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2008年6月18日 (水)

「政治的」テレビドラマと今後の政治日程

6月3日記事および6月10日付記事に記述したフジテレビ月曜9時ドラマ『CHANGE』について、「週刊ポスト」2008年6月27日号(小学館)が「キムタク総理『CHANGE』は飯島勲元秘書官に操られている!?」と題する記事を掲載した。

 

この問題を早くから指摘してきたのは、まぐまぐメルマガ大賞政治部門1位の「国際評論家小野寺光一の「政治経済の真実」」で、直近のメールマガジンでもこのことを指摘している。小野寺氏の情報は非常に早い。

 

上記「週刊ポスト」記事は、『CHANGE』のエンドロールに「監修 飯島勲」の名が示されることを指摘している。監修者には時事通信社解説委員の田崎史郎氏が名を連ね、「政治指導」のクレジットで渡辺喜美行革担当相の秘書・田中良幸氏が協力していることも明らかにしている。

「放送法」第1章総則第1条(目的)には以下の規定がある。

第1条 この法律は、左に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。

1.放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。

2.放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。

3.放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。

  

また、第3条の2(国内放送の番組の編集等)に以下の規定がある。

第3条の2 放送事業者は、国内放送の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。

1.公安及び善良な風俗を害しないこと。

2.政治的に公平であること

3.報道は事実をまげないですること。

4.意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

  

第1条の「放送の不偏不党」、および第3条の「政治的に公平であること」の規定に、『CHANGE』が抵触していないかどうか、検討が求められる。

  

小野寺氏が指摘してきたように、『CHANGE』は飯島勲氏の著書『代議士秘書-永田町、笑っちゃうけどホントの話』(講談社文庫)をベースに制作されている可能性が極めて高い。「週刊ポスト」の上記指摘はこのことを明確に示している。

  

  

小野寺氏は、第1回放送での、阿部寛扮する199勝1敗の選挙プランナー韮澤勝利が、主演の木村拓哉扮する朝倉啓太(第3話で総理大臣に就任)に叫ぶ、

 

「いいか 選挙は日本でできる唯一の戦争だ」

  

の台詞が飯島勲氏の上述著書第二章78ページからの小章「選挙は日本でできる唯一の戦争だ」末尾(82ページ)にある、
  

教訓「選挙とは武器を使用しない、日本でできる唯一の戦争なり。

 

敵をあざむくにはまず見方をあざむく。これ権謀術数の第一歩と心得よ」

  

と一致していると指摘した。

   

6月3日付記事に記述したように、第4回放送でのダム建設をめぐる行政訴訟で朝倉首相が「国は控訴しないことを決定した」と述べるシーンが、小泉元首相がハンセン氏病訴訟で控訴断念を決する場面と重ね合わせられていることは明白だ。

  

 6月10日付記事に記述したように、第5回放送では、朝倉首相が日本の国益を最重視して、米国との通商摩擦を見事に切り抜けるストーリーが展開された。木村拓哉扮する朝倉啓太首相を小泉元首相のイメージに重ね合わせようと演出しているようだが、実際の小泉政権は日本の国益を放棄して、ひたすら米国の国益のために行動した疑いが濃厚である。

  

視聴者が十分な政治経済の知識を持って、批判的検討を加えながらドラマを視聴するなら良いが、深く考えずに単なる娯楽番組と捉えてしまうと問題は重大だ。ドラマ放映が政治的に利用され、視聴者が政治的に誘導される危険性が極めて高い。

  

日本の最大の構造問題は財務省を中核とする「官僚主権構造」にあると私は訴え続けている。「官僚主権構造」の問題とは、①官僚機構が意思決定の実権を握っている、と同時に、②官僚機構が国民の幸福を追求せずに、自己の利益増大を追求していること、③政治がこの現状を「改革」しようとせずに「温存」していること、である。

   

日本の真の改革は、「官僚主権構造」を打破して、根本から国民主権の構造を再構築することだ。「官僚主権構造」は「自民党一党支配構造」と不可分に結びついてきた。小泉政権は「改革」の看板を掲げたが、「官僚主権構造」には指1本触れることすらできなかった。小泉政権の5年半に官僚機構の実質的な権力は増強されたと言って間違いない。

  

官僚機構の中心に位置するのが財務省である。また、政権は強大な権力を行使するために警察・検察・裁判所支配を強めてきた。これらの官僚機構の権限を強化し、その権力の上に自民党政権が位置することによって、強大な権力構造をさらに増強させてきたのだ。

  

現在、自民党内部で「官僚権力温存」と「官僚権力打破」の対立が存在するかのような演出が進められつつある。月9ドラマ『CHANGE』は、この対立図式で描かれる自民党内の二つの勢力のうち、「官僚権力打破」を装う勢力にとっての推進力として活用されようとしているのだと考えられる。

   

小泉元首相、中川秀直元自民党幹事長、小池百合子元環境相、そして小泉チルドレン、さらに旗揚げされた「脱藩官僚の会」が連携する可能性がある。6月16日の朝日新聞は、「脱藩官僚の会」が8月下旬の臨時国会召集前に設立総会を開く予定であると報じている。

  

月9ドラマ『CHANGE』は、通常の4月スタートでなく異例の5月12日スタートになったが、1クール=3ヵ月で最終回を迎えると、8月上旬が最終回になる。「脱藩官僚の会」設立総会開催に向けてドラマ最終回が準備されるとも読み取れる。

  

「敵をあざむくにはまず味方をあざむく。これ権謀術数の第一歩と心得よ」の言葉をもう一度、吟味する必要があるようだ。結論から言えば、自民党政権が官僚支配構造を破壊することは不可能である。自民党政治は官僚主権構造と不可分の関係にある。このことは、「改革」を標榜した小泉政権が官僚利権に対してまったくメスを入れられなかったことが明確に証明している。

  

「官僚権力打破」を標榜すると予想される新しい政治勢力の旗揚げは、「まず味方をあざむく」ためのものである可能性が高い。自民党がいま本気で恐れているのは、次期総選挙での敗北=政権からの退場である。民主党の支持率が自民党を上回っている現状で解散総選挙が行われれば、政権交代が現実のものになる可能性が極めて高い。

  

自民党が権力維持を目的に、再び壮大な三文芝居に打って出る可能性があると考える。しかし、政権交代なくして真の日本の改革はあり得ない。「見せかけの改革」に国民は騙されてはならない。「脱藩官僚の会」がたとえば民主党と連携して「天下り根絶」、「官僚主権構造打破」を示すのなら、性格はまったく異なるものになるだろう。その場合には「真の改革」が実現する道も開けるだろう。

  

現実には、これまで権力を掌握してきた自民党勢力が今後も引き続き権力を維持するために、味方をも欺きつつ、「改革」の演出を大規模に展開する可能性が高いのではないかと考える。民主党は手をこまぬいて事態を静観してはならない。既得権益を打破するには、権力の交代が不可欠である。民主党は野党共闘を視野に入れて政権奪取に向けての政策綱領を提示するとともに、政界大再編の可能性を十分に考慮して政治的戦術を綿密に構築しなければならない。

 

(追記)

「_~山のあなたの空遠く幸い人の住むという~」ブログ主宰者様、いつもインパクトの強いビジュアル版をご提供くださいましてありがとうございます。

  

  

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