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2008年6月20日 (金)

劇場型政治手法の再来

神州の泉様ミクロネシアの小さな島・ヤップより様こわれたおもちゃをだきあげて様高原千尋の暗中模索様空に向かって様オホーツクの詩季様、貴重なご高見、ならびに記事の紹介ありがとうございました。深く感謝申し上げます。

  

自民党内の政策論争が激化しているように見える。「財政再建派」と「上げ潮派」の意見対立である。

  

  

福田首相に対する問責決議案が憲政史上初めて参議院で可決され、有権者の多数が衆議院の解散総選挙を求めている。マスメディアが国民世論を尊重して、解散総選挙を求める論調を強めれば、政治は国民の意思を問う総選挙に向かう局面だ。

  

  

しかし、マスメディアは解散総選挙を求める論陣をまったく示していない。政治権力は現時点での総選挙を封印しようと強い意志を持ち、政治権力に支配されたマスメディアは政治権力の意向を代弁して、解散総選挙への流れを阻止するための情報操作を実行している。

  

  

自民党は次期総選挙までの時間を少しでも多く稼ぎ、その期間に支持率回復を図る考えを有している。そのための基本戦術は、政治論議の劇場化、壮大な三文芝居の再演であるように感じる。

 

  

私は6月3日付記事「「敵を欺くにはまず味方を欺く手法」に警戒すべし」に、以下のように記述した。

  

「小泉政権以来の常套手段は、与党内に反対論を存在させ、政府決定がその反対を押し切って決定されたように装うことである。政権が与党内の強い反対を押し切って新制度を導入したとの演出を凝らす。政府御用の報道番組はその装いの上に「報道」の装飾をさらに重ね合わせる

  

自民党内でこれから「財政再建派=増税派」VS「上げ潮派=歳出削減派」の対立が演出されることになる。「上げ潮派」は消費税の増税よりも歳出削減、「小さな政府」を主張し、財務省とも対立する素振りを示すと考えられる。

   

財政再建派は社会保障制度の安定性確保のための消費税増税を主張する。だが、総選挙を控えて与党が増税方針を最終的に決定する可能性はゼロである。最後は「歳出削減派」が勝利する。小泉元首相と中川秀直氏を中心とする新しい政治勢力が自民党を最終的に代表することになるだろう。麻生氏が担がれる可能性もある。同時に自民党は選挙に不利な増税も真剣に論じる政党であることをアピールする。」

   

 

また、6月17日付記事「「政治的」テレビドラマと今後の政治日程」には、以下のように記述した。

   

「現在、自民党内部で「官僚権力温存」と「官僚権力打破」の対立が存在するかのような演出が進められつつある。月9ドラマ『CHANGE』は、この対立図式で描かれる自民党内の二つの勢力のうち、「官僚権力打破」を装う勢力にとっての推進力として活用されようとしているのだと考えられる。

  

小泉元首相、中川秀直元自民党幹事長、小池百合子元環境相、そして小泉チルドレン、さらに旗揚げされた「脱藩官僚の会」が連携する可能性がある。6月16日の朝日新聞は、「脱藩官僚の会」が8月下旬の臨時国会召集前に設立総会を開く予定であると報じている。

   

月9ドラマ『CHANGE』は、通常の4月スタートでなく異例の5月12日スタートになったが、1クール=3ヵ月で最終回を迎えると、8月上旬が最終回になる。「脱藩官僚の会」設立総会開催に向けてドラマ最終回が準備されるとも読み取れる。

   

「敵をあざむくにはまず味方をあざむく。これ権謀術数の第一歩と心得よ」の言葉をもう一度、吟味する必要があるようだ。」

  

  

  

「官僚利権の根絶。経済成長による税収の確保。消費税増税などの増収措置は官僚利権を根絶したうえで着手すべし。財政再建目標は経済成長の促進と無駄な政府支出の排除によって達成可能である。」

  

