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2008年5月29日 (木)

自民党が恐れる最大の存在は小沢一郎民主党代表である

自民党が最も恐れている存在は民主党の小沢一郎代表なのだと思う。小沢氏は2006年4月7日、偽メール問題で失脚した前原誠司前代表の後継として民主党代表に選出された。選出直後の4月23日、衆院千葉7区の補欠選挙で民主党を勝利に導き、民主党の危機を救った。同年9月12日の民主党代表選で無投票再選された。本年9月には代表の任期が満了し、選挙が実施される。

 

昨年7月29日の参議院選挙では、小沢代表は29ある1人区が勝敗の鍵を握ることを看破し、年金、子育て、農業に焦点を当てる選挙戦を指揮した。民主党は60議席を獲得し、参議院第1党の地位を確保するとともに、野党は参議院で過半数の議席を得た。衆参ねじれ国会はこの時に生まれた。

  

安倍政権は内閣改造を強行したが結局総辞職に追い込まれ、9月26日に福田政権が発足した。11月2日、小沢代表は福田首相との党首会談に臨み、自民党と民主党による大連立の提案を党に持ち帰ったが、民主党役員会で反対され、11月4日に代表辞任の意向を表明した。民主党は慰留工作を展開し、小沢氏は代表に留任した。

  

本年4月27日の衆院補欠選挙は福田政権が発足して初めての国政選挙であり、暫定税率、後期高齢者医療制度、年金記録などの重要問題を抱えるなかで国民注視の選挙になった。自民王国の山口県で民主党が自民党に大勝したことで、小沢代表の選挙での強さが改めて強く認識された。

  

自民党守旧派勢力は次期総選挙での政権交代を真剣に危惧している。民主党を中心とする勢力による政権が樹立されることがあるとすれば、それは引き続き民主党代表に小沢氏がとどまる場合であるだろう。重点選挙区の特定、政策路線の提示、有権者へのアピール方法など、選挙に勝つ技量において小沢氏の力量は突出していると考えられる。これが自民党が小沢氏の影響力排除に血道をあげている真の理由と思われる。

 

自民党の最大の誤算は2006年に前原代表が率いる民主党を追い詰めて、小沢代表を誕生させてしまったことにあるのだろう。これ以後、自民党守旧勢力は、メディア・コントロールを最大に活用して、小沢氏の失脚を画策し続けている。しかし、これまでのところ、小沢氏失脚の策謀は成功を収めていない。

  

小沢氏失脚の策謀の事例を3つあげておく。第1は、報道番組を活用した小沢氏に対するネガティブ・キャンペーンだ。昨年7月の参議院選挙では、小沢氏がかつて自民党田中派に属し、道路族議員的な活躍をしていたイメージを視聴者に植え付ける内容の報道が執拗に繰り返された。また、政治手法がトップダウンで独裁的であるとの誹謗中傷も激しかった。

とりわけテレビ朝日の「TVタックル」や「サンデープロジェクト」でこの傾向が強かったように感じられる。「報道ステーション」も小沢氏の行動を「政策よりも政局優先」と伝える傾向が強い。「TVタックル」は小沢氏に対する激しい攻撃姿勢を示す評論家の屋山太郎氏や元国会議員の浜田幸一氏の言葉を番組で多用している。みのもんた氏の発言にも強い民主党批判の姿勢が窺われる。メディアの偏向問題については、「喜八ログ」が多くの貴重な情報を提供されているのでぜひ参照いただきたい。

  

第2は、昨年11月の小沢代表と福田首相との間での党首会談における大連立構想に、小沢氏の影響力排除を狙った側面があると考えられることだ。福田首相サイドにとっては、民主党が大連立に乗れば政権運営を安定化でき、大連立が民主党に拒否されれば、小沢氏が民主党内での求心力を失う。どちらに転んでも福田首相に損のないディールだった。小沢氏の影響力排除を狙う守旧派勢力が画策したものと考えることができる。

  

第3は、日銀総裁人事での渡辺博史元財務官の取り扱いだ。4月6日のNHK日曜討論は小沢代表に対する単独インタビューの形式をとった。小沢氏はこの番組で渡辺氏の副総裁就任案に否定的な発言を明示した。

