルノブイリ事故、日本の東海村や関西電力美浜原発での事故、新潟柏崎原発の地震被害などを背景に、原子力発電やプルサーマル計画に対する逆風が強まっている。地球環境への取り組みが、十分な安全性の論議を欠いた原子力利用推進の原動力として活用されることには十分な警戒が必要である。

  

らくちんランプのスパイラルドラゴンさんが多くの情報を提供されているが、地球温暖化仮説そのものに対する懐疑論には無視できないものが多く含まれている。北極の気温は温暖化ガスが増加した1940-1970年にかけて大幅に低下した。地球の保温メカニズムには、空気中濃度の99%を占める窒素と酸素の働きが大きいとの説明も説得力を持っている。また、地球の温度変化の主因は太陽活動の変化にあるとの主張も説得力を有している。

  

日本政府には、見かけの栄誉を優先して安易にリーダーシップ獲得競争にのめりこむことよりも、日本の国益を重視し、冷静な視点から環境問題を批判的に検証する真摯な対応が求められる。

  

原油高、ドル安の問題は、当面の最大の経済金融問題であり、サミットの場を活用しての深い、実効性のある論議が強く求められたが、伝えられる情報は、これらの重要問題について、雑談程度の論議しか行われなかった疑いが濃厚であることを示している。

  

この問題については機会を改めて記述するが、「投機資金を監視する」だけで原油価格高騰などの問題が解決するとは考えにくい。巨額の費用と時間を投下している「サミット」を最大限に活用しようとする姿勢が感じられないことが大きな問題だと思う。

  

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2008年7月 7日 (月)

日米首脳共同記者会見でのハプニング

  

北海道洞爺湖サミットが7月7日午後開幕した。サミット開幕に先立って7月6日午後、日米首脳会談が開催され、会談後ブッシュ大統領と福田首相による共同記者会見が行われた。

  

  

サミット直前に米国は北朝鮮に対するテロ支援国指定解除の手続きを開始した。日本政府は米国に対して拉致問題を解決しない段階でのテロ支援国指定解除に反対の意思を表明してきたが、米国に梯子を外された形になった。

日本国内では、拉致問題が置き去りにされることに対する懸念が増しており、日米首脳会談で福田首相がこの点について、日本の立場を明確にブッシュ大統領に示すことが求められていた。ブッシュ大統領は「拉致問題を置き去りにしない」と言明したが、その実効性が問われることになる。

  

  

共同記者会見では外国人記者2名、日本人記者1名から質問が出されたが、3人目のワシントンポスト記者からの質疑応答でハプニングが生じた。

  

記者はブッシュ大統領に北京オリンピック開会式への参加意向表明について質問し、中国の人権問題とチベット問題などについてのブッシュ大統領の見解を質した。福田首相に対しては、米国大統領選の共和・民主両党の候補者オバマ氏とマケイン氏に対するコメントが問われた。

  

  

福田首相は、「(質問の内容は)北京オリンピック開会式への出席についての考え方についてということでいいですね」と確認したうえで、北京オリンピック開会式への出席についての考え方を語った。

  

   

記者は英語で質問したが、日本語の同時通訳が用意されていたはずだ。ブッシュ大統領はイヤホンを使用して日本語の英語訳を聞きながら記者会見に臨んでいたが、福田首相はイヤホンを使用せず、外国人記者の質問を英語のまま聞き取っていたようだ。

  

  

その結果、記者の質問と無関係に、米国大統領選挙の話題にはまったく触れず、質問されていない北京オリンピックへの出席について語ったのだと思われる。

  

  

国際会議では言語の相違が論議のひとつの障害になる。この障害を取り除くために質の高い通訳が用意される。通訳が正確に情報を伝えなければ、重要な国際間の取り決めを決定することもできなくなる。

  

  

今回のサミットで福田首相は、議長の大役を担う。通訳を介さずに完全なコミュニケーションを実現できるなら、生の言葉での討議が望ましいが、通訳を介さないために、意思疎通に問題が生じるのでは元も子もなくなる。

  

巨大な費用と時間を投下するサミットである。サミットでの論議が最大の効果をあげるため、福田首相には実直な対応が強く求められる。

  

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2008年7月 6日 (日)

民主党が天下り根絶法案提出へ

  

次期総選挙は政権交代を問う決戦の場になる。政策の対立軸を明確にしたうえで与野党が政策を明示し、国民が政権を選択することになる。私は弱肉強食放置VSセーフティーネット重視、官僚利権温存VS官僚利権根絶、対米隷属外交VS独立自尊外交、の三つが政治の対立軸になると考える。

  

2番目の対立軸である官僚利権についてどのような対応を示すのかは、新しい日本の体制を考える上で最重要事項になる。私は日本の最大の構造問題は財務省を中核とする「官僚主権構造」にあると考えている。「官僚主権構造」の問題とは、①官僚機構が意思決定の実権を握っている、と同時に、②官僚機構が国民の幸福を追求せずに、自己の利益増大を追求していること、③政治がこの現状を「改革」しようとせずに「温存」していること、である。

   

この問題への対応は、具体的には公務員制度および天下り制度の改変に表われる。小泉政権は「改革」を標榜していたが、「官僚主権構造」には指一本触れることをしなかった。小泉元首相は典型的な「大蔵族」、「財務族」議員であり、財務省の権力は小泉政権の期間、著しく増強された。財務省の天下り利権は徹底的に温存された。

   

日銀幹部人事が紛糾した最大の原因は福田首相が財務省の天下り利権温存に執着したことだった。政治権力に支配されているマスメディアが政府提案に反対した民主党の対応を一貫して批判した事実は、目を覆うばかりのメディアの堕落を示している。

  

民主党をはじめとする野党は、財務省が実質支配する政治権力の構造に根源的な問題が存在することを看破し、財務省利権の象徴である日銀天下り人事にくさびを打ち込むことを最重要視したのだ。その政治行動は後世において必ず高く評価されることになるだろう。

   

   

福田政権は先に終了した通常国会で国家公務員制度改革基本法を成立させた。中川秀直自民党前幹事長は著書「官僚国家の崩壊」のなかで、この法律を100年ぶりの画期的な法律と絶賛している。しかし、私の評価はまったく異なる。

  

7月4日付記事「諸悪の根源は本当に府職員か」に記述したが、私は公務員制度改革について、①第1種国家公務員を第2種国家公務員と統合して廃止、②天下り制度の全廃、③公務員の定年までの雇用保証、の三つを骨子とする提言(拙著『知られざる真実』の89-98ページ)を示してきた。

   

政府は成立した法律によるキャリア制度廃止を謳っているが、総合職、専門職、一般職と名称が変わるだけで、キャリア制度は完全に合法化される。しかも、キャリア官僚の天下り特権は完全に温存される。

  

自民党の中川秀直氏は「上げ潮派」を自任し、官僚利権根絶を提唱し始めた。小泉元首相、小池百合子環境相、渡辺喜美行革相、武部勤自民党元幹事長、小泉チルドレンなどが連携する気配を示している。

  

8月にも旗揚げが予想される「脱藩官僚の会」や橋本大二郎元高知県知事などが中川氏などと連携して政治新勢力を創設することも考え得る。これらの裏側で小泉元首相、飯島勲氏、竹中平蔵氏などが蠢いているようにも見受けられる。

  

   