この主張は私の持論である。2001年に小泉政権が発足した時、私はこの主張を掲げて小泉政権に対峙した。小泉政権は「成長率引き上げによる税収増大の主張は空論である」として、徹底的な超緊縮財政に進んだ。

  

  

官僚利権の中核は「天下り」であって、「天下り根絶」こそ「改革の本丸」であるとの私の主張に対して、竹中平蔵氏は「天下り問題は瑣末な問題」と議論に応じることもしなかった。

  

  

  

ところが、いま、この持論が、そっくりそのまま「上げ潮派」と呼ばれる人々によって使用されている。私は8月に設立総会が開かれる予定の「脱藩官僚の会」が自民党の「上げ潮派」と結託する可能性が高いとにらんでいる。

  

  

フジテレビ月9ドラマ「CHANGE」最終回はこの政治新勢力結成に照準を合わせているように考える。小泉元首相、中川秀直自民党元幹事長、小池百合子元環境相、武部勤自民党元幹事長、渡辺喜美行革相、小泉チルドレンが連携する可能性が高い。

  

  

脱藩官僚の会に名を連ねる高橋洋一氏、岸博幸氏らの裏側には竹中平蔵氏が位置している。そして、全体の裏側にフジテレビドラマ「CHANGE」を監修している飯島勲元首相秘書官が位置すると考えられる。

  

  

  

  

新勢力結成に際して、民主党から「脱藩」する議員が出る可能性もある。民主党凌雲会の前原誠司元民主党代表は小沢一郎民主党代表への批判を強めており、小泉元首相との勉強会にも名前を連ねている。民主党を分裂させる構想を有している恐れもある。

  

  

「経済成長重視」、「増税よりも歳出削減優先」、「天下り根絶」の組み合わせは私が永年主張してきた政策の骨子であり、対極に位置していたのが小泉政権だった。小泉政権の政策を全面的に支持してきたのが、中川秀直氏であり、竹中平蔵氏だった。これらの人々が、経済政策の基本路線を全面的に転換したことは驚きである。

  

  

過去の経緯はどうであれ、正しい政策が実行されることが大切だから、この政策方針が実行に移されることは望ましい、しかし、私はさらに二つの重要な柱が加えられなければならないと考えている。

  

 

「弱者の適正な保護」と「独立自尊外交」だ。この点に関して上記の政治勢力に多くを期待することは残念ながらできない。「弱者切り捨て」は容赦なく進められており、外交政策路線は完全な「対米隷属外交」である。

 

  

「官僚利権根絶」の主張も疑わしく思う。実現した国家公務員制度改革は改革の名に値するものではない。キャリア官僚制度が官僚利権自己増殖の大きな背景だが、新制度では名称が変更され、微小に人事運営が変更されるだけである。天下りの決定部局は変更されるが、天下りが逆に制度として固定化されるリスクの方が高い。

  

  

  

自民党内での路線対立を演出して、マスメディア報道を自民党に集中させる。自民党内の異論を押し切って、国民本位に見える政策を自民党の政策として決定させる。反対する勢力が「抵抗勢力」で推進する勢力が「改革勢力」=「正義の勢力」との図式をイメージ化し、正義の勢力が勝利を収めることによって、国民の支持を吸収する。

  

  

小泉政権の劇場型政治演出がいま、再現されようとしている。繰り返すが、官僚主権構造と自民党支配の政治構造とは表裏一体をなしている。小泉氏-中川秀直氏-竹中平蔵氏が実権を保持していた期間に、官僚利権は排除されず、増強された事実を忘れてはならない。

  

   

 

民主党の真の改革推進勢力が軸となり、本当の意味の「改革路線」を明確に打ち出さなければならない。「官僚利権根絶」=「天下り根絶」、「弱者保護」、「独立自尊外交」を基軸に据えた「真の改革」政策プログラムを提示し、国民に真実を知らせてゆかなければならないと思う。

 

  

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