民主党内部では渡辺氏容認が多数意見になりつつあった。3月23日のテレビ朝日番組「サンデープロジェクト」に出演した鳩山由紀夫民主党幹事長は渡辺博史氏の日銀幹部就任を容認するとも受け取れる見解を表明した。それ以前の伊吹文明自民党幹事長との会話を通じて、鳩山氏が渡辺氏の副総裁就任を容認する意向を示した可能性があることも推察される。

  

NHK番組で渡辺氏の副総裁就任不同意を小沢氏が示唆した直後に、民主党が渡辺氏の副総裁就任に同意すれば、小沢代表の威信には大きな傷がつく。また、財務省は日銀幹部ポストを確保し、次期総裁獲得への橋頭保を得ることになる。民主党の官僚利権根絶、天下り根絶の方針も筋の通ったものではなくなってしまう。小沢氏は今度こそ代表の座を辞することになったかもしれない。結果的に民主党が渡辺氏の副総裁就任案を不同意としたことは歴史に残る英断であったと考える。

  

一連の動きが小沢氏を失脚させるために仕組まれたものである可能性を否定できない。民主党の同意人事小委員会は渡辺氏容認の考え方を付して、役員連絡会に最終決定を一任した。役員連絡会では賛否両論が示されたが、鳩山氏が小沢氏の主張を尊重して渡辺氏不同意が決定された。

衆参本会議での同意人事決議では3名の造反議員が出たが、参議院議員の入江康弘議員などはガソリン税の暫定税率廃止問題でも反党的行為を展開しており、民主党内でも問題が指摘されている議員だ。マスメディアはこの少数の造反議員のコメントを繰り返し放映し、小沢氏の手法が非民主的であると執拗に攻撃した。

  

国会では、参議院の意思表示が繰り返し踏みにじられている。有権者は昨年7月29日の参議院選挙と本年4月27日の衆院補欠選挙で自民・公明政権に明確にNOの意思を示している。4月27日の選挙では、ガソリン税の暫定税率復活の是非、後期高齢者医療制度の是非が大きな争点になった。自民、民主の両党首が選挙区に入り、自民党が本来強い選挙区で総力戦が展開された結果として民主党が勝利したことは、有権者の強い意志が示されたものと受け取られなければならない。

だが、現実の国会では、4月27日の選挙後も、参議院が否決した法律案を次々に与党が衆議院で3分2条項を活用して成立させている。ガソリン税では年間2.6兆円の増税が強行され、道路特定財源制度の10年間延長を定める法律も成立した。

 

野党は参議院で福田首相に対する問責決議案を可決することを検討しているが、問責決議が法律上の拘束力を持たないことを盾にして、福田政権が参議院の意思を無視して政権を維持する可能性が高く、戦術が練り直されている。

  

小泉政権以降の自民・公明政権の基本政策は、①弱者切り捨て、②官僚利権温存、③対米隷属外交である。民主党は、①弱者に対する適切な保護、②官僚利権根絶、③独立自尊外交、を基本政策として明示すべきと思う。基本政策の相違によって政治の対立軸が定められることになると、自民党から民主党に移籍すべき議員と民主党から自民党に移籍すべき議員が生まれてくる。また、上記の2類型の基本政策と異なる考え方を示す議員グループも浮上してくるだろう。こうした基本政策の相違を軸にして政界の再編が行われるべきだ。

  

こうした再編を完了した上で、次期総選挙が実施されるべきだと思う。私は、①弱者に対する適切な保護、②官僚利権根絶、③独立自尊外交、を掲げる政治勢力が国会で多数を確保して新しい政権を樹立するところから、日本の新しい歴史が開けると考える。現状でその役割を担うべき最重要の存在は民主党である。

政府、与党は、小沢一郎代表が率いる民主党への揺さぶりを今後さらに強めてくると考えられる。日本の真の構造改革が必要だと考える国民と議員は、次期総選挙を通じた真の日本の構造改革実現に照準を合わせて、結束して対応する必要がある。権力はメディア・コントロールを最大に活用して行動している。対抗勢力はこのことを十分に念頭に入れて行動しなければならない。

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