しかし、これらの政治新勢力に根本的な改革実行を期待することはできない。政治新勢力は自民党別働隊として、既存の政治権力による権力死守を目的に偽装を施しているとしか考えられない。小泉氏、中川秀直氏、竹中平蔵氏などが本当に官僚利権を根絶する考えを有しているなら、小泉元首相が絶対的な権力を保持している間に、いくらでも改革を実行できたはずだ。

   

小泉政権の時代に公的金融機関の抜本改革が論議され、新しい方向が定められた。私はこの改革において財務省からの天下りを根絶するのかどうかが最大の焦点だと述べ続けた。日本政策投資銀行、国際協力銀行、国民生活金融公庫は財務省の最重要天下り機関で、「御三家」と呼ばれていた。御三家への天下りを根絶することが改革の第一歩であり、官僚利権削減の象徴になることを、私は2001年の小泉政権発足時から主張した。

 

   

しかし、小泉政権、安倍政権は天下りを結局死守した。天下り根絶など、まったく検討していないことが明白になった。6月28日付日経新聞は、日本政策投資銀行が2008年3月期にサブプライム問題で300億円超の損失を計上したことを報じた。役割を終えて業務を縮小させるべき政策投資銀行が無節操に業務を拡大して巨額損失を計上している。

    

巨額損失にもかかわらず、財務省から天下った幹部の責任はまったく問われていない。政策投資銀行の業務拡大は、民営化を控えて財務省利権を拡大させるために推進されていると考えて間違いない。

  

国際協力銀行もとっくに役割を終えて廃止が検討されるべきであるのに、中国などでの二酸化炭素削減プロジェクトに積極融資するなど、新規事業を急拡大させている。小泉政権は「政府のスリム化」などを謳っていたが、財務省利権の拡大に関してはまったく逆の対応を示している。

  

   

福田政権は天下りの温床である公益法人のうち、行政と密接な関係にある350の公益法人の見直しを進めているが、7月4日に発表された中間報告では、解散を明記されたのは2機関にとどまった。福田首相は公益法人への支出を3割削減したいと述べているが、「政府の無駄ゼロ」には程遠い。

  

   

自民党政権は官僚利権と表裏一体をなしている。「改革」を標榜した小泉政権は財務省と運命共同体を形成し、財務省の利権は小泉政権によって維持拡大された。既存権力による官僚利権根絶が存立し得ないことは、歴史の事実が明確に証明している。

  

民主党は8月下旬に召集される次期臨時国会に天下りあっせん禁止を定める法律案を提出する方針を固めた模様である。法案には、①天下りのあっせん禁止、②定年前の勧奨退職禁止、③65歳まで公務員定年引き上げ、が盛り込まれる見通しだ。

   

先の通常国会で与野党の合意で成立した公務員制度改革基本法には与党が抵抗して天下り改革が盛り込まれなかった。民主党は改革を半歩でも前に進めるために法立成立に協力したが、成立した法律で目的が達成されていないことは明白だった。天下り温存に固執する与党との相違を明確にするために、民主党は天下り禁止法案を国会に提出する見通しだ。

   

道路特定財源の一般財源化も、私は「国土交通省から財務省への所得移転にすぎない」と主張してきた。民主党の菅直人代表代行は「政府のやり方では国土交通省から財務相に権限が移るだけ」として、道路財源に絡む権限や財源を国から地方自治体に大幅に移すよう主張していることが報じられている。

  

  

政府与党は、8月にも政治新勢力を創設して、官僚利権根絶などの施策をアピールする可能性がある。フジテレビ月9ドラマ「CHANGE」が政府与党の政治活動を支援する形で政治利用されている可能性については、本ブログで再三指摘してきた通りである。

  

しかし、すでに記述してきたように、既存の政治権力が官僚利権を根絶することはあり得ない。小泉氏、中川氏、竹中氏が官僚利権死守に尽力してきた事実の重みを再確認しておくべきだ。

  

  

本年夏以降、国民の目をくらますための大きな偽装工作が展開される可能性があるが、国民は「真実」、「真相」を正しく見抜かなければならない。民主党内部にも官僚利権を根絶しようとする行動に対する抵抗が根強く存在している。しかし、民主党が真の改革実現を目指し、「官僚主権構造」を破壊して、「国民主権構造」を構築しようとするなら、党内の抵抗を排除しなければならない。

  

また、自民党勢力と内通する民主党内部の反乱分子を、時期を失することなく摘出することが求められる。民主党による天下り禁止法案提出の意思決定は重要だ。国民が既成の政治権力による偽装工作に騙されることのないよう、野党勢力は政策の相違を明確にし、国民に積極的にアピールしなければならない。

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2008年7月 5日 (土)

洞爺湖サミット原油高対策の有効性

  

「生き抜く力」様「毎日を正しく生きる」様青森県六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場の本格稼動を阻止しよう!」様「安達式記憶術BLOG」様、 Japonesian Trans-ApocalypseTrans-Modern New Platonic Trans-Creation様、_~山のあなたの空遠く幸い住むと人のいう~」様、いつも記事のご紹介ならびに貴重なメッセージをありがとうございます。

  

7月7日から9日にかけて北海道洞爺湖で開催されるサミットでは、環境問題と経済問題が主要議題になると見込まれているが、環境問題については、そもそも地球温暖化の原因が科学的に必ずしも明確ではないなかで、主要国が利害と主導権確保の二つの狙いから政治的に駆け引きを演じる光景ばかりが際立っている。

日本のマスメディアは政府広報になり下がって、批判的に問題を検証する姿勢を欠き、南極の氷が海面に落ちる映像、世界の天然災害、シロクマの飢餓などを情緒的なナレーションで紹介し、地球温暖化仮説を視聴者に刷り込むプロパガンダ番組を競って放送している。経済界は環境問題を大義名分とする巨大な財政支出の利権確保や環境問題を有利に利用するためのプロパガンダ制作に狂奔し、環境狂想曲を奏でている。

  

環境問題については、科学的な視点から冷静な論議が求められる。私は環境問題の重要性を否定しないが、現在の論議は、環境問題についての基本認識を十分に確定しないままで国際社会での主導権争いが繰り広げられている点、産業界が利害優先の論議を展開し、関係官庁と政治家を巻き込んで利権争奪戦を繰り広げている点、に大きな問題があると考える。論議における客観性、公益性の視点が無視されている。

  

  

環境問題についての考察は別の機会に譲るが、経済問題では原油価格高騰がもたらす世界的なインフレ圧力と米ドルの脆弱性が論議の焦点になると見られる。原油高については、サミット首脳文書に、原油市場への投機資金監視で結束することが盛り込まれるとの報道が示されている。

  

サミットを前にして、世界の株式市場は下落基調を強めている。NYダウは7月2日、11,215ドルまで下落した。5月2日の13,058ドルから1843ドル・14.1%急落した。『金利為替株価特報』では、「5月24日号=067号」以降、NYダウの10,600ドル近辺への下落リスクを指摘してきた。現実に原油価格高騰により、リスクが顕在化している。

 

日本でも、日経平均株価が6月19日から7月4日まで、12日連続(営業日ベース)で下落した。朝鮮戦争休戦後の景気低迷を背景にした1954年4月28日から5月18日までの15日続落以来、54年ぶりの株価連続下落が記録された。

  

