『マスコミはなぜ「マスゴミ」と呼ばれるのか』-日隅一雄弁護士近著-
5月22日、参院外交防衛委員会は守屋武昌前防衛次官による汚職事件を巡って贈賄罪などで公判中の防衛専門商社「山田洋行」元専務、宮崎元伸氏を証人喚問した。宮崎氏は旧防衛庁が発注した福岡・苅田港の旧日本軍毒ガス兵器処理事業で、日米平和・文化交流協会の秋山直紀専務理事に対して、「漁協や暴力団の現地対策費で1億円出してくれと言われた。現地対策費として払った」と証言した。
また、額賀福志郎財務相などとの接点については、「額賀先生と20人近い会合で会った。宴会の終わりころに顔を出した。中国のお客さんの関係で会食した」、「赤坂のカラオケ・スナックで守屋さんと額賀先生と1度会った。8人しか座れないカウンターの店。額賀先生の友人が電話で呼んだ」と証言した。
日米平和・文化交流協会の秋山直紀専務理事については、米国の複数の法人をめぐりコンサルタント料などの脱税の疑いが浮上している。今年1月の参考人招致では、旧防衛庁が発注した福岡・苅田港の旧日本軍毒ガス兵器処理事業をめぐる山田洋行側からの1億円の資金提供を「一切ない」と否定した。
また、額賀福志郎財務相は一連の防衛汚職事件で、昨年末から守屋、宮崎両氏らとの宴会疑惑について、「大勢の中で(同席したこと)はある」などと国会答弁などで繰り返してきた。宮崎氏は現職大臣との接点をはっきり認める証言をした。
参院外交防衛委員会は理事会で宮崎氏の証人喚問のテレビ中継などを許可することを決定し、証人喚問の冒頭で正式に議決した。これに対し、与党側は「宮崎氏が難色を示している」として録音も含めて行わないよう求めて反発した。結局、報道機関のテレビ中継などに反対する与党が冒頭から欠席しての証人喚問になった。全会一致で開催を決めた証人喚問を一部政党が欠席するのは極めて異例とのことだ。
防衛省改革案についての論議が本格化するなかで、宮崎氏証人喚問は客観的に判断すれば、間違いなく今日のトップニュースだった。しかし、NHK「ニュース9」、テレビ朝日「報道ステーション」は、証人喚問ニュースを「その他の今日の出来事」の扱いで報じた。ニュース報道の大半は、「四川大地震」、「ミャンマー被災」、「薬物自殺事件」などに充てられ、NHKは社会保障と国民負担についての自民党議員2名のインタビューに多くの時間を割り当てた。
昨日の私の『「アサヒ芸能」名誉毀損損害賠償請求訴訟での勝訴』のニュースも、主要メディアの扱いは極小だった。日経新聞はネットで配信しても本紙には掲載せず、朝日新聞に至ってはネットにも掲載しなかった。司法記者クラブでの記者会見にはテレビカメラが何台も持ち込まれたが、私の確認する限りテレビ報道は無かった。私の事件報道との非対称性は鮮明である。
元新聞記者で弁護士の日隅一雄氏が『マスコミはなぜ「マスゴミ」と呼ばれるのか』を出版された。私も拙著『知られざる真実-勾留地にて-』でNHK問題を論じたが、現代日本の腐敗し切ったマスメディア状況が詳しく論じられている。第3章では言論弾圧がインターネットの世界にも波及しつつある現実を明らかにしている。
メディア・コントロールが日本の民主主義を崩壊させつつある。真の言論人はこの危機の本質を明らかにし、手遅れになる前に行動する責務を負っている。
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