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2008年7月29日 (火)

745億円原油高対策の浅ましい魂胆

福田政権が745億円の漁業者向け原油高対策を決めた。福田政権の浅ましい魂胆を象徴している。7月20日付記事「漁業被害過剰報道の裏側」に記述したように、政府与党は次期総選挙への影響を計算して漁業者向け対策を決めた。

こうした財政政策出動は、2011年度基礎的財政収支黒字化の目標を掲げる福田政権の基本方針に矛盾する。

政府は漁業者の苦境をクローズアップさせて、財政支出追加が正当な政策であるように偽装した。

同時に、漁業者の苦境をクローズアップさせることにより、重要な問題に迅速に対応する政府の印象を広めようとしている。

いずれも、支配下のマスメディアを総動員しての演出だ。

①原油高騰が進行するなかで、政府施策の宣伝効果における費用対効果を考慮し、漁業者対策を実施することを決める。

②マスメディアを総動員して漁業者被害を過剰報道させる。同時に漁業者関係団体が大規模示威行動を行うことと連携する。

③漁業者に限定した補助金行政を実施する。

これらの流れは当初から計算されたものであったと考えられる。

目的はただ一つ。「次期総選挙での政権交代を阻止し、政治権力=悪徳利権を死守すること」

「政・官・業・外・電 悪徳のペンタゴン」が総力を挙げて利権死守に動いている。マスメディア情報は完全にコントロールされていると認識する必要がある。

2009年度予算概算要求基準47.8兆円が政府与党の政策懇談会で了承された。7月29日付日経新聞2面記事は、福田首相の「とにかく選挙に勝たなければならないから」の言葉を紹介した。

大田弘子経財相は、「(基礎的財政収支)黒字化目標は必ず達成する。方法は三つしかない。歳出削減、成長力強化による税収増で足りなければ増税だ」(2008年7月23日付中日新聞)と述べている。

日本経済は本年年初から景気後退局面に移行した可能性が高い。2001年に小泉政権が発足して以来、弱肉強食奨励の経済政策が跋扈した。大企業は史上最高益を更新し続けたが、中小企業は不況に取り残されたままだった。

人間性を破壊する企業の労働コスト削減が奨励され、非正規雇用とワーキングプアが激増した。生活苦に直面しているのは漁業者だけでない。

本年4月にガソリン税の暫定税率が期限切れとなり、税率は本則基準に戻った。

ガソリン税は1954年に道路特定財源となり、1974年に租税特別措置法により「暫定的に」税率が上乗せされた。その後、暫定税率は3度引き上げられたが、「暫定的な」税率が34年間も継続した。

2008年度当初予算案での揮発油税および地方道路税の見積もりは5兆4043億円で、暫定税率部分は2兆6004億円だ。

暫定税率撤廃により、2008年度合計で2.6兆円の減税効果が得られたはずだった。

巨額の「特別増税」が34年間も継続して実施されてきたのである。直近の増税規模は1年あたり2.6兆円でGDP比約0.5%だ。民主党を中心とする野党が暫定税率の適用期限延長に反対し、暫定税率は期限切れになり、34年ぶりにガソリン税率が本則基準に戻った。

ところが、福田政権は衆議院の3分の2以上の多数の力で暫定税率を復活させた。直近の有権者の意思を反映する参議院の決定を踏みにじる暴挙だ。まさに「権力の濫用」である。

ガソリン価格が1リットルあたり25円値下がりすることが、もっともバランスのとれた原油高対策である。漁業関係者が使用する重油に恩恵が行き渡らないなら、同程度の施策を検討すればよい。

福田政権はガソリン税の暫定税率を復活させたうえ、道路特定財源を一般財源化する方針を決定した。

ガソリン税の増税を維持したまま、ガソリン税を全額一般財源化するわけだ。これを最も望んでいるのは財務省である。

世間一般に「特定財源=悪、一般財源=善」の図式が流布されているが、これは財務省が財務省の利権拡大のために流布しているものだ。財務省利権の最大の擁護者だった小泉元首相も「一般財源化」を主張していた。

一般財源化論議の本質は「税源」という「利権」をめぐる争奪戦にすぎない。「道路族」と「国土交通省」は「道路特定財源」を追求し、「財務族」と「財務省」は「一般財源化」を追求している。

原油高は漁業関係者だけでなく、国民生活全般に重大な影響を及ぼしている。漁業関係者の燃料費についてだけ、価格上昇の9割を政府が負担する施策の矛盾を追及しなければならない。

自民党は補助金付与の政策を選好する。特定業種向け施策、補助金付与こそ、利権の温床になるからだ。

補助金付与に対して、制度減税は利権にしにくい。国民の視点に立てば、制度減税が望ましいことは明白だ。不透明な補助金付与策より、ガソリン税の暫定税率廃止の方が格段に優れた施策である。

また、社会保障費の自然増2200億円を削減する方針が維持された。

「国民を幸福にするために政府が存在する」基本認識が欠落している。

「国民は利権維持の観点から選挙で与党に投票させる対象であり、政権与党にとっては権力を維持するための道具にすぎない」との発想がはっきりと浮かび上がる。

国民は現実を直視して、次期総選挙で「国民の幸福を第一に考える政府」を樹立しなければならない。

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