『金利為替株価特報』では、米国株価が6月6日に下値抵抗ラインの12,500ドルを明確に割り込んだことを踏まえ、NYダウが下落基調に転じたと判断し、「6月7日号=068号」に日本の株価についても6月6日以降、調整局面に移行したとの見通しを記述して、株価下落に警戒を呼び掛けた。

  

NY株価はすでに3月10日の安値を下回り、2006年8月以来、1年11ヵ月ぶりの安値を記録しているが、フランスでは3年ぶりの安値が示されている。また、中国、インドの株価も3月安値を下回っている。

  

『金利・為替・株価特報』では、「067号=2008年5月24日号」のタイトルを「原油価格上昇で米国株式市場に暗雲」、「068号=2008年6月7日号」のタイトルを「FRBインフレ回避利上げケース考察」とした。事態収束のために最終的にFRBによる短期金利引き上げが求められる可能性が高いと記述した。

  

本ブログ6月30日付記事「バーナンキFRB議長の憂鬱」に、「米国経済は三つの問題を抱えている」と記述した。三つの問題とは、①不動産価格下落に連動する不良債権増加、金融市場の機能不全リスク、②不動産格下落に連動する米国経済の悪化、③原油価格上昇に伴うインフレ懸念の強まり、だと記した。

ポールソン財務長官は、7月3日のECB(欧州中央銀行)による利上げ決定直前に欧州を歴訪し、7月2日にロンドンで講演した。講演でポールソン財務長官は、米国経済が①エネルギー価格の上昇、②資本市場の混乱、③住宅市場の長引く調整、の三つの逆風に直面しているとの現状認識を示した。上記の三つの問題と重なる。

  

問題が深刻化する時、最も重大な問題を引き起こすのは「資本市場の混乱」だ。ポールソン財務長官は、金融市場の混乱に対してFRBなどの監督当局に「緊急権限」を付与して、市場の混乱を回避する方針を示した。

米国では本年3月にベア・スターンズ社の経営危機が表面化して、FRBは290億ドルの特別融資を実行して危機深刻化を回避した。ポールソン財務長官は、金融危機顕在化に対しては、金利政策ではない流動性供給策で対応することを表明したと解釈できる。

   

現在、原油価格高騰と米ドル下落圧力が世界経済最大の懸念として浮上している。サミットでの主要議題のひとつがこの問題だ。問題を顕在化させた最大の要因はFRBによる大幅金利引き下げだった。昨年9月に5.25%だった米国のFFレートが本年4月には2.0%に引き下げられた。

利下げは3月の金融危機を回避するために、緊急避難策として決定されたが、結果的に、行き過ぎた金利引き下げを実行してしまった可能性が明確になりつつある。その修正が求められつつある。

  

6月24、25日のFOMC(連邦公開市場委員会)で、FRBは金利引き下げ中断を決定し、インフレ回避に金融政策の主軸をシフトした。ECBはFRBが金利引き下げを中断したことを確認して7月3日に利上げを決定した。

   

ECBはそもそも、FRBが金融危機に対応して金利引き下げを決定することに冷ややかな視線を送っていた。昨年12月、本年3月、5月にECBはFRBと協調して短期金融市場への緊急流動性供給政策を決定したが、FRBの金利引き下げ政策にはまったく協調しなかった。 

ECBは「信用収縮リスク」と「インフレリスク」を峻別していた。「信用収縮リスク」には「流動性供給策」で、「インフレリスク」には「金融(引締め)政策」で対応する、との基本姿勢が明確に維持されていた。

  

  

FRBおよび、米国と同じアングロサクソン国である英国、カナダはFRBに協調するように利下げを決定したが、ECBはインフレ警戒姿勢を堅持した。そして、7月3日、13ヵ月ぶりに金利引き上げを決定した。

  

サミットでは、原油市場への投機資金流入に対する警戒を強めることで、主要国が結束すると言うが、投機資金が流入する「スキ」を放置したまま、単に「警戒」しても実効性はあがらないと考えられる。「警戒」しているなかで、原油価格高騰が持続してしまう可能性が高い。

米国の5月の消費者物価前年比上昇率は4.2%だ。FFレート2.0%は実質-2.2%の短期金利水準を意味している。FRBの超緩和金融政策が原油価格上昇、米ドル下落の最大の論拠にされている。

 

金融市場の混乱リスクには流動性供給策で万全に対応する方針を明確にしたうえで、米国の短期金利水準を上方修正することが、最終的に必要になると考えられる。為替市場への介入が行われるとしても、マクロ政策と整合性を持たなければ介入効果は持続しない

  

  

バーナンキ議長は最大の正念場を迎える。大幅金利引き下げ後の金利引き上げ決定は、金融市場の混乱を招けば、バーナンキ議長の責任問題にも発展しかねない。しかし、それでもFRBは行動せざるを得なくなる可能性が高い。インフレの未然防止は長期的に最重要の施策であり、現状の放置は原油価格高騰を持続させ、世界の金融市場の根幹を揺るがす恐れが高いからだ。

  

  

サミットで十分な戦術が練られず、実効性を伴わない表面上の合意しか成立しない場合には、サミット直後に金融市場が混乱して警鐘が鳴らされる可能性がある。

ポールソン財務長官が精力的に動いていることからすれば、FRBの利上げを含む対応が念頭に置かれていると推察されるが、サミットでの声明とサミット後の市場変動、政策対応に細心の注意を払うことが求められる。

  

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2008年7月 4日 (金)

諸悪の根源は本当に府職員か-政治の対立軸(3)-

  

「ただいま勉強中(仮題)」様「こわれたおもちゃをだきあげて」様「いちばん星ぶるーす」様「こづかい帳」様「ダイエットへの挑戦」様、記事のご紹介ありがとうございました。

 

「副島隆彦の学問道場」「今日のぼやき「953」」の副島隆彦氏より身に余る過分なお言葉を賜り、感涙を押しとどめることができませんでした。もったいないお心に深く感謝申し上げます。誠に浅学非才の身でありますが、一歩ずつ前に進んで参りたく存じます。「神州の泉」の高橋博彦氏からも身に余るお言葉を賜りました。心より感謝申し上げます。誠に微力ではありますが、自らの良心と信念に従い、歩んで参りたく存じます。なにとぞ今後ともご指導賜りますよう謹んでお願い申し上げます。

  

次期衆議院選挙は日本の命運を分ける重大な分岐点になる。自公政権は権力を維持するために総力を注いでいる。6月14日付記事「日本の命運を分ける決戦のとき」にも記述したが、米国の大統領制が「権力を抑制する」性格を強く有しているのに対して、議院内閣制は「権力を創出する」性格を強く持つ。

  

大統領制では大統領の強大な権限を牽制する役割が議会に期待されているが、議院内閣制では議会多数派が政権を担うから、原則として議会と政権は一体の関係を形成する。

「原則として」と記述したのは、現在のように参議院で与野党勢力が逆転すると与党の意向が簡単には通らなくなるからだ。それでも与党が衆議院で3分の2以上の多数を確保する場合、与党が数の力に頼めば、参議院の牽制力は機能しない。現在の日本がこの状況にあてはまる。

  

権力の頂点に立つのは内閣総理大臣だ。学校教育では「三権分立」の建前を教えるが、内閣総理大臣がその気になれば、権力を独占することは不可能でない。司法権を担う裁判所の人事を決定する権限は日本国憲法により内閣に与えられている(日本国憲法第6条、第79条)。

日本の内閣総理大臣は、三権を掌握し得る強い権能を付与されているのである。しかし、歴代首相はその権力の行使に慎重な姿勢を崩さなかった。「権力の濫用」を抑制する自制心があった。首相は自民党総裁を兼ねてきたが、歴代首相は自民党の意向を尊重した。自民党内には派閥が存在して常に非主流派派閥が存在したが、首相は少数意見を尊重した。

  

活用できる権能をすべて活用し、三権を掌握し、初めて独裁者としての権力を行使したのは小泉元首相だった。マスメディアはがんじがらめの政府規制に縛られて政治権力の支配下に位置する。政治権力はその意思を持てば、マスメディアを完全にコントロールできる。世論によって政治を動かす「ポピュリズム時代」を誘導し、マスメディアへの支配を著しく強めたのも小泉元首相だった。

  

小泉政権以降の政権はその行動様式を広範に継承してきた。自公政権は三権を掌握し、マスメディアを完全に支配下に置き、次期総選挙による政権交代阻止に向けて総力を結集している。「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」は孫子の言葉だが、自公政権の権力への執着を軽く見れば、野党に勝機はない。

  

小泉政権以降の政権がもたらした日本社会の荒廃と、外国資本に対する巨大な利益供与の現実を直視して、本当の意味での「変革」=「CHANGE」が求められている。小泉政権以来の政権の基本政策は、①人間性破壊を推進する市場原理至上主義、②官僚利権温存、③対米隷属外交、だった。

  

市場原理至上主義は「弱者切り捨て」、「弱肉強食容認」、「拝金主義礼賛」と表裏一体をなし、国民の幸福追求と生存権保障という政治の最重要の役割が無視されてきた。

格差は著しく拡大し、高齢者、障害者、若年労働者、母子世帯、一般勤労者いじめが放置され、日本社会に荒涼とした風景が広がった。

小泉首相は政権公約を守らなかったことを「大したことではない」と述べ、この6月11日には、福田首相に対する問責決議案が憲政史上初めて参議院で可決されたことについて、「初めてというが、大した意味はない」と発言した。倫理崩壊が加速している。

  

野党は次期総選挙に向けて、政策綱領を国民に明示しなければならない。自公政権の基本政策が上記三点にあることを示したうえで、対極に位置する政策を明示すべきだ。

  

「市場原理至上主義VS適正な弱者保護」「人間尊重の政策VS人間性破壊の政策」と言い換えて、第一の対立軸についての考えを示した。第二の対立軸として「官僚利権根絶VS官僚利権温存」を示す。

  

7月2日付記事「民主党に忍び寄る危機」に記述したように、自公政権は8月にも旗揚げが予想される政治新勢力=新党を、次期総選挙に向けての最大の武器として活用する可能性が高い。フジテレビ月9ドラマ「CHANGE」は放送の政治利用=プロパガンダ番組で「放送法」違反の疑いが濃厚だ。

  

政治権力を掌握した自民党清和政策研究会に所属する中川秀直元自民党幹事長は「官僚国家の崩壊」を著し、「官僚利権」に切り込む素振りを示している。同時に動き始めた「脱藩官僚の会」も官僚利権根絶を唱えている。同時にマスメディアの全面的支援によって注目度を高めている橋下徹大阪府知事は、財政再建に向けて府職員との激闘を演じている。

これらが一本化され、次期総選挙での非自民票を吸収する受け皿にされる可能性が高い。新勢力はテレビドラマおよび米国大統領選挙のキーワードである「CHANGE」をイメージコピーとして利用しようとしている。しかし、実態は「えせCHANGE」である。

  

橋下知事は「府職員が諸悪の根源」で、「高級官僚の天下り」をまったく問題にしない。府職員数の削減を唱えながら、警察から圧力がかかると警察人員の削減を直ちに取り下げた。「弱い者いじめ」の典型的行動様式が示されている。

  

知事が府職員をいじめても知事を糾弾する者はいない。高級官僚の天下り、警察職員の削減を唱えれば、力の強い者から知事への攻撃が直ちに発生する。橋下知事の行動は「強きを挫き弱きを護る」でなく、「弱きを挫き強きを護る」以外の何者でもない。

  

本当に府職員が諸悪の根源なのか。私は橋下知事の行動を見ながら、言葉に言い表せぬ違和感を感じ続けてきた。「何かが違っている」と私は感じ続けた。「いわれのない虐待」、「理不尽な差別」と通じる構造を私はそこに感じる。

府職員が橋下知事から糾弾される姿を見ても、誰も手を差し伸べようとしない。一般の府民は拍手喝さいを送る。府職員はいわれなき誹謗中傷を浴びながら、やるせない気持ちを募らせていると思う。橋下知事は府職員との対立図式がテレビで繰り返し放映される結果が、自らに有利に働くことを計算によって熟知している。多数の世論の支持が得られれば「勝ち」であるとの感性しか有していないと思う。

  

府職員を悪者に仕立て上げ、自分が正義のヒーローになることの論理的正当性を、橋下知事が熟慮していると考えられないのだ。大衆人気に便乗して、善良な府職員の尊厳をどれほど深く傷つけているのかに思いを巡らす「想像力」を欠いているように思う。

  

私は府職員に非がないとは思っていない。多くの公務員が保障された身分にあぐらをかいて、非効率的な業務態度を示していることを知っている。公務員の労働の質を引き上げるための努力は必要だと思う。公務員の意識を改革し、最少の費用で最大のサービスが提供されるように、公務員が提供するサービスの品質向上が強く求められる。橋下知事はまず、この点に注力すべきだ。

だが、一方で、最大の努力を傾注している職員も多数存在すると考える。私の知人の一般公務員では、献身的に職務に尽力している人がほとんどだ。拙著『知られざる真実-勾留地にて-』にも記述したが、東京拘置所職員の多くも極めて勤勉で善良な公務員だった。

   

府職員を諸悪の根源として糾弾するのではなく、高級官僚、およびその天下りを糾弾するべきと考える。糾弾すべき対象は「一般公務員」なのか、それとも「高級官僚および天下り」なのかが問題である。橋下知事の問題提起を、「諸悪の根源は一般公務員であって、高級官僚および天下りではない」と解読し、その是非を冷静に考察することが求められている。

深く考えもせずに、メディアが提供する「府職員=悪VS橋下知事=白馬の騎士」の図式に乗って府職員糾弾に加担すること、これが「いじめ」の基本構図である。「いじめ」加担者の大多数に「いじめ」の意識は乏しい。しかし、いわれなく「いじめられる」者は「数の暴力」に苦悶するのだ。

  

2006年5月5日にエキスポランドはジェットコースターの整備不良で痛ましい死亡事故を起こした。その運営主体である独立行政法人には大阪府からも警察からも天下りが受け入れられている。高級官僚と天下り問題が府職員糾弾よりも優先されるべきだと私は考える。また、橋下知事は巨大利権の温床となる巨大プロジェクト見直しにも慎重である。

  

中川秀直氏は官僚利権根絶を唱えているが、その実現は極めて疑わしい。通常国会で成立した国家公務員制度改革基本法を見る限り、現在の政権与党に官僚利権を根絶する考えがあるとは考えられないからだ。

  

新制度ではキャリア制度廃止が謳われているが、総合職、専門職、一般職と名称が変わるだけで、キャリア制度は完全に合法化される。しかも、キャリア官僚の天下り特権は完全に温存される。さらに、これまで民間企業への天下り承認を報告してきた人事院の「天下り白書」も作成されなくなる。個人情報を盾に情報が公開されなくなる懸念も強い。

  

自民党の支配権を掌握した清和政策研究会の幹部の地位にある中川氏が本当に官僚利権を根絶する考えを持つなら、このような天下り温存の制度改正が政府から提案されるはずがない。

  

官僚は国民の幸福追求を行動原理の基本に据えていない。官僚は勤務評定の基準に従って行動する。役所はそれぞれの官庁の利益拡大にどれだけ貢献したかを勤務評定の基準としている。必然的に官僚は官庁の利益拡大を目指すことになる。

役所の権益とは法律によって業界を支配すること、予算配分権を拡大すること、天下り利権を拡大することに尽きる。財務省の場合には、税金を1円でも多く徴収することがこれに加わる。天下り先は、特殊法人、公益法人、および民間企業だ。公的天下り機関の維持拡大に努めるとともに、官庁の権限を活用して民間企業への天下り利権の維持拡大を図る。

   

高級官僚の天下り利権の巨悪と比較すれば、一般公務員の悪ははるかに小さい。そして小悪である一般公務員の労働の質を努力によって高めることは十分に実現可能だ。実際、職員のサービス水準が非常に高い自治体が多数存在する。橋下知事は府職員を糾弾するより、大阪府職員のサービス水準の飛躍的向上を目指すべきだ。

  

私は公務員制度改革についての提言を拙著『知られざる真実』の89-98ページに記述した。その骨子は、①第1種国家公務員を第2種国家公務員と統合して廃止する、②天下り制度を全廃する、③公務員の定年までの雇用を保証する、の三つだ。天下りを廃止すれば、公益法人等に注入している財政支出の大半が削除される。

多くの人は警察からの巨大な天下りの現実を知らない。警察には犯罪捜査や立件に関する巨大な裁量権がある。立件するかしないか、逮捕するかしないか、だけでも意味は重大だが、決定は警察および検察に委ねられている。この裁量権と天下りが不可分に連結している。

  

一般公務員の小悪よりも、高級官僚の天下り制度の巨悪が問題である。自公政権と新たに創設される政治新勢力が「一般公務員を諸悪の根源」とするのに対し、野党は「高級官僚の天下りを廃絶の対象」とすべきだ。

小泉元首相は27万人の郵政職員を悪の根源とした。橋下知事は府職員を悪の根源としている。図式は同一だ。しかし、郵政職員と府職員が本当に悪の根源なのかを冷静に考えるべきだ。

  

罪なき者にいわれのない罪を着せ、諸悪の根源とのイメージを植え付け、一般大衆の不満を昇華させる。他方で、情報操作と世論誘導によって、外国資本への巨大利益供与と日本社会の破壊を「正義の政策」に偽装する「権力の濫用者」こそ諸悪の根源であり、国賊だ。この「真実」を人々に知らしめなければならない。それが政権交代を勝ち取る救国野党の責務である。

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2008年7月 2日 (水)

民主党に忍び寄る危機

朝日新聞が6月14、15日に実施した世論調査では、福田内閣の支持率が5月調査の19%から23%へ上昇した。不支持率は65%から59%に低下した。政党支持率は5月には民主26%、自民22%だったが、6月は民主、自民ともに22%で横に並んだ。

  

民主党に対する支持が低下し、福田政権の支持率が回復している。ガソリン暫定税率、後期高齢者医療制度、年金記録問題で国民の不満は爆発し、福田政権は末期症状を示したが、マスメディア報道が四川大地震や秋葉原での殺傷事件にシフトし、参議院での福田首相に対する問責決議案可決もほとんど報道されないなかで、民主党支持率上昇の流れがストップした。

  

自公政権は権力維持に手段を問わない行動に出ていると考えられる。権力迎合のマスメディアは政権に都合の悪い情報を極力報じない姿勢を強めている。与党は次期総選挙での政権交代阻止に向けて、次々に戦術を繰り広げる可能性が高い。民主党が手をこまぬいていれば、政権交代実現の最大のチャンスは潰えるだろう。

  

衆議院の任期が2009年秋までであるから、総選挙は今後1年3ヵ月以内に必ず行われる。福田政権が持続して福田首相の下で次期総選挙が戦われるのか、首相が交代して選挙が実施されるのかが、まず焦点になる。福田首相が辞任する場合、後継首相の第一の候補は麻生太郎前自民党幹事長だが、自民党派閥領袖の古賀氏、山崎拓氏、二階氏などは麻生首相誕生に消極的である。

  

総選挙のタイミングに大きな影響を与えると見られているのが、来年7月の都議会選挙である。公明党は都議会選挙を最重要視しており、来年春以降の総選挙には強い難色を示している。また、任期満了での総選挙では、政権は選挙に良いタイミングを選べない。状況が与党に不利になっても選挙をせざるを得なくなる。

  

政権がイニシアティブを発揮して選挙を実施するとなると、今年の秋か来年1月ということになる。日本経済は昨年末を転換点に景気後退局面に移行したと考えられ、時期が遅れるほど不況の認識が広がるため、来年春以降の解散総選挙はこの面からも敬遠される可能性が高い。

  

問題は、福田首相が残留するか首相交代があるかだ。残留する場合には、洞爺湖サミット終了後、9月までに内閣改造が行われることになる。しかし、次期総選挙での自民党の議席大幅減少は避けられず、議員からは福田首相では総選挙を戦えないとの声が強い。サミット終了後に福田首相が速やかに内閣改造を実施しない場合には、首相交代を求める自民党内の動きが本格化する可能性が高い。

 

そのなかで、注視を怠れないのが新党結成の動きである。「喜八ログ」様が6月30日付記事で、謎の憂国者「r」さんからのメッセージとして「改革新党「CHANGE」を予測する」との興味深い論考を提示された。以下はその引用である。

  

(引用開始)

橋下徹大阪府知事はカイカク派にとって最後の切り札である」

私「r」はそのように考えています。
それを念頭においてお読みください。

ジャニーズ事務所所属タレント「木村拓哉氏(通称:キムタク)」主演のフジテレビドラマ「CHANGE」がネオリベ新自由主義思想のプロパガンダドラマである、と数多くの識者やブロガーが指摘しています。
小泉純一郎
氏の元秘書である「飯島勲氏」や「渡辺喜美行革大臣」の関係者が深く関与している、と一部メディアやブロガーが指摘しています。
そのような状況を鑑《かんが》みると決して「陰謀論・謀略論」で片付けられないものがあるように思います。

フジサンケイグループと言えば先の「郵政解散総選挙」における民放各局の「偏向報道合戦」において「テレビ朝日」同様に重要な役割を演じてきました。
言うまでもなく「小泉構造改革」に盲従した報道姿勢を終始貫きましたね。

「朝日新聞と産経新聞の『論調が一致』したら危険信号」
「テレビ朝日の報道で『世論操作の傾向と対策』がわかる」

私「r」の「鉄則」に見事なまでシンクロした報道姿勢
それを鑑みるとただ単に「視聴率至上主義」とは思えぬ胡散臭さときな臭さを感じるのは私「r」だけでしょうか?

フジサンケイは永い事「愛国保守」を錦の御旗に掲げ「右派的報道スタンス」をとっていたかに見えます。
しかし「新自由主義」と「愛国保守」が両立、そして共存できないことは既に佐藤優氏によって証明されました。
勿論、新自由主義と左翼思想も両立・共存は出来ないでしょう。
もし仮に両立・共存出来たとするならばそれは

「偽右翼思想」(保守亜流)
「偽左翼思想」(革新亜流)

と言う事になります。
そう考えると朝日新聞と産経新聞が一致することはある意味、至極当然なのでしょうね。

さて

大阪府において「橋下徹氏」が大暴れしています。
橋下府知事は全ての新聞テレビと共同で大阪府職員を叩き捲くっています。
その構図は嘗ての「小泉政権」の手法と酷似していますね。

「改革派 vs 抵抗勢力」

この図式です。
大阪府職員も職員で新聞テレビと橋下氏が「用意した土俵」に乗せられサンドバッグ状態です。
新聞テレビが入ると言う事は「好き勝手に編集されて偏向報道される事」を意味する、と大阪府職員は自覚すべきでしょう。

「自治労幹部は改革派とつながってるのでは?」

連合が怪しい動きをしている事を鑑みると穿《うが》った見方をしてしまいます。

「ネオリベ改革新党」

この動きは一部週刊誌・月刊誌やブログなどでかなり前から囁かれています。
私「r」もその可能性について追求してきました。

前原誠司氏」
小池百合子史」
小泉純一郎氏」

「自民党清和会(清和政策研究会)」
「民主党凌雲会
松下政経塾出身者」
小泉チルドレン(83)」

これらの「ネオリベ構造改革派」としか思えない人々が結集する、と皆が皆予測しています。
確かにそうでしょうね。
でも、構造改革の正体が日常生活から感じられるようになった現在の状況においてテレ朝など新聞テレビの偏向報道だけで「改革新党」が成功するでしょうか?

「非常に厳しい」

そう考えるのが普通ですね。
「構造改革派」自身がそれを一番実感しているはず。
となれば、彼ら彼女らは生き残りを賭けて「最後の大勝負」に出ること必定。
だからこそ

「冒頭の政治的ドラマ」

なのかも知れませんね。

前置きが長くなりましたが、結論に行きます。
以下は私「r」の勝手な予測ですので予《あらかじ》めご了承願います。

(但し私「r」の予測は外れる事を願って書いています。万一的中したら日本人にとって極めて重大な事になってしまいます。だからこそ、本気で外れる事を願っています)

改革新党の名称は

「カイカク新党『CHANGE』」となります。

スローガンは

「カイカクから変革へCHANGE!」

思想は「ネオリベ:新自由主義(市場原理主義急進派)」です。
外交に関しては「米国至上主義」です。
防衛は「9条改正」です。
「国際貢献」と称する米国追従主義がそのドグマ(教義)であり「日米同盟がうまくいけばすべてがうまくいく」と考えます。

改革新党の構成員ですが

党首候補として有力なのは「橋下徹大阪府知事」でしょうか?

(他の「某知事」が党首になる可能性もあると思います)

仮に橋下氏が党首になったとしましょう。
その場合

橋下氏が大阪府で実行しようとしている「緊縮財政政策」は正に小泉政権時の「骨太の方針」に近いものを感じます。
但し、橋下徹氏は現役の「大阪府知事」です。
党首にはなれても「内閣総理大臣」にはなれません。

(その件は後ほど・・・)

他には「東国原英夫宮崎県知事」など多くの「改革派知事」が結集するでしょう。
堂本千葉県知事や片山元鳥取県知事、浅野元宮城県知事などでしょうか?
当然

「せんたくメンバー」「脱藩官僚の会」

この方々も結集するでしょう。
そして前述の

「前原誠司氏」
「小池百合子女史」
「小泉純一郎氏」
「自民党清和会」
「民主党凌雲会」
「松下政経塾出身者」
「小泉チルドレン」

が結集するのではないでしょうか?

(但し小泉純一郎氏は自民党に残留すると思うのです。目的は自民党を封じ込める為でしょうね。代わりに「ご子息」が参加するかも?)

他には「石原慎太郎 with 石原ファミリー」でしょうか。

そして史上かつてないほど多くの「タレント・芸能人」も参加するかも知れません。
特に最近「キャスター」として売り出し中の「若手お笑い芸人」は参加の可能性が高いかも知れませんね。
多分、大手芸能プロダクション所属の「イケメンタレント」も数多く参加するかも知れません。

当然、新聞テレビはテレ朝を中心にNHKまでもが「偏向報道」を実行するでしょう。
そして一番肝心なのは

「自作自演のホニャララ」

これに便乗したプロパガンダに警戒せねばなりません。
まじめな話、自作自演のホニャララが「決行」されたら新聞テレビはそれ一色になります。
そうなったら間違いなく朝から晩まで「カイカク新党・党首」の勇ましい姿が活字に、そして映像に登場するでしょう。
それも「郵政解散総選挙」以上にです。

そして目出度く辛うじて「カイカク新党」が衆院で過半数を維持したら
参院野党は間違いなく分裂してカイカク新党に靡くでしょう。
その時です!

「カイカク新党・党首」

この人は新聞テレビを通じて国民に向かって絶叫するのです。

「私は知事であります、よって総理大臣になる資格はありません!されど民意が私を総理にしたい、と訴えている。でも私は筋を通したい!知事選挙区から衆院代議士候補に立候補して有権者のみなさんの声が聞きたい!」

そこでタイミングよく「知事選挙区」の衆院代議士が議員辞職するのです。
その形態が

「選挙違反による国策捜査による辞任なのか
「知事の熱いメッセージに呼応しての辞任なのか

何なのかはわかりません。
そして「劇場選挙第二弾」が始まるのです。

そして

「日本は世界最大の新自由主義国家に生まれ変わる」

その後の「阿鼻叫喚」は

読者の皆さんのご想像にお任せします。

(引用終了)

  

  

私は基本的に「r」さんの上記予測に同意する。この流れを阻止できなければ、日本の未来は潰えることになると思う。

  

6月30日午後10時「NHKスペシャル」は「大阪コストカット論争 借金5兆円・橋本知事の荒療治」はほぼ完璧な自民党広報番組だった。橋本知事は時代劇のヒーロー並みの取り扱いを受けていた。橋本知事は知事就任直後、NHK番組に30分遅れて到着したことを司会者に注意されたことに逆上してNHK番組出演拒否を宣言したから、その修復の意味もあったのかも知れないが、より大きな背景の下で番組は制作されたのだと考えられる。

  

橋下知事は大阪の財政再建に向けて文字通り粉骨砕身の努力を注ぐが、障害者への補助金や府民の安全にかかわる事項に関する予算維持要求に対しては真摯に耳を傾けて、きめ細かい対応を示していることなど、美談だけが強調されて描かれていた。NHKが完全に政治権力の広報部門に堕していることを鮮明に示す番組に出来上がっていた。

  

財政赤字深刻化の原因として、三つの要因を提示することができる。①府職員の人件費、②天下り機関などへの支出、大型プロジェクトへの投資、③歳出規模に対して歳入規模が構造的に小さいこと、の三つだ。

  

府知事として財政再建に取り組むのなら、②と③に力点を置くべきだと私は考える。一般府職員の給与水準が高いことよりも、高級官僚の天下り、天下り機関の整理を優先するべきだ。また、特定企業や政治家の利権の温床となっている大型プロジェクトを根本から見直すべきである。

  

天下り機関などへの支出を切り込み、歳出をスリム化して残存する赤字は構造的なもので、そのしわ寄せを府民に押し付けるのは正しくない。国家財政にも共通する問題だが、歳出入のバランスを確保するための制度変更が求められる。

  

橋下氏の手法は財政再建の焦点を府職員の給与カットに集中させているところに大きな特徴がある。府職員の給与カットによる財政赤字削減案を府民が歓迎するのは当然だ。府民に痛みは生じることなく、赤字だけが減るのだから。公務員はしっかり仕事もせずに高い給与を得ているとの怨嗟は一般府民の間に渦巻いており、府職員と対峙して給与減らしに奮闘する橋本知事をマスメディアが白馬の騎士として描けば、拍手喝さいが生じるのは当たり前だ。

  

しかし、一般府職員の所得水準決定においては、府職員の労働者としての権利が尊重されなければならないはずだ。民間企業の場合でも、労働者の賃金は労働者の権利が尊重されるなかで、労使の交渉によって決定されることが、憲法上の労働者の権利として保障されている。弁護士である橋本知事が、マスメディアの翼賛報道と府民感情にのみ依存して、労働者の権利を軽視して横暴に振る舞うことは是認されるべきでない。

  

府職員の給与は府職員の生活を支える糧である。府職員が職場で勤勉に働き、窓口での対応を改善して、府民に対するサービスを充実させるために橋本知事が奮闘するなら、その努力は歓迎される。やみくもに給与引き下げをごり押しする前に、府職員の労働の質を高めることが検討されるべきだと思う。このような対応では、職員の労働モラールは低下するばかりであろう。優れた民間企業経営者は賃金カットを絶叫する前に、雇用者のインセンティブや労働の質の改善に注力するはずだ。

  

橋下知事は府職員の労働コストに照準を合わせている。「十分勤勉に働かずに賃金要求だけに熱心な府職員」のイメージを府民や国民に印象付けて、知事はこうした「抵抗勢力」と闘う「白馬にまたがる正義の騎士」であるとアピールするのだ。

  

橋下知事が府職員の給与カットを断行するなら、自らの所得水準もその水準に引き下げるべきだ。交渉にあたる労働組合関係者から、知事は公務以外のタレントとしての収入を得ているではないかとの質問が飛ぶのは順当である。

  

話がやや横道にそれたが、政府与党は、次期総選挙に向けて、一般公務員をスケープゴートにして、国民の支持を確保しようと企んでいると考えられるのだ。一般公務員は換言すれば「自治労」ということになる。社会保険庁の杜撰な年金記録問題も、その責任は政府が負うべきであるが、政府与党は職員である一般労働者に責任を転嫁しようと考えているのだと思われる。

  

8月に「CHANGE」を標榜する勢力が新党を立ち上げる可能性が高い。自民党内では中川秀直氏が「上げ潮派」として「官僚利権打破、歳出削減優先、成長促進政策」の旗を掲げ、小池百合子元環境相、渡辺喜美行革相、武部勤自民党元幹事長、小泉チルドレンが連携する動きを強めている。

  

自民党外部では、江田憲次衆議院議員、高橋洋一氏、岸博幸氏などを中心に「脱藩官僚の会」が結成される見通しだ。これらの動きの背後に小泉純一郎元首相、竹中平蔵氏、飯島勲氏などが蠢いている。

  

「r」さんが指摘するように、前原誠司氏を中心とする「民主党凌雲会メンバー」、「松下政経塾出身者」が民主党から脱藩する気配を示し始めている。ここに、橋本大阪府知事が名前を連ねる可能性は十分に考えられる。

  

しかし、気をつけなければならないことは、これらの新勢力が目指す方向が小泉政権が指し示した「弱者切り捨て-弱肉強食容認-拝金主義礼賛の市場原理至上主義」であると同時に、対米隷属路線であることだ。

  

新勢力は自民党と連携することが確実だ。新政党と自民党との連立によって政権を維持することが目指されている。新勢力は官僚利権根絶の旗を掲げる可能性があるが、自民党との連立政権で官僚利権根絶が実現する可能性はゼロである。

  

しがし、これらの新しい動きは国民の目を引く可能性がある。権力迎合のマスメディアは、新勢力を礼賛する翼賛報道を大規模に展開する可能性が高い。民主党から新政党に脱藩する者が多数発生すれば、秋に小沢一郎氏が民主党代表に再選されても、民主党は勢いを完全にそがれる。新党の人気が高まれば、秋に総選挙を実施しても、自民党と新政党で過半数を確保することが可能になる。

  

しかし、これらの見かけ上の変化は、実態的な変化を国民生活にまったくもたらさない。むしろ本当に必要な変化が実現するチャンスは半永久的に閉ざされる結果をもたらすに違いない。

 

格差は放置され、障害者、高齢者、母子世帯、生活困窮者など、生存権が脅かされている人々に対する政治の責任は一段と無視されることになるだろう。ごく一部の特権階級の企業および人間と外国資本だけが優遇され、日本古来の潤いのある社会風土は根絶されることになるだろう。

  

民主党を中心とする野党勢力は、次期総選挙に向けて、政策綱領を早急にまとめて国民に提示しなければならない。人間性を崩壊させる市場原理至上主義の政策に代えて、人間尊重の政治、独立自尊の外交、官僚利権根絶の政策を明確に打ち出すべきである。残された時間は限られている。早ければ決戦の火ぶたは今秋にも切って落とされる。野党の行動開始が求められている。

  

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2008年7月 1日 (火)

不況突入の日本経済に逆行する福田政権

  

7月1日、日銀短観2008年6月調査結果が公表された。企業の景況感悪化はより鮮明になり、日本経済が景気後退局面に移行したことは確実な情勢になった。原油価格上昇に伴い、ガソリン価格も天井知らずの上昇を続け、生活関連物資の値上げもラッシュの様相を示している。

  

このなかで、福田政権は後期高齢者医療制度を強硬に発足させて高齢者いじめの政策を推進し、年金記録問題では政府公約を反故にしながら、まったく誠意のある対応を示していない。7月7日から9日にかけて開催されるサミットを支持率回復に利用しようとの私的な利害だけが優先されている。

  

政治は国民の幸福を実現するために存在する。政治が国民生活の苦しみを知ろうともせず、ごく一部の者の利益だけを考えて行動するなら、主権者である国民はそのような政府を、政治権力を掌握する地位から退場させるべきである。次期総選挙は国民が叡知を結集して政権交代を実現させる舞台になる。一つ一つの重要な問責対象を整理して記憶してゆかねばならない。

  

  

温暖化ガスの排出権取引の基準となる排出量を拙速に決定するべきでない。消費税増税の論議がかまびすしくなってきているが、消費税増税論議に入るための前提条件がまったく整っていない。机上の財政再建目標よりも、生身の国民の生存権が尊重されなければならない。福田政権の誤りを明確に示し、国民が福田政権にNOの意思を示す正当性を確立しなければならない。

 

   

7月1日に発表された日銀短観2008年6月調査では、大企業製造業の業況判断DIが3月調査のプラス11からプラス5へ、6ポイント低下した。非製造業ではプラス12からプラス10へ2ポイント低下した。

  

大企業製造業の業況判断DIは、2003年9月調査以来、4年9ヵ月ぶりの低水準になった。日本経済は昨年末を転換点に景気後退局面に移行した可能性が高い。

  

  

中小企業の業況判断DIは、製造業が3月調査のマイナス6からマイナス10へ4ポイント悪化、非製造業ではマイナス15からマイナス20へ5ポイント悪化した。中小企業で業況判断DIがプラスの業種は、製造業15業種中5業種、非製造業12業種中の1業種のみになった。中小企業の業況は完全に不況のさなかに回帰している。

  

今回の景気回復局面は2002年1月に始動したとされ、景気回復の期間では戦後最長とされているが、中小企業のほとんどは景気回復とは無縁だった。素材および組立て加工の製造業においては、中小企業でも業況が一時改善したが、軽工業および非製造業は景気回復から取り残されたまま、新たな不況に突入している。

   

  

2008年度の企業経常利益は大企業で7.0%減少、全規模合計で4.4%減少する見通しである。7年ぶりに減益が見込まれている。全産業全規模合計の設備投資は2008年度1.4%減少する見通しが示された。また、販売価格、仕入価格判断では、価格上昇の見通しが一段と強まっている。

    

大企業の企業収益が過去最高を更新し続け、日本経済の回復期間が長期化するなかで、国民生活が浮上してきたかのような錯覚が広がっているが、小泉政権が登場して以来、日本経済の歪みは拡大の一途をたどってきた。

  

非正規労働者が激増し、一生懸命働いても年間所得が200万円に満たない「ワーキングプア」と表現される若年労働者が激増した。障害者、高齢者、母子世帯などに対する社会保障政策は無情に切り込まれてきた。一般勤労者も、特別減税や配偶者特別控除制度廃止などに伴う個人所得税増税、年金保険料増加、医療費本人負担増加などの負担増加政策にあえいできている。

  

  

本年5月の全国消費者物価指数は生鮮食品を除くベースで前年同月比1.5%上昇し、消費税率引き上げの影響があった1998年3月以来、ほぼ10年ぶりの高い伸び率を記録した。前年同月比上昇は8ヵ月連続で、消費税率の影響を除くCPI上昇率では、1993年3月の前年同月比1.6%上昇以来、15年2ヵ月ぶりの高い上昇率になった。

  

7月1日からは、ガソリンの店頭販売価格が1リットルあたり10円以上も値上がりし、6月30日には、各ガソリンスタンドに給油しようとするマイカーの長蛇の列ができた。ティッシュペーパーなどの生活必需品も7月1日から軒並み値上げされたことから、6月末のスーパーマーケットには生活を防衛しようとする消費者が多数押しかけた。

  

  

小泉政権が敷いた「弱者切り捨て=弱肉強食容認=拝金主義賞賛の市場原理至上主義」は日本経済の根幹を崩壊させつつある。汗水流して頑張った人が相応に報われることが尊重される土壌のなかで、相互信頼と相互扶助の精神を支えてきた広範な中間層が音を立てて崩壊しつつある。

  

さまざまな事情で生存権を脅かされている人々に、政府が適正に手を差し伸べて、基本的人権を適正に尊重するのが現代の福祉国家の当然の責務で、その方向に進むべき日本政府が、小泉政権以降、正しい目標から完全に背を向けた。

  

金融市場の特性を悪用して不正に巨大な利得をあげる人物を「頑張った人が報われる社会の成功者」として絶賛し、命がけで制度変更を阻止しようとした障害者に見向きもせずに、非情な障害者自立支援法を強行採決で成立させ、「姥捨て山制度」と称せられる後期高齢者医療制度を無理やり実施してきたのが小泉政権以降の自公政権である。

  

  

福田政権は、さらに消費税増税に具体的に動き始めた。国民本位の社会保障制度を構築し、官僚利権を根絶し、国民生活をしっかりと支える政策運営を示したうえで、最終的に国民負担増加が必要になるなら、国民は応分の負担を進んで受け入れるはずだ。しかし、現状はこれらの条件が何ひとつ整っていない。次期総選挙で自民・公明政権が延命したなら、必要な政策を示さずに必ず大増税に進むはずだ。

  

  

消えた年金記録問題で明白に示されたように、自公政権の選挙公約は守られない。選挙だから日本語を縮めて表現したと弁解し、事後に公約違反を問われてもとぼけ通す政権なのだ。

  

  

日本経済はすでに不況に突入している。過去の事例を見ても、財務省が主導する政権は、不況の初期に緊縮政策に執着して不況を深刻化させる性癖を保持している。今般の不況に際して、最も有効な不況緩和政策は「ガソリン暫定税率の廃止」だった。ガソリン暫定税率の適用期間を再延長する法律案は2008年3月末までに成立せず、4月にはガソリン税率が本則基準に戻った

  

ところが、福田政権は衆議院の与党多数の数の力で、参議院の決定を無視して、2.7兆円の増税を実施してしまった。不況初期の2.7兆円増税が日本経済に及ぼす強い下方圧力は計り知れない。

  

格差拡大、弱者切り捨ての経済政策は、非常に優秀で柔軟な能力を持つ、層の厚い中間層を破壊し、日本経済の基礎力を弱めているだけでなく、深刻な社会情勢を生み出す原因にもなっている。

  

秋葉原での殺傷事件は、派遣労働者の厳しい労働条件を改めて世に知らせる結果をもたらした。事件を経済政策と直接結び付ける考えはないが、若年労働者の就労機会の悪化が大きな社会問題になっていることは否定できない。

 

   

福田政権は国民生活の苦悩をよそに、洞爺湖サミットでの得点稼ぎに余念がなく、権力迎合のNHKをはじめとするマスメディアは「エコエコ報道」に狂奔している。この問題については、改めて考察したいが、温暖化ガスの総排出枠の決定には恣意性が残り、実態に合わない枠を設定すると資源配分に歪みが生じることを忘れてはならない。

  

環境省は京都議定書での目標実現のために年間6094億円の予算が必要になるとの試算をまとめた。現在の関連予算と合わせると2009-11年度で毎年1.1兆円が必要になるとのことだ。

  

  

洞爺湖サミットでは、会議に伴い発生する温暖化ガスを外部から購入、取得する排出枠で相殺して、差し引きゼロにすると喧伝されているが、システム全体の整合性、完全性を考慮せずに机上の数字合わせをしてみたところで、単なる自己満足の域を出ない。

   

そもそも、地球温暖化仮説に対する懐疑論が根強く残るなかで、科学的根拠の精密な分析を棚ざらしにしたままの政治主導での環境問題論議からは、巨額の政府予算に伴う利権まみれの利害関係者の行動が透けて見えてくるだけだ。

  

環境問題への巨額の国費投入、消費税論議、社会保障関係費の切り込み、格差拡大の放置、景気悪化への無関心、天下り利権の温存、のすべての政策において、政策の優先順位の誤り、政策の方向の誤りを感じないわけにいかない。心ある国民が次期総選挙での政権交代に全力をあげて取り組むことになるのは当然の帰結である。マスメディアの報道にも問題があるが、野党による国民への強いアピールが求められる。

